ランニングエコノミーとは? 長距離を効率的に走る鍵は「フォーム改善」
人が運動で使うことができるエネルギーには限りがあります。マラソンなどの長距離走で良い成績を残すには、消費するエネルギーの量を抑えて、効率的に走ることが大切です。
長距離をできるだけ疲れずに走りたい、マラソンで好タイムを出したいといった目標を持っている方は、ランニングエコノミーを意識してみてはいかがでしょうか。
ここでは、長距離走のタイムを伸ばすうえで重要なランニングエコノミーの概要や、効率的に走るコツをご紹介します。
【目次】
■ランニングエコノミーとは?
同じ速さで走っているランナーだとしても、エネルギーの消費量は人によって異なります。ランニングエコノミー(走りの経済性)とは、ある速度帯をどれくらいのエネルギー消費量(酸素摂取量)で走ることができるかを示す指標のことです。
端的に「どれだけ効率的に走れているか」を表すのがランニングエコノミーと言い換えることもできます。
長距離走のタイムは、自身の体力や代謝能力、ランニングフォーム、ストレス、レース当日の環境、ペース配分などによって左右されます。
例えば、前日にしっかり休息を取れた、適度に温度が低く晴れているといった状況では、比較的走りやすいはずです。反対に、前日にしっかり眠れなかったレースや、雨が降っていて足元が悪いレースになると、普段よりもタイムは落ちてしまうでしょう。
中でも、特にマラソンやランニングのパフォーマンスを左右するのが、体力や代謝能力といった生理学的な要因です。
生理学的な要因は、最大酸素摂取量と乳酸性作業閾値(乳酸が急激にたまり始めるタイミング)、ランニングエコノミーの3つとされています。
生理学的要因のひとつであるランニングエコノミーは、日々の練習の中で高めることが可能です。
■ランニングエコノミーを左右する要素
ランニングエコノミーは、ランニングフォームやフィジカル、外的要因など、さまざまなものに左右されます。ランニングエコノミーを左右する要因の例は、以下のとおりです。
【ランニングフォーム】
走る距離に関わらず、ランニングフォームはパフォーマンスを左右する重要な要素です。筋肉量や体格など、肉体的な条件が同じランナーが同じ距離を走った場合、きれいなランニングフォームで走っているランナーの方が好成績になります。
【フィジカル】
ランナーの体格や筋肉量など、フィジカルもランニングエコノミーを左右する要素です。走るために必要な体ができているほど、ランニングの効率は上がります。
【外的要因】
その日の天気や路面状況、使用するシューズなども、ランニングエコノミーを左右するとされています。
他には、ランナーの心理状態もパフォーマンスに影響を与えます。
体を動かすためのエネルギーは、無限に使えるわけではありません。ランニングエネルギーを高めて、効率的に走るコツをつかむことが、長距離を楽に走り切るコツです。
■ランニングエコノミーを高める方法
具体的に、ランニングエコノミーを高めるには、どのような点を改善すれば良いのでしょうか。ランニングエコノミーを高める方法を、5つご紹介します。
・ランニングフォームを改善する
前述のとおり、ランニングエコノミーは自分自身の代謝能力やフィジカルなど、さまざまな要因に左右されます。その中でも重要とされているのがランニングフォームです。
無駄のないきれいなフォームで走っているランナーの方が、体を上手に使えていないランナーよりも、少ないエネルギーで走ることができます。
走るとすぐに疲れてしまうという方は、ランニングフォームの改善に着手しましょう。無駄のないランニングフォームのポイントは、以下のとおりです。
【正しいランニングフォームのコツ】
・体の上下動や左右のブレを抑える
・体の軸を真っすぐにして、軽い前傾姿勢を取る
・上半身の力を抜く
・目線を高く保つ
・肘を後ろに引き上げる意識で腕振りを行う
・足裏全体で着地する
走る時の着地方法は、つま先から着地するフォアフット走法、かかとから着地するヒールストライク走法、足裏全体で着地するミッドフット走法の3種類に大きく分けられます。
それぞれメリット・デメリットがありますが、マラソンのような長距離を走るシーンでは、足裏全体で着地するミッドフット走法を心がけるのがおすすめです。
ヒールストライク走法は習得しやすいですが、かかとから着地するときにブレーキがかかり、膝関節への負担が出やすいため、クッションやサポート性の高いランニングシューズを選ぶことが大切です。
また、少ないエネルギーで走るには、脚部の機能を高めることも大切です。足の筋力やバネを上手に使うことで、より効率的に走れるようになります。
ふくらはぎの筋肉を鍛えるカーフレイズやジャンプトレーニングなどを行い、脚部を強化していきましょう。
・走る量を増やす
ランニングエコノミーは、1日や2日で高められるものではありません。最大酸素摂取量や乳酸性作業閾値といったランニングのパフォーマンスを左右する要素は、ランニングを続けることで向上するとされています。
無駄な体力の消費を抑えたり、走る時に使えるエネルギーの総量を高めたりするには、走る量を増やしてランニングやマラソンの経験を積むことが大切です。
また、走る量を増やして経験値を上げることは、自分に最適なランニングフォームを見つける手掛かりにもなります。できる範囲で走る距離を増やして、ランニングエコノミーを改善していきましょう。
・体幹トレーニングを行う
走っている間は、常に片足が宙に浮いた状態です。体が上下左右にブレてしまうと、無駄な体力を消費することにつながります。
体幹トレーニングを行い、走っている最中の体のブレを抑えることも大切です。
体幹トレーニングを日々の練習に取り入れることで、ランニングフォームの改善効果も期待できます。
・柔軟性を高める
フォームを改善したり、けがを防いだりするために、体の柔軟性も高めておきましょう。
ランニングの際に、体を前に進める推進力を得るには、軽く前傾姿勢を取って地面に力を加える必要があります。ストレッチを行い脚部の柔軟性を高めたり、足関節の可動域を広げたりして、下半身を使いやすい状態にしておきましょう。
また、体重が重くなるほど、走る時に使うエネルギー量は増えます。マラソンをはじめ、長距離を走るランナーは、体重管理も重要です。
■走りの効率を高めて目標達成を目指そう
ランニングエコノミーを意識して日々のランニングやトレーニングを行えば、長距離を少ないエネルギー消費量で走れるようになります。マラソン大会で良いタイムを達成したいといった目標を持っている方は、ランニングエコノミーの改善に着手してみるのがおすすめです。
ただし、ランニングエコノミーはすぐに改善できるものではありません。日々のトレーニングの中で、正しいランニングフォームを習得したり、走るのに必要な筋肉を鍛えたりして、地道に高めていくことが大切です。
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