ランニング時のふくらはぎの痛みの原因は? 症状と予防法を解説
運動不足の解消などを目的に、休日や仕事終わりに走ることを日課にしている方も多いのではないでしょうか。しかし、走り慣れていないランニング初心者をはじめ、経験を積んでいる中級者ランナーの方でも、ランニングによってふくらはぎを痛めてしまうことも少なくありません。ランニングによるふくらはぎの痛みは、どのように予防すれば良いのでしょうか。
ここでは、ふくらはぎに起こる痛みの症状やその原因、予防法などをご紹介します。
【目次】
■ふくらはぎに現れる痛みの症状
ランニングによるふくらはぎの痛みは、どのような原因で起きているのでしょうか。考えられる症状をいくつかご紹介します。
・筋肉痛
筋肉痛は、運動によって損傷した筋繊維が炎症を起こすことによって生じる症状です。運動直後や運動中に疲労物質の発生で引き起こされる「即発性筋痛」と、運動後数時間から数日後に痛みを感じる「遅発性筋痛」の2種類あり、一般的にいう筋肉痛とは遅発性筋痛のことです。
ふくらはぎにある「下腿三頭筋」は、大きく「腓腹筋」と「ヒラメ筋」に分けられます。腓腹筋はつま先を引き上げる際や膝関節を動かす際に、ヒラメ筋は足首を動かす際などに使う筋肉です。ランニングではつま先や踵の上げ下げといった動作が多いので、ふくらはぎは筋肉痛になりやすい部位です。
また、ランニング時に大量の汗をかくことで脱水症状が起こり、筋肉への血液の循環が悪くなるのも筋肉痛がひどくなる原因になります。
・こむら返り
「こむら返り」とは、筋肉が異常に収縮してけいれんを起こしている状態のことです。一般的には「足が攣る(つる)」といわれる症状を指します。患部に強い痛みを伴いますが、通常は数分ほどで治まることが多いです。
こむらとはふくらはぎのことで、その名の通りふくらはぎに起こる症状ですが、筋肉の「攣り(つり)」自体は足の裏や太もも、胸など、体のどこでも発生する可能性があります。
筋肉の疲労や水分不足、ミネラル不足、加齢など、こむら返りが起こる原因はいくつか考えられます。
・肉離れ
筋肉が断裂したり損傷したりしてしまった状態が肉離れです。ジャンプやダッシュといった筋肉が急激に収縮する動作をした際に、負荷に耐えられなかった筋肉や筋膜の一部が切れたり裂けたりして肉離れが起こります。
患部に体重をかけると非常に強い痛みを感じるため、肉離れを起こすと通常の歩行も困難です。
肉離れは筋肉の損傷の度合いによって、軽度から重度まで3段階の重症度に分けられます。軽い痛みのみの場合も、肉離れを起こした可能性がある際はすぐにアイシングや患部の挙上、圧迫、安静といったRICE処置を行い、医師の診察・治療を受けるようにしましょう。
■ふくらはぎが痛む原因は?
