トレッキングとは? 登山との違いや事前に準備したいもの、注意点など詳しく解説
近年、人気が高まっているアウトドアアクティビティの1つとして「トレッキング」が挙げられます。一般的には山登りに分類されるトレッキングですが、同じく山登りである「登山」とはどのような違いがあるのでしょうか。
ここでは、トレッキングと登山・ハイキングの違いや、トレッキングを行う際の服装や必要な装備、注意点などについて詳しく解説します。
【目次】
■トレッキングとは
トレッキングは、移動や旅行といった意味を持つ「Trek」が語源で、山登りのことを指します。あくまで、山の中を散策して無理せず自然を楽しむことが目的なので、難所を登ることはほとんどありません。
登山とは異なり、川に沿って歩く「リバートレッキング」や、スノーシューを履いて雪山を歩く「スノートレッキング」など、歩く場所や方法によって種類が細かく分けられています。
また、稜線を何日も歩き続ける「ロングトレイル」や、マウンテンバイクなどで登山道を走る行為もトレッキングに分類され、幅広い楽しみ方ができるスポーツです。
■登山やハイキングとの違い
トレッキングは山の景色を楽しむことが目的なので、必ずしも山頂を目指すわけではありません。
しかし、一般的な登山の目的は山頂を目指すことです。特に山登りが盛んな欧米では、アイゼンやハーネス、ピッケルなどといった専用の装備を使って山頂を目指すクライミングのみを登山としていて、トレッキングと明確に区別しています。
一方、ハイキングは「歩きながら風景や自然を楽しむ」「難所は避ける」などの点でトレッキングと似ています。しかし、歩くコースが山に限定されておらず、整備された道を歩くことがほとんどで、装備も比較的軽装な場合が多いです。
つまり、道具を利用した本格的な山登りが登山、専門的な道具を使わずに山を登ったり山麓を歩いたりするのがトレッキング、山に限定されずに軽装で気軽な散策をハイキングと分けることができるでしょう。
■トレッキング時の服装
本格的な登山ほどではありませんが、トレッキングも山登りの一種なので、適切な服装で臨むことが大切です。
では、トレッキングの際はどのような服装を心がければ良いのでしょうか。
・基本は重ね着する
平地に比べ、山の天気は変わりやすいものです。山頂に近づくにつれて、気温も平地より下がっていきます。暑さや寒さで体力を無駄に消耗しないためにも、都度服を脱いだり着たりして体温調整を行いやすい格好をする必要があります。
そのため、季節を問わずアンダーウェア(下着)、ミドルウェア(中間着)、アウター(上着)の3層で重ね着するのがトレッキングを行う際の基本です。
寒い時期はインナーを2枚重ね着して、フリースを着用したうえで防寒機能が高いアウターを用意する、夏場は薄手で脱ぎ着しやすいアウターにするなど、季節に応じて適切な服装を選ぶようにしましょう。
・機能性が優れた服を選ぶ
トレッキングの際は、機能性が優れた服を選ぶのがおすすめです。
例えば、汗を吸う役割を持つアンダーウェアは、ポリエステルのように吸湿・速乾性に優れたものを選ぶ必要があります。
アウターの場合は防風性能が高いだけでなく、防水性も備えていると便利です。防水やウェア内の熱を放散する機能に優れているアウターなら、急に雨が降り出してもレインウェアとして活用することができます。
■トレッキングで必要なアイテム
トレッキングの際は服装以外にも、いくつか用意しておきたいアイテムがあります。ここではトレッキングの際に必須のアイテムだけでなく、より快適にトレッキングを楽しみたいときにあると便利なアイテムも含めてご紹介します。
・トレッキングシューズ
トレッキングでは足場が悪い登山道を歩くこともあるため、トレッキングシューズを履くようにしましょう。
一般的なシューズと異なり、ソールのクッション性が良いなどトレッキング用に作られているので、長時間歩いても疲れにくいです。足首まで覆うことができる作りの製品なら、怪我の予防も期待できます。
クッション性以外にも防水性や耐久性、滑りにくさなどをチェックし、自身が歩きやすいシューズを選ぶことが大切です。
