【野球】チェンジアップとはどんな変化球? 特徴や握り方などを解説
スライダーやカーブ、フォークなど、野球のピッチャーはさまざまな変化球を投げ分けることで、バッターを打ち取っています。多数ある変化球の中でも、多くのプロ野球選手も活用している変化球のひとつが「チェンジアップ」です。具体的にチェンジアップとはどのような変化球なのでしょうか。
ここでは、野球におけるチェンジアップの概要や効果、投げ方のコツなどをご紹介します。
【目次】
■野球のチェンジアップとは?
チェンジアップとは、相手バッターのタイミングを外すための遅い変化球です。一般的にはボールをわしづかみにするなどして力が伝わらないようにしながら、ストレートと同じ腕の振りで投げるボールで、少し沈むように変化します。
球速や投球間隔、投球コースなどを変えながら投げることで相手を乱す「チェンジオブペース」の一種で、パームボールやサークルチェンジなど、バッターのタイミングを外すために投げる遅いボールを総称してチェンジアップという場合もあります。
タイミングを外す遅いボールと聞くと、スローボールとチェンジアップは同じではないのかと疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれません。
チェンジアップはストレートと同じ投げ方でボールを投げるという点で、力を抜いて遅いボールを投げるスローボール(イーファスピッチ)とは異なります。
■チェンジアップを投げるメリット
チェンジアップはプロ野球やメジャーでも多くのピッチャーが活用している変化球ですが、具体的にどのようなメリットがあって多用されているのでしょうか。
チェンジアップを投球に取り入れるメリットを2つご紹介します。
・体に負担がかからず投げやすい
チェンジアップは、ボールの握り方以外はストレートの投げ方とほとんど同じです。ボールを指で挟んだり、手首をひねってボールに回転をかけたりしなくても投げられます。手首や腕、肘の使い方を意識して投げる変化球ではないため、体にかかる負担が非常に小さいです。
肩や肘の故障を気にせず投げられるのは、チェンジアップの大きなメリットといえます。
また、握り方をストレートと変えるだけで済み、比較的簡単に投げられるのも魅力です。日本では、最初に覚えるべき変化球はカーブという認識が強いですが、カーブはボールを抜くように投げて回転をかける必要があるため、コントロールを安定させるのに時間がかかります。
一方で、チェンジアップはストレートとリリースポイントを変える必要がありません。ストレートのコントロールができていれば、チェンジアップを投げるのに苦労は少ないはずです。
アメリカでは最初に覚えるべき変化球とされていて、日本の元プロ野球選手も、子どもが最初に覚えて欲しい変化球として推奨しています。
・決め球としても有効
チェンジアップは、バッターのタイミングを外すことが目的の変化球です。また、ボールの回転数が少ないことから、打者の手元で自然と少し沈むような変化になります。
例えば、ストレートを狙っているバッター相手に、ストレートと同じ腕の振りで遅い球を投げられれば、バッターは前のめりになって上手に打てないはずです。
球速が遅く少し沈むという特性から、スライダーなどの水平方向に変化するボールに比べて、バットに当てづらいのも特徴です。ストレートなどの球速が速いボールと組み合わせれば、決め球としても活用することができます。
ストレートの球威やスピードで押していく速球派タイプの選手は、チェンジアップを覚えることで、投球の幅を広げられるでしょう。
■チェンジアップのデメリット
チェンジアップは球速の遅い変化球なので、それ単体ではただの打ち頃のボールになってしまいます。配球が単調だったり、同じ打席でチェンジアップを多用したりして、バッターがチェンジアップを読み待ちしていた場合は、簡単に打ち返される恐れがあります。回転数を減らせず、ボールが遅いストレートのようになってしまった場合も同様です。
チェンジアップを投げること自体は簡単ですが、有効に使って相手を打ち取るために配球の組み立て方を工夫しなければいけない点はデメリットといえるでしょう。
■チェンジアップの投げ方のコツ
数ある変化球の中でも簡単に投げられるのが魅力のチェンジアップですが、具体的にはどのように投げれば良いのでしょうか。
効果的なチェンジアップを投げる際に確認したいポイントを、握り方・腕の振り方・リリースの3つに分けてご紹介します。
・握り方のコツ
チェンジアップの握り方には、決まったものがありません。これは、ボールの回転数を抑えながらストレートと同じ腕の振り方で投げられれば、どのような握りでも問題ないためです。
最も簡単な握り方は、人差し指と中指がボールの縫い目にかからないようにしながら、ボールをわしづかみにする方法でしょう。しっかりと回転数と球速を落とせるように、少し深めに握るのがコツです。
そのままリリースすると下方向に、ボールの内側をなでるようにリリースするとシュート回転がかかって斜め方向に沈みます。
他にも、親指と人差し指で円を作って投げる方法や、人差し指をボールから浮かせて投げる方法などのバリエーションがあります。前者の握り方は、その見た目から「OKボール」と呼ばれたり、「サークルチェンジ」と呼ばれたりしています。
このように、チェンジアップは多彩な握り方ができる変化球です。どのような握り方が一番投げやすいか、変化量を大きくできるかなどを考えながら、自身で工夫してみるのもおすすめです。
・腕の振りはストレートを意識する
チェンジアップは、ストレートを投げると思わせて打者のタイミングを外すための変化球です。投球フォームが投げるボールごとに異なると球種が読まれやすくなり、チェンジアップを投げる効果がなくなってしまいます。
チェンジアップを投げる際は、ストレートを投げる時とまったく同じフォームで投げ切ることが重要です。この時、球速を落とそうと意識しすぎると、投球フォームが変わってしまいます。ストレートを投げる時と同じように、しっかり腕を振り切ることを意識しましょう。
投球練習の際に、ストレートとチェンジアップを交互に投げ分けるようにすると、投球フォームの違いを簡単に確認できるためおすすめです。
・リリース時は力を抜く
チェンジアップは、ボールの回転を少なくした方が効果的に使うことができます。回転数が多くなってしまうため、リリース時に力を加える必要はありません。
腕はストレートを投げるように振りながら、指先は少し抜くような感覚を持って投げるのがコツです。
■チェンジアップで投球の幅を広げよう
チェンジアップを上手に活用すればピッチングに緩急が生まれます。上下左右の幅に加えて奥行きも効果的に使えるようになり、投球の幅が広がるでしょう。
投げるのが比較的簡単で体への負担も少なく、落ちるボールなので決め球として有効など、メリットの大きな変化球のひとつです。
ただし、チェンジアップ単体では、ただの打ち頃の遅い球でしかありません。ストレートやカットボールといった球速の速いボールとどのように組み合わせて投げていくかを考えながら、投球を組み立てる必要があります。また、遅い球を投げ切るだけの勇気も欠かせません。
どのような配球が効果的なのかを考えながらチェンジアップを活用して、投球に奥行きを持たせるようにしましょう。
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