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outdoor2021.11.11

世界一のバリスタ井崎英典さんが提案する、アウトドアでおいしい“本格コーヒー”の淹れ方

仕事の休憩にコーヒーを飲む人、コーヒーを飲むために外出する人、アウトドアで自然の空気と開放感を感じながらコーヒーを楽しむ人など、コーヒーには人それぞれ様々な目的や楽しみ方があります。大好きなコーヒーブレイクに最高の一杯を飲みたいと思う方も多いのではないでしょうか。

今回は、2014年にイタリアで開催されたワールド・バリスタ・チャンピオンシップにおいてアジア人史上初、日本人としても現在まで唯一の優勝を果たしたバリスタの井崎英典さんに、おいしいコーヒーの淹れ方のポイントと、コーヒーの魅力についてお話しを聞かせてもらいました。


挽きグラインダーで豆を挽き、ハンドドリップでおいしく淹れるためのコツを井崎さんに実演していただきました。


――寒い季節のキャンプだからこそ楽しめるのが、熱いコーヒー。井崎さんが提案するおいしくコーヒーを飲むための淹れ方を教えてください。

まず豆をグラインダーに入れて、豆を挽く音がなくなるまで挽いていきます。


豆を挽き終わったら、ペーパーフィルターをセットしたドリッパーと、サーバー(無い場合はマグカップでも代用可)をセットします。一度お湯をペーパーとドリッパーにさっと注いで(湯通し)、全体を温めていきます。ペーパーフィルターを使用する場合、湯通しせずにそのままドリップすると、ペーパーフィルターの紙の香りがついてしまうので、それを取るためにも湯通しは絶対にした方がいいです。2回は必ず湯通しをしてください。


湯通しが終わったら、挽いた粉をドリッパーに入れていきます。粉を全部入れたら、お湯を注いでいきます。


今回は全体で300mlのお湯を使って淹れるんですけど、最初は全体量の20%の水分量(今回なら300mlの20%で60ml)で粉全体をしっかりと湿らせて(蒸らし)、豆の準備体操をします。ここでしっかり蒸らさないと成分が出にくくなるんです。1分くらいしっかり蒸らしてから淹れた方が、より味わい深くなります。


1分経ったら、次はもう60ml(合計120ml)くらいまでお湯を注いで、また1分ほど待ちます。


注ぎ始めから2分経ったら、あとは残りのお湯(今回だと180ml)をすべて注いで、ドリッパーから落ちきったら完成です。



――井崎さんはアウトドア好きと伺っておりますが、アウトドアでコーヒーを淹れる時の必須アイテムを教えてください。

僕はグラインダーとスケールは必須で持っていきます。コーヒーって水と粉の比率さえ守ればおいしく淹れられるから、スケールは絶対に持っていきますね。分量を考えながら淹れるのが面倒くさいので(笑)。手動のグラインダーだと、電源がいらないから、どこでも挽けるので便利です。


今回は、ドイツのブランドである「コマンダンテ」の挽きグラインダーを使用しましたが、普段はここまでしっかりしたものはキャンプには持っていきません。もっとお手頃なグラインダーを持っていきます。あとは、ドリッパーとミルクピッチャーを持っていきます。ミルクピッチャーがあればドリップケトル代わりにも、サーバー代わりにもできるので便利です。


だけど、正直に言うと、挽く物さえあればコーヒーは淹れられるので、最低限グラインダーだけあればいいと思います。砕いた豆にそのままお湯をいれて飲むターキッシュコーヒーという飲み方もコーヒーの楽しみ方のひとつですね。カップの中に粉を直接いれて、お湯をダイレクトに注いで、4分くらいそのままにしておいて、上澄みを啜るように飲めばいいんです。道具にこだわるのも楽しいんですけど、キャンプは、そこにあるもので工夫して淹れるのも醍醐味だと思っています。普段はやらないような非日常を楽しむのがアウトドアだと思うので、究極はグラインダーさえいらない。豆とお湯だけでも十分コーヒーブレイクを楽しめるかもしれません。


――コーヒーを淹れる過程の楽しみ方が増えると、味も変わってくるような気がしますね。アウトドアでのおすすめのコーヒー用品はありますか?