ふくらはぎの痛みは筋肉痛や肉離れなどが考えられますが、なぜそのような症状が起こってしまうのでしょうか。ふくらはぎの痛みを引き起こす原因を知っておき、予防につなげましょう。
・オーバーワーク
過度にランニングを行いすぎるオーバーワークの状態が続くと、ふくらはぎの筋肉が負荷に耐えきれなくなり、痛みを引き起こす恐れがあります。
オーバーワークで疲労が蓄積し、マッサージやストレッチといったケアも怠っていると、筋肉が硬くなるため肉離れを引き起こすリスクも高くなるので注意が必要です。
また、オーバートレーニング症候群という慢性疲労状態に陥る場合もあります。
・ウォーミングアップの不足
ランニング前にウォーミングアップで体を温めておかないと、走る際に必要な関節や筋が固まったままの状態です。その状態でランニングを行うとランニングの負荷で筋繊維が痛みやすく、筋肉痛がひどくなりやすくなるばかりでなく、肉離れを起こしかねません。
・水分不足
運動を行うと体は汗をかきます。特に長距離のランニングの際はたくさんの汗をかくため、体内の水分が不足しやすいです。
水分不足によって筋肉への血流が悪くなると筋肉痛を引き起こしやすく、脱水状態になると血液中のミネラルのバランスが崩れてこむら返りになりやすくなります。
・フォームが崩れている
ランニング時のフォームが崩れていて着地方法がおかしい場合は、きれいなフォームで走っているときよりも大きな負担がふくらはぎにかかります。ふくらはぎに大きな負担がかかると、肉離れなどの怪我が発生しやすくなります。
・ランニングシューズのサイズが合っていない
ランニングシューズが自身の足に合っているかどうかも重要なポイントです。
大きすぎるシューズの場合は足が靴の中で安定せず、足の指やふくらはぎなどに余計な力がかかります。一方で小さすぎるシューズは足首の動きが制限されてしまい、着地時の衝撃を上手に吸収することができず、ふくらはぎに直接ダメージが行ってしまいます。
ランニングの際は、足のサイズに合ったシューズを使用することが大切です。
■ふくらはぎの痛みを予防する方法
ランニング中やランニング後に起こるふくらはぎの痛みを完全になくすことは難しいですが、痛みの発生を予防することは可能です。ふくらはぎの痛みを予防するために心がけたい点を、いくつかご紹介します。
・ストレッチを行う
運動をする前や運動後は、ストレッチなどでウォーミングアップを行うようにしましょう。ストレッチによってふくらはぎの筋肉への血行が促進されるので、筋肉痛を予防できます。日常的にストレッチを行えば筋肉の柔軟性を維持できるので、こむら返りや肉離れなどの予防につながる点もストレッチの魅力です。
ふくらはぎに張りや軽い痛みを覚えやすい方は、ストレッチで血流を改善することで、症状の緩和も期待できます。
・こまめに水分補給する
こむら返りや筋肉痛を予防するためには、こまめな水分補給も欠かせません。ランニングは長時間走り続ける運動なので、汗をかく量も多くなりがちです。そのためランニング中だけでなく、ランニング前後も水分を摂ることを心がける必要があります。
体格やランニングの強度、気温などによりますが、ランニング時は10~20分程度の間隔でこまめに少量ずつ水分を摂ると良いとされています。ランニング前後も一度にたくさんの水分を摂ると体に負担がかかるので、少量ずつゆっくりと飲むようにしましょう。
また、大量に汗をかきやすい暑い時期は汗と一緒に多くのミネラルも失われます。ミネラルウォーターやお茶ではなく、ミネラルが含まれた経口補水液やスポーツドリンクがおすすめです。
・休息日を設ける
オーバーワークはふくらはぎがつったり筋肉痛が続いたり、酷い場合は肉離れの原因にもなります。筋肉に疲労を溜めすぎないためには、ランニングを行わない休息日を適度に設けることが大切です。
ランニングは週3回程度を目安にして1日おきに行うなど、しっかりと体を休めるようにしましょう。休息日はストレッチやマッサージなどで、疲労が溜まった筋肉をケアするのがおすすめです。
・ランニングフォームを見直す
ランニングフォームを見直すのも、ふくらはぎの痛みを予防するうえでは重要なポイントです。正しいランニングフォームで走れているかわからないという方は、以下の3点を確認してみてください。
・足が体の真下で着地しているか
・腕を後ろに引けているか
・目線は真っすぐ前に向けているか
また、きれいなフォームを維持するためには、ある程度の筋力が必要になります。ランニングだけでなく、筋トレなど別の運動を取り入れるのも良いでしょう。
■正しいフォームやケアを心がけて痛みを予防しよう
正しいランニングフォームや運動前後のストレッチ、こまめな水分補給などを心がけていれば、ふくらはぎの痛みを予防することができます。
とはいえ、完全に痛みを防ぐことは困難です。ランニング中やランニング後に痛みを感じたときは無理をせず安静にし、痛みが引かない場合や、ふくらはぎが腫れたり内出血を起こしたりしている場合は、すぐに病院で診察してもらうことも重要です。
ふくらはぎの痛みを予防するために、日々のランニング習慣を見直してみてはいかがでしょうか。
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