・ザック
水筒や上着、雨具など、本格的な登山ほどではないですが、トレッキングでも多くの持ち物が必要です。荷物をまとめて入れられる、アウトドア用のザック(リュックサック)を用意しておきましょう。特に、重い荷物でも快適に運びやすいウェストベルト付きのザックがおすすめです。
ザックの容量はトレッキングの日程や荷物によって変わりますが、日帰りの場合は30L程度が選ぶ際の目安になります。
また、疲れやすくなったり摩擦で肩が擦れたりする原因にもなるので、自身の体にフィットするザックを選ぶことも大切です。その際、服装によってフィット感が異なる場合もあるため、服装を変えても体に合うか試しておくことをおすすめします。
・トレッキングポールもあると便利
急な坂道の登坂時や長時間の移動で疲れてしまった際には、トレッキングポールと呼ばれる登山ストックがあると便利です。
トレッキングポールに使われる素材は、頑丈なアルミ製と軽いカーボン製の2種類に分けられますが、初心者のうちは丈夫で壊れにくいアルミ製のものがおすすめです。その中でも、できるだけ軽く使いやすいものを選びましょう。
ただし、トレッキングポールは植物や道路を傷つけてしまう恐れがあるため、登山道以外での使用は極力避ける必要があります。
上記以外には、グローブやタオル、サングラス、帽子、絆創膏などが必要です。
帽子はつばが広めで防水加工が施されているものを選ぶと、紫外線を防ぐだけでなく、急な雨の際にも役立ちます。
■トレッキングを行う場合の注意点
トレッキングを行う際はどんなに装備が万全でも、場合によっては思いがけない事故や大怪我につながる危険性があります。事前に確認しておきたい注意点をご紹介します。
・事前準備が大切
トレッキングに限らず、すべてのアウトドアアクティビティにいえることですが、事前準備が何よりも大切です。山の中を歩くトレッキングは、何かあってもすぐに帰ることはできません。
持ち物や服装に不備はないか、現地の天候や予想気温はどれくらいか、どのようなコースを歩くのかなど、事前に情報を確認したうえでトレッキングを行う必要があります。
また、長時間の運動になるので、普段から少し速足で歩くようにしたり、階段を使うようにしたりといった簡単なトレーニングを行って、体を慣らしておくのもおすすめです。
・水分と休憩はこまめにとる
トレッキング中はかなり汗をかくため、こまめに休憩をとり水分補給を行うようにしましょう。1時間に1回、5分程度が休憩の目安です。休憩の際は喉が渇いていなくても水分をとることで、脱水症状を防ぐことができます。
万が一に備えて、短い距離を歩くだけでも飲み物と簡単な行動食は必ず持っていくようにしてください。
トレッキングに持っていく飲み物としては、水分と塩分を一緒に補給できるスポーツドリンクがおすすめです。もしくは、塩分が含まれた飴やタブレットを用意するのも良いでしょう。
■トレッキングを始めるには?
前述のように、トレッキングは必要な装備を用意したりルートの情報を集めたり、入念に準備をしてから行う必要があります。登山道やトレッキングコースが整備されていて、標高が低めで起伏の少ない山から始めると良いでしょう。
コースの安全性を十分に確認し、自身の体力を考えて計画をたてなければいけないなど、1人でのトレッキングは初心者には難易度が高いので、最初はトレッキングツアーを利用したり、経験者に同行してもらったりするのがおすすめです。
マイペースに散策を楽しむことは難しくなりますが、トラブルがあった際の対処が容易になります。
■トレッキングで自然を楽しもう
トレッキングは、登山ほど本格的な装備は必要ないものの、自然の美しさや達成感といった山登りの楽しさをしっかり味わえるため、登山初心者にもおすすめのアウトドアスポーツです。しかし、自然の中で行うアクティビティなので、準備を怠ると大事故につながる危険性を含んでいます。
服装や最低限必要な装備などの事前準備をしっかり行い、トレッキングで山登りの魅力を感じてみてはいかがでしょうか。
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