潮田玲子さんが語る現役時代の挑戦とヨネックスとのウェア開発秘話。ヨネックス主催トークショー&独占インタビュー
2024年9月14日、Alpen FUKUOKAにてヨネックス主催の潮田玲子さんのトークショーが開催され、多くのファンが集まりました。バドミントン界で日本を代表する潮田さんが、現役時代の経験やダブルスへの転機、さらにパリ五輪での日本代表の活躍について語り、会場は終始温かい雰囲気に包まれました。イベント終了後に行われた潮田さんへの独占インタビューの模様もお届けします。
MC: 「皆様、大変お待たせいたしました!バドミントン界で日本を代表する潮田玲子さんが登場されます!盛大な拍手でお迎えください!」
MCの呼びかけとともに、会場は一気に拍手と歓声に包まれ、期待が最高潮に。観客の拍手が大きく響き渡る中、潮田玲子さんが笑顔でステージに登場しました。
潮田さん: 「皆さん、こんにちは!今日は来ていただいて本当にありがとうございます。よろしくお願いします!」
潮田さんの明るい声とともに、さらに拍手が湧き起こり、会場の盛り上がりは一層増していきます。ファンとの距離が近く感じられる会場の雰囲気に、潮田さんもリラックスした様子で、トークショーのスタートから温かいムードが広がりました。
MC: 「Alpen FUKUOKAにお越しいただいて、どんな印象をお持ちですか?」
潮田さん: 「フロアがとても広くて、すごくワクワクしますね!私、実はスポーツショップが大好きなんです。こういう場所に来ると、自然とテンションが上がっちゃいます(笑)。1階から全部見て回りたいくらいですけど、今日は皆さんの前でお話しを楽しみたいと思います。」
■ダブルスに専念した理由
MC: 「潮田さんはバドミントンのダブルスで日本代表として活躍されましたが、ダブルスに専念されるきっかけは何だったのでしょうか?」
潮田さん: 「実は、最初はシングルスプレイヤーだったんです。高校時代まではシングルスでタイトルを獲得していました。でも、ジュニアナショナルチームに選ばれた時に、小椋さんと初めてダブルスを組む機会があったんです。その時に『ダブルスってこんなに楽しいんだ!』と感じて、それがきっかけでダブルスに魅了されました。それに、小椋さんが『一緒に五輪を目指そう』と言ってくれたことも大きかったですね。その言葉で、私はダブルスに専念する決意を固めました。」
■五輪の重圧について
MC: 「では次に、北京五輪やロンドン五輪で日本代表として戦われましたが、国を背負うプレッシャーについてお聞かせください。」
潮田さん: 「そうですね、国の代表としてのプレッシャーは本当に大きかったです。国旗を背負う重みを感じていましたし、時にはそのプレッシャーに押しつぶされそうになることもありました。でも、引退して振り返ると、あの時期は本当に貴重な時間だったと感じます。五輪という舞台に立てること自体が、とても限られた、特別なことなんですよね。当時はメダルのことばかり考えていましたが、今はその舞台に立てたこと自体が素晴らしい経験だと思っています。」
■パリ五輪での日本代表選手の活躍
MC: 「夏に開催されたパリ五輪でも日本代表が大活躍しましたね。潮田さんは現地で解説や選手インタビューもされていましたが、特に印象に残った試合や選手について教えていただけますか?」
潮田さん: 「パリでも素晴らしい試合がたくさんありましたが、特に印象に残っているのはミックスダブルスの3位決定戦です。準決勝での悔しさを乗り越え、銅メダルを獲得した姿には本当に感動しました。東野選手が『悔しくて眠れなかった』と言っていたんですが、それでも最後にはしっかりと結果を出して、メダルを手にすることができたんです。」
■ラケット選びについて
MC: 「ラケット選びについてお伺いします。ヨネックスには、ヘッドライト、ヘッドヘビー、イーブンバランスの3つのバランスのラケットがありますが、現役時代はどのようなラケットを使っていましたか?」
潮田さん: 「私はシングルスの時は、奥に打ちやすいようにヘッドが少し重いラケットを好んでいました。でも、ダブルスでは前衛のプレーが多かったので、ヘッドが軽い方が使いやすかったですね。ただ、スマッシュを強く打つためにはある程度の重さも必要なので、最終的にはイーブンバランスのラケットを使うことが多かったです。プレー状況に応じてラケットを使い分けていました。」
■「ナノフレア700 シリーズ」について
MC: 「9月13日に世界同時発売された新製品のラケット『ナノフレア700 シリーズ』について、デザインの印象はいかがですか?」
潮田さん: 「すごくカラフルで、まるで風景画のようなデザインですね。パープルを基調としたシックな感じが、これまでのラケットにはない独特な雰囲気を持っています。とても素敵です。」
■お客様からの質問!ラケット選びで肘の痛みが出る原因とは?
