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other2024.12.06

11年ぶりに日本代表に復帰!松平賢二、世界選手権を前にAlpen FUKUOKAでファンと交流

今年6月に開催された卓球、アジア選手権で世界への切符を手にしたのは35歳の松平賢二選手(協和キリン)だ。選考会では吉山和希選手(岡山リベッツ)、松島輝空選手(木下グループ)などの若手を下し、円熟のプレーで勝利をつかんだ。来年の世界選手権を前にAlpen FUKUOKA(アルペンフクオカ)では松平選手をゲストに迎えトークイベントを開催。アジア選手権を振り返りながら、松平選手から直接プレー指導が受けられる場面も。今回はイベントに潜入し、松平選手の現在の心境をレポートしたいと思う。


――アジア選手権の国内代表選考会において、吉山選手、松島選手といった将来の日本を背負う選手との連戦になりましたが、どのような点を意識しましたか?

アジア選手権の選考会に出るというのが、ここ数年の僕だと考えられなくて。正直、僕はいま世界選手権を目指す選手ではないと自分で線引きをしていました。でも自分で獲得した権利なので、そこはしっかり自分がどこまで通用するのか試してみようと。

現在の目標として、全日本選手権優勝があります。優勝するためには実業団の選手ばかりではなく、若い選手を倒さないといけない。そのためにアジア選手権の選考会に挑んだところもあります。吉山君や松島君に勝つために何をしないといけないのか。スピードでは対抗できないので、自分のプレースタイルを変えるところからスタートしました。それが本当にはまって、勝つことができました。


――11年ぶりの日本代表として試合に出た率直なお気持ちは?

選考会が終わってから試合会場に行くまで実感がなかったのですが、日の丸の重さは試合の時に凄く感じました。これが日本代表、日の丸を背負って戦っているんだなと。ただ、プレッシャーに感じることはなくて、逆に自分のモチベーションになったのでアジア選手権では戦っていて心地よかったです。


――アジア選手権では2回戦で世界ランキング20位の選手と対戦して勝利されました。どのような心境でのぞみましたか?

本当に誰も僕が勝つと思っていなかったと思うんですよね(笑)。まわりの日本チームの選手と話していても、練習の段階から「賢二さん組み合わせ厳しいですね」と言われてて。僕も厳しいと思っていたんですけれど、やってみなければわからない。一発勝負で自分の強みと相手の弱みを作戦で重ねることができれば自分にもチャンスがあると思っていました。

世界選手権に出たいという欲が強すぎると空回りすると思ったので、メンタル面が激しくならないようにだけ気を付けて、後はもういつも通りやることを心がけた。結果、作戦が上手くいったのが良かったですね。2回戦を勝った後、日本チームみんなが喜んでくれてたんで、それも自分としては嬉しかったです。やっと認めてもらえたかなって。


――次に順位決定戦に回られて見事勝利し、世界選手権への切符を手に入れます。順位決定戦ではまた違ったお気持ちでのぞまれたんですか?

3回戦で北朝鮮の選手に敗れて。それも0-3で敗れたんですけれど。自分のやるべきことをやって完敗しました。3回戦が午前10時からあって、決定戦が夕方の16時にあったのでそこまでの時間をどうするか気持ちの切り替えが一番大切で。負けてすぐホテルに戻って5分くらいお風呂につかってリフレッシュし、また欲を消すところからスタートしました。次の一発だけに集中して調整したというところですね。


――若手の選手が台頭している中、これだけは負けないという点は?

やっぱり誰よりも真面目に粘り強く長くやれるところですかね。他の人より忍耐力は強いと思います。そこ以外は本当に何もないです(笑)、技術的な部分では勝てないところがあって。ただそこを長い年月かけてやり切ってやっと追いつくみたいな。そういうのは出来るので。諦めの悪さですかね(笑)。


――来年の世界選手権への意気込みは?

僕のいまの率直な気持ちとして、世界選手権へのモチベーションって無くて。以前だったら世界選手権でベスト8に入りたいとか、メダルを獲りたいというのが目標としてあったんですけれど。それを同期の水谷隼に話したら「上を目指すとかはどうでもいいから、いまの俺を見てくれ!で出るのが一番いいんじゃない?」と言ってくれて。「あ、それはそうか」と思って、それが新しいモチベーションになりました。それを踏まえた上で、僕まだ世界選手権の個人戦でシングルスは1勝しかしたことがないので、2勝するのがまずひとつ目標です。


ファンに指導する松平選手。的確なアドバイスで皆さんプレーが改善していきます


松平選手にじゃんけんで勝った参加者には豪華賞品が


その後、松平選手は会場からの質問に答えたり、卓球台を使ったプレー指導やじゃんけん大会を行いファンとの交流を深めた。後半は松平選手が使用している用具や、具体的な戦略についてさらに詳しく深掘っていこう。


■松平賢二インタビュー「自分を信じ、やり切る力を信じて」

――Alpen FUKUOKAの卓球コーナーの印象はいかがですか?

