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football2025.06.06

初のJ1で奮闘、国内復帰で躍動…チームを支える8つの「個」に注目!

渡井理己は、自身を知る監督のもとで生き生きとプレー

J1リーグはシーズンの半分を消化し、新戦力のフィット感が明らかになってきた。カテゴリーアップを果たして輝く選手、初めてのJ1で奮闘する選手、海外クラブから舞い戻って躍動する選手を、ここに紹介しよう。


★渡井理己(柏レイソル)

開幕から上位に食い込んでいる柏では、2シャドーの一角で攻撃のタクトをふるうMF小泉佳穂、6月シリーズで日本代表に選出されたMF熊坂光希らが注目を集めている。そのうえで言えば、2シャドーが主戦場の渡井の加入も大きいだろう。プロデビューを飾った徳島ヴォルティスで、現在は柏を指揮するリカルド・ロドリゲスのもとで出場機会をつかみ、トップ下やサイドハーフで実績を積み上げていった。相手の守備ブロックの間でボールを受け、DFラインの急所を突くスルーパスを出したり、ドリブルで局面を打開したり、自らフィニッシュへ持ち込んだりする。22年途中からはポルトガル1部ボアヴィスタで2シーズン過ごし、徳島への復帰を経て今シーズンから柏へ。自らの特徴を知るスペイン人指揮官のもとで、J1でも輝きを放つことができるはずだ。


★新保海鈴(横浜FC)

名前は「しんぼ かいり」と読む。J2のレノファ山口FCに在籍した昨シーズン、攻撃力豊かな左サイドバックとしてリーグ4位タイの8アシストを記録し、チームが前年から大きく順位を上げる原動力となった。その活躍が評価され、J1に昇格した横浜FCに引き抜かれた。J1挑戦は初めてとなるが、開幕からスタメンに名を連ねている。山口では4バックの左サイドバックでの起用が多かったが、3バックの横浜FCでは左ウイングバックが基本ポジションだ。持ち前の攻撃力をより生かせる立ち位置で、縦への突破から高精度のクロスを供給する。チームはシーズン序盤から黒星先行となっているが、この22歳のレフティーは確実に評価を上げている。ここからの活躍次第では、さらなるステップアップも見えてくる。


★矢村健(アルビレックス新潟)

新潟医療福祉大学から20年にアルビレックス新潟に加入するが、定位置を獲得するには至らなかった。転機となったのは23年の期限付き移籍。J2の藤枝MYFCでプロ入り後初めてシーズンを通して起用され、キャリアハイの9ゴールをマークした。翌24年も藤枝でプレーし、得点ランキング4位の16ゴールを叩き出した。アクロバティックなボレーシュートなど、難易度の高いゴールを決めてみせる一方で、DFとの駆け引きでマークを外し、狙いすましたシュートを流し込むこともできる。所属元の新潟に勇躍復帰した今シーズンは、J2で磨いたラストパスを呼び込む動きや迷いのないフィニッシュワークで対戦相手の脅威に。2ケタ得点も狙える。


★奥川雅也(京都サンガF.C.)

京都のアカデミー時代から海外クラブに注目され、トップチーム昇格1年目の15年にオーストリアのクラブへ移籍。そこからオーストリアとドイツの複数クラブを渡り歩き、25年シーズンを前に古巣の京都に帰還した。プロデビュー当時の京都はJ2で戦っていたため、29歳にして初のJ1出場となる。ユース年代では「古都のネイマール」の異名をいただくドリブラーだったが、国内復帰後の彼が印象づけるのはドイツで磨かれたディフェンスでの献身性や、インテンシティの高いプレーだ。もちろん、アタッカーとしてのクオリティも発揮しており、途中出場が多いなかでも得点を記録している。12節の横浜FC戦では、ペナルティエリア内での冷静な切り返しから左足を振り抜き、鮮やかな決勝ゴールをマークしている。


大関友翔はスケールの大きなセントラルMFだ


★大関友翔(川崎フロンターレ)

いまやヨーロッパでプレーする三好康児、板倉滉、三笘薫、田中碧らを輩出した川崎U-18出身。プロ1年目の23年はリーグ戦の出場機会がなかったものの、J3の福島ユナイテッドFCへ期限付き移籍した24年はセントラルMFのレギュラーとして8ゴール6アシストの好スタッツを記録。インサイドハーフのポジションからズバッと音がするような縦パスを刺し込み、J3では別格との印象を残した。所属元に復帰した今シーズンはJ1初出場を果たし、初スタメンの試合でJ1初ゴールを記録。05年2月生まれで20歳の大関は、U-20日本代表に選出されており、今冬のU-20アジアカップでは10番を背負った。9月下旬開幕のU-20 W杯でも、世界を相手に活躍が期待される。


★佐藤恵允(FC東京)

明治大学からJリーグを経由せずに、ドイツ・ブンデスリーガのブレーメンに加入したのは23年8月。セカンドチームで出場機会をつかみながら、レベルアップをはかっていた。ブレーメンとの契約がまだ残っているなかで、FC東京の「J1で優勝するために」というオファーに心を動かされ、今シーズンからJリーグのピッチに立っている。2シャドーの一角を基本ポジションとし、スタメンの顔触れによっては1トップに入ることも。局面を打開する能力に優れており、そのドリブルは相手の逆を巧みに突くもので、デュエルでの力強さも兼ね備えている。インテンシティの高いドイツでプレーしていたこともあり、ディフェンスでの貢献度も非常に高い。


★荻原拓也(浦和レッズ)

浦和の下部組織出身だが、キャリアの土台は期限付き移籍先で築いた。20年に当時J2のアルビレックス新潟で攻撃的な左サイドバックとして頭角を現わし、翌21年は京都サンガF.C.の左サイドを担ってJ1昇格に貢献。22年も京都でプレーし、23年に所属元の浦和へ。シーズンを通して稼働すると、24年1月にクロアチアの名門ディナモ・ザグレブ入り。チャンピオンズリーグのバイエルン戦で得点を決めるなどの足跡を残し、1年の期限付き移籍を終えて浦和に舞い戻った。復帰後も保有戦力が充実している浦和で、左サイドバックとして多くの試合でスタメン出場している。縦への突破からのクロスは、チームの攻撃に欠かせない武器となっている。まだ伸び盛りの25歳。ここから先も成長スピードをあげ、国内有数の左サイドバックとなる可能性を秘める。


浦和の右サイドを支える金子拓郎。左足のクロスは精度が高い


★金子拓郎(浦和レッズ)

右サイドを主戦場とする左利きのウイングプレーヤーで、力強く鋭い突破で相手を置き去りにしたかと思えば、抜き切らないうちにクロスを供給したりもする。はっきりとした違いを生み出せる選手で、プロ第一歩を記した北海道コンサドーレ札幌在籍時には、浦和やヴィッセル神戸が獲得に乗り出した。23年夏からクロアチアの名門ディナモ・ザグレブに、24年夏からベルギー1部のコルトレイクに在籍し、どちらのクラブでも相応のプレータイムを確保した。25年シーズンからの浦和加入は、埼玉県出身の彼にとっても、過去にオファーを出していたチームにとっても念願のものと言っていい。クロスの本数はリーグでもトップクラスで、前線からの守備にも献身的である。スコルジャ監督の信頼を、がっちりとつかんでいる。

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