MC: 「お客様の中でラケットの選び方について質問のある方はいらっしゃいますか?」
参加者: 「新しいラケットを使い始めた時、肘が痛くなったことがあります。ラケットの選び方のポイントを教えていただけますか?」
潮田さん: 「肘の痛み、よくわかります。ラケットの選び方は、ガットの張り具合やバランスが大きく影響します。ガットを細くして高いテンションで張ると、弾きが良くなりますが、強いパワーが必要になります。逆に、ガットを少し緩めると、相手のパワーを利用しやすく、コントロールもしやすくなります。また、ヘッドが軽いラケットは振りやすいですが、振り抜きが良すぎると肘に負担がかかることもあります。自分のプレースタイルやパワーに合ったラケットを選ぶことが大切です。イーブンバランスは攻守どちらにも対応できるので、私はよく使っていました。自分に合ったものを見つけることが重要ですね。」
■ウェア開発の裏話
MC: 「潮田さんは、ヨネックスと共同でショートパンツやウィメンズワンピースを限定発売されていますが、その開発の経緯を教えてください。」
潮田さん: 「そうなんです。パリ五輪で日本代表女子選手が着用していたワンピースや、シダマツペアが履いていたショートパンツは、実はヨネックスさんと一緒に開発させていただいたものなんです。今回はパリ五輪限定で日本代表選手に着用してもらいました。
私自身、2008年の北京五輪でヨネックスのワンピースを着用していたんですが、あの時は体にフィットするデザインで、当時は着るのに抵抗がある選手も多かったんです。私も最初は少し恥ずかしさがありました。でも、ヨネックスさんの『特別な舞台で特別なウェアを着てもらいたい』という思いがあって、それが開発のきっかけでした。今回は日本代表選手に着てもらいましたが、私はもう試合に出ないので、次は子供たちのバドミントンレッスン用など、プラクティス向けのウェアも開発してみたいですね。いろいろなスポーツに対応した、着やすいウェアを作れたら嬉しいです。」
トークショーの後には、楽しみにしていた2ショット撮影会と、サイン入り色紙のプレゼントが行われました。さらに、じゃんけん大会では、ヨネックスのバッグやTシャツなどが参加者に贈られ、大いに盛り上がりました。
潮田さんのトークショーでは、スポーツの楽しさや奥深さが深く心に響き、参加者にとって忘れられないひとときとなりました。彼女の言葉を通じて、スポーツやバドミントンへの情熱、そして挑戦することの尊さを改めて感じたことで、会場全体が一体となり、特別な時間を共有することができました。
イベント終了後には、アルペングループマガジンによる潮田玲子さんの独占インタビューを実施しました。その模様もお届けします。
■潮田玲子インタビュー「まだまだ成長し続けたい。挑戦が私の原動力です!」
――本日はお疲れ様でした!Alpen FUKUOKAでのイベントの感想をお聞かせください。
たくさんの方がいらっしゃってくれて、素直にとても嬉しかったです。皆さんが喜んでくださっている様子が伝わってきて、すごくありがたかったですね。あと、福岡は私の地元なので、特に感慨深いです。こういった機会がないと、なかなか帰ってくることも少ないので、今日はすごく楽しみにしていました。
――潮田さんは、福岡が地元ということですが、当時のスポーツショップに関する思い出はありますか?
スポーツショップですか…。そう言われると、子供の頃どこで買ってたのか、あまり覚えていないですね。家の近くには特にスポーツショップはなかったし、ヨネックスの用品を買っていた記憶もありますが、地元のスポーツショップに行った覚えはあまりないです。多分、カタログを見て注文していたんじゃないかと思いますね。
――当時、Alpen FUKUOKAのようなスポーツショップがあったら良かったですね。
めちゃめちゃ良かったと思いますね。今のように種類が豊富なお店は、大型店ならではですよね。当時こんな店があったら、ワクワクしていたと思います。ただ、親としては連れて行きたくないかもしれませんね(笑)。「これも欲しい、あれも欲しい」ってなりそうですし。でも、単純にすごく楽しい場所だと思います。
――今日はヨネックス主催のイベントですが、潮田さんとは長いお付き合いだと思います。ヨネックスとの思い出で、一番鮮明に浮かぶものはありますか?