立地も凄いし、この一角でこれだけ卓球用具が揃っているのは本当に素晴らしい。卓球をやっているスタッフが指南してくれるのもいいですね。ネットで買える時代ですけれど、はじめてやる人たちは何を使えばいいのかわからない。卓球用具は種類も多いので、スタッフにアドバイスをもらいながら、実際に打ってみて良かったら買うというのができるのがいいです。


――どういうラケット、ラバーを使われていますか?

ラケットはヴィクタスの「ゼクスギア アウト」を使っています。ラバーはアジア選手権選考会の時は、フォア面が「V 20 ダブルエキストラ」、バック面が「V22ダブルエキストラ」で行きました。アジア選手権本大会の時はフォア面が「V22ダブルエキストラ」、バック面を「V 20 ダブルエキストラ」にチェンジしました。現在は、両面「V22ダブルエキストラ」にしています。何故かというと、大会によってボールが違うんですよね。なので、ボールの硬さに合わせて用具を調整しています。

ラケットは3年くらい同じものを使っています。「ゼクスギア アウト」は弾むラケットですが、ただ弾むだけじゃなくて、球持ちがいい。弾むラケットの場合、打ってから球離れが速すぎてコントロールできない感覚がありますが、現在のラケットは手に響く感じがあって打球感覚が凄くいい。それでいて弾んでくれるので、信頼しています。

ラバーで一番大切なのは打球感。ボールは種類によって硬さが違うので、それに合わせて柔らかくしたり、硬くしたりを大会ごとに試行錯誤しています。


――戦略的な部分でアジア選手権の勝因は何だと思いますか?

速い卓球に対して準備したというのが一番大きいところですね。チキータに対して、僕は苦手意識が強くて。チキータをさせないよう自分のサーブを組み立ててきたのですが、試合が続いていくうちに、あっちも僕の配球や回転に慣れてくるんで、最後それでやられていました。今回はチキータさせるよというサーブを出していって、最後に封じるようなサーブという組み立てに変えました。

あと、僕はもともと台から距離をとって打つタイプなんですけれど、それだとどうしても左右に振り回される。なので、今回は下がらないよう意識して、前についてコースだけを突くというところで勝負できたのがあります。


――プレースタイルを変えるのは勇気がいることと思いますが

僕は、日本リーグという実業団の試合で12年くらいやっているんですけれど、最近そこでも勝てなくなってきてて。一緒のことをやって、負けが多かったので思い切って変えました。それはやっぱり欲がなかったからできたんだと思います。「アジア選手権の日本代表になりたい」という欲があれば、たぶん変えられなかった。


――メンタルのコントロールがお上手ですね

それはやっぱり年齢かなと思いますね。この歳になって、やっと柔らかく客観的に見れるようになったといいますか。もともと練習はもの凄くやる方で、限界を超えてやっていた時期もあります。「自分の限界を超えないとダメ」みたいな。この歳になって、監督もやらせてもらって、色んな話も聞けたりしますし、色んな見方もできるようになってきました。今回の選考会でも、本選でも、結局最後はメンタルの部分がどうしても出てきます。技術、戦術は自分が準備してきたものでしか戦えないので。最後のチャンスをつかむ時、メンタルが荒れるのが一番もったいない。


――世界選手権ではまわりの人にどんな姿を見せたいですか?

出るからにはやっぱり日本代表として恥じないくらいまでは持っていきたい。僕がアジア選手権で韓国の選手に勝った時、まわりが湧いてくれたんですよ。日本代表もそうだし、ネットを見ると勇気をもらったみたいに言ってくれて。今の僕を100%出し切りたいです。奥さんと娘も見に来てくれるんで、近い人に届けられるような試合もしたいと思っています。そこがひとつモチベーションですね。


――卓球に励む皆さんにひとことお願いします

今回僕が代表になったということは、誰にでもチャンスがあることだと思います。ですので、自分に見切りをつけないで諦めないで。目指しているものがあるんだったら。卓球に限らず、そこに対して貪欲に行ってもらいたいです。試行錯誤してやり切るまでやり切るのが大切なんじゃないでしょうか。

自然体で、どこかいい感じに力が抜けている松平賢二選手。真摯に卓球に向き合う彼が、来年どのようなプレーを繰り広げるのか注目したい。Alpen FUKUOKAでは、松平選手愛用のラケット、ラバーに加え、豊富なラインナップを取り揃えている。卓球をしている人、これから始めたいという人は是非、のぞいてみてほしい。


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