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running2023.07.07

目指せサブ4!アシックスの意欲作S4に新色登場

「サブ4は、壁ではない。」のキャッチコピーで昨年リリースされたS4の新色が登場です。

というタイミングで、このシューズがなぜにサブ4に特化した機能があるのかを掘り下げてみようと思います。


フルマラソン4時間切りを通称サブ4と言いますが、そのタイムがどれほどのものなのかをまずは紐解いてみましょう。

色々な統計がありますが、フルマラソン4時間切りは全ランナーの上位20%にあたると言われています。大会に参加するくらい熱心に走っている人の5人に1人しかいないことになります。それだけでもかなりすごいことがわかりますね。ちなみにそのペースはというと平均5分41秒/km。100mを約34秒、50mを約17秒と聞くとさほど速いペースではないのですが、これを42km続けるとなると、とてもむずかしいことになります。

そんな、決して速くないペースだけど、それをフルマラソンの距離で走り続けると一体どうなるのか、というところが今回のS4コンセプトのポイントです。


このように機能説明はあるものの、では一体なにがサブ4に特化した機能なのかという事はブランドとして言及していません。なので今回勝手ながらも、自分が実際に走って試して感じたことを主観でお伝えさせていただきますと、そのこころは「ヒール着地推奨シューズ」だと思います。


着地に関しては

つま先から着く「フォアフット着地」

足裏全体で着く「ミッドフット着地」

かかとから着く「リアフット着地」


という3つにざっくりと分類されます。

ことマラソンの距離を走り切る上では、世界のトップレベル選手ではじめて実践可能なのがフォアフット着地であり、一般ランナーのほとんどが残りの2つの接地方法になります。その中で一番多いのがリアフット着地であり、サブ4を目指すレベルのランナーも同様の傾向です。

ということを前提にして機能を見ていきましょう。


仕様に関しては、アシックスのトップレーシングモデルであるMETASPEEDシリーズとかなり近く、アッパーやシューレースもほぼ同様の素材を使用しています。アウトソールも同様の素材ですが、厚みと範囲を広く取って耐久性を向上させてます。


違いはミッドソール。

高反発フォーム「FF BLAST TURBO」を上層に配置しつつ、下層には安定性に優れる「FLYTEFORM」を敷いたハイブリッドタイプ。この色違いの境界部に沿ってカーボンプレートが搭載されています。

かかとで着地したときの安定感と、そこから転がしてくれるカーボンプレートのガイド感が、実際に走ってみるとよくわかります。

逆にフォアフット着地だと、クイっとせり上がったつま先部分のせいか空回りするような感覚があります。

それで確信しての、「ヒール着地推奨シューズ」というわけで、サブ4を目指すランナーに多い接地に特化したシューズがこのS4というわけだと自分は理解しました。

でもこの提案、自分で言っておいてちょっと違いまして、リアフット着地のランナーでなければこのシューズは活かせない、というわけではありません。

ランナーの多くがスタート時と後半でフォームが変わってしまう、もとい、崩れてしまう方がほとんどです。失速の原因はフォームの乱れであり、正しいフォームを維持し続けることがスピードの源。自分も熱心に練習してますが、これがなかなかどうして、むずかしいんですよね、、、

フォーム崩れの代表的なものが、姿勢を維持することができなくなって腰が落ちてしまうことと、後傾してしまうこと。そんなレース後半は、サブスリーレベルのミッドフット着地ランナーでも、どうしても接地時間が長くなり接地も後側になってしまいます。そんな時に助けてくれるのがこのシューズだと思いました。


5/27に開催されたサブ4狙いランナーのための大会「CHALLENGE 4」でS4を履いてペースメーカーを担当したのですが、脚が疲れてきた後半にこそ、後ろ側の接地を意識するとラクに走れました。また、正しいミッドフット着地はかかとを上から落とす走りのため、むしろS4はそれを身につけるにはもってこいのシューズだと思います。

超限定的なネーミングに込められた意欲作から感じ取った個人的意見となりますが、ガチンコでサブ4狙いの方はもちろん、それ以外の走力の方も「接地方法」次第でフィットするシューズがこのS4です。

ぜひ一度お試しください!
 


<著者プロフィール>

牧野 英明

BEAMS所属。キャリア約20年の中で、店頭とECスタッフを15年、2020年よりTIGORA by BEAMS DESIGNのディレクターを務め、Alpen TOKYOオープンを機にアルペン ランニング ディヴィジョンアドバイザーに就任。

自身も熱心なランナーであり、フルマラソンベストは2時間47分44秒(東京マラソン2023)。ロード以外にもトラックレースやトレイルランにも積極的に取り組む全方位ランナー。

「走るに快適なファッション日常着」を体現する#いつでも10km走れるコーディネート は業界でも有名。

ファッション目線を取り入れた独自のシューズレビューをぜひお楽しみください。

Instagram: @makinohideaki

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