エアロプレスというものがあります。空気圧でコーヒーを抽出できる器具です。粉とお湯さえあればこれ1個で完結するので、キャンパーで持っている方が多いです。山に行くと、山頂のコーヒーブレイクでこれを使って淹れている人をよく見ますね。


――自然とコーヒーの親和性を、どのように考えていますか?

究極のマインドフルネスだと思います。僕は以前軽井沢住んでたんですけど、近くにキャンプ場があって、よく行ってたんです。その際、朝イチでコーヒーを淹れて飲むのが最高の時間だったんですよ。正直、そのコーヒーが美味しいか不味いかなんてどうでも良かったんです。そこにコーヒーがあることが大事でした。もちろん、うちのラボみたいなところで淹れるコーヒーは美味しいんですけど、そうではなく、不便な環境で丁寧に淹れて、最高のロケーションの中で飲むコーヒーの美味しさも格別なんです。


僕、最近ベランダが広いところに引っ越しをして、家にいるときは外でご飯を食べてるんですよ。外でご飯を食べると五感が研ぎ澄まされて料理がおいしいんですよね。外で食べる、外で飲むって心のリラックスに繋がるんじゃないかなと思います。


――バリスタを一生の職業にしようと思ったきっかけは何かあったのでしょうか。

僕は福岡出身で、父親がコーヒー屋をやっていました。すごく大変そうだったので、最初はコーヒーを仕事にしたいなんて思ってなかったんです。そんな中、高校を中退することになって、父親に勧められてコーヒー屋でバリスタをやることになりました。


最初は一生の職業にしようなんて思ってなかったんですけど、10代で国内の大きな競技会(ジャパン・バリスタ・チャンピオンシップ)に出て、ステージに立って競技を終えたときに、「俺はこれで食っていこう。これが俺の生きる道かな」って思いました。


――今後コーヒー業界を変えていきたいという願望などはありますか?

そんなことは一度も思ったことないです。日本では、1880年代くらいからコーヒーの喫茶文化が始まってるんですけど、そこから変わってるものと変わってないものがあるんです。今があるのは間違いなく先人の方々のおかげなんですが、それを否定するのはすごく簡単なことだけど、そうではなく、僕は自分ができることでどうやって業界に貢献できるかを考えることが大事だと思います。僕の場合だと、コーヒーブレイクをプロデュースしていくというミッションを見つけました。


より良質なコーヒーブレイクを過ごしてもらうことが僕のミッションです。緊急事態宣言で世の中が閉鎖的になっている時期には、毎日30分、みんなでひとつのテーブルを囲うようにコーヒーを飲む「ブリューホーム」という活動をオンライン上で開催しました。ただ、家でコーヒーを飲んでリラックスするのはすごく大事だと思っている一方で、オフラインで直接人と会ってコミュニケーションをとることが一番本来の人間らしい姿だとも思っている。人とコーヒーとの出会いの場もプロデュースしていきたいです。



――井崎さんが思うコーヒーの魅力はなんですか?

コーヒーって、国籍、人種、文化など関係なしに国境を越えてみんなを幸せにする力があると思うんですよね。飲むとホッとするじゃないですか。コーヒーを飲みながら喧嘩をする人ってあまり見たことないですよね。リラックスしながら話せるので、コミュニケーションもとりやすく、すごい平和なプロダクトだなと僕は思ってます。


「コーヒーっていうものを通して、リラックスできる癒しの時間を過ごしてほしい。それが僕のできることかなって思っています。」と井崎さんは話してくれました。

コーヒーを淹れる過程やロケーションが変わればコーヒーの味わいも変わってくるはず。気分転換やリフレッシュをしたいときは、普段とは一味違う淹れ方や、お気に入りの場所に足を運び、あなただけの最高の一杯でコーヒーブレイク(贅沢な時間)を楽しんでみてはいかがでしょうか。
 


◆インフォメーション

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