ヨネックスの思い出ですか。やっぱり子供の頃、ウェアやラケットって高価なので、なかなか買ってもらえなかったんですよね。でも、九州大会で優勝したら、新しいユニフォームを買ってもらえるというご褒美があって、それがすごく大きなモチベーションになっていました。
あと、小学校4年生の時のことなんですが、クリスマスにサンタさんに何をお願いするかってなった時、ラケットバッグが欲しくてお願いしたんです。でも、クリスマスの朝になっても届いていなくて、「今年はサンタさんが来てくれなかった」と母親に言ったら、「ごめん、それ2月発売なんだよね」って言われたんです(笑)。それから、2月になって母がそのラケットバッグを買ってくれたんです。今でもそのバッグの柄を鮮明に覚えていて、すごく嬉しかったですね。
――今日のイベントを拝見して、引退後もスポーツの普及活動や、代表を務めるWoman's waysの活動など、エネルギーに溢れていますよね。その原動力はどこから来ているのでしょうか?
そうですね…。いつも思うのは、「ワクワクするかどうか」がすごく大事だということです。もちろん、全てが楽しいことばかりではないんですが、やらずに後悔するよりは、挑戦してみた方がいいんじゃないかって思うんですよね。
現役を離れて、情熱を注ぐものがなかなか見つからないこともあります。ですが、母親や妻、元アスリートとしての立場がある中で、「自分が成長を止めるのは嫌だな」と思うことがよくあります。なぜそう思うのかは、自分でもはっきりとはわからないんですが、常に新しいことにチャレンジしたいという気持ちが強いのかもしれません。
今の自分に甘んじていいのか?という思いが、いつも原動力になっているんだと思います。それに、アスリート時代の名残もあるのかもしれません。アスリートは常に挑戦し続けることが求められますからね。
それに、母親になって気づいたのですが、子供は短い間にも驚くほど成長します。それに比べて、大人の3年間はあまり変わらないことが多いですよね。現役時代は、練習を通じて自分の成長を感じることができましたが、日常生活の中でそれを感じるのは難しいです。だからこそ、私もまだまだ人間的に成長したいし、挑戦していきたいと思っています。それが原動力なのかもしれませんね。
――このアルペングループマガジンは学生さんもよく見るサイトですが、壁にぶつかったときやスランプに陥ったとき、メンタル面でどのように乗り越えてきたのか、アドバイスをいただけますか?
大事なのは、「どうして伸びないのか」を客観的に考えることだと思います。努力しているのに結果が出ない場合、もしかしたらその努力の方向が間違っているかもしれません。本当に自分に足りないものが何か、しっかり分析することが必要です。
たとえば、自分のプレースタイルや性格を見直すことも大切です。試合中にすぐイライラしたり諦めてしまうことがあるなら、メンタルトレーナーに相談するのも一つの方法ですし、強い選手がどんな行動をしているかを参考にするのも良いですね。
調子がいい時はどんどん吸収して成長できますが、伸び悩んでいる時こそ「自分に何が足りないのか」を見極めることが重要です。単に「頑張っているのに伸びない」と思うのではなく、視点を変えて自分を研究することが大事です。特に、調子が悪い時ほど自分を冷静に見る習慣をつけることが必要ですね。いつも勝てるわけではないので、負けた時にどう対応するかが、次への成長につながると思います。
――最後に、潮田さんの10年後、20年後の理想像をお聞かせください。
難しい質問ですね。でも、その時々で自分がやりたいことや周囲から求められるものって変わってくると思います。年齢やステージが上がるにつれて、周囲の期待も変化しますし、今でもそれを感じています。
例えば、バドミントン協会内での育成活動や「Woman's ways」の取り組みなど、まだやらなければならないことがたくさんあります。これまでの12年間、主に表舞台でメディア活動をしてきましたが、大会の運営や裏方での仕事も、これからはもっと挑戦できる分野だと思っています。そういった新しい役割に取り組んでいるのではないかと想像します。
また、10年後には子供たちも中学生や高校生になっているでしょうし、その頃には今よりも時間に余裕ができるかもしれません。ジュニアのクラブを運営しているかもしれないですし、今手が回らないことにも挑戦していきたいと思っています。人の成長を見届けることが喜びに感じる時期が来ると思うので、その時には新しい形でサポートしていきたいですね。