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football2019.10.11

プレースタイルにあわせたサッカースパイクの選び方

楽しくスポーツギアを選ぶために必要な知識を、アカデミー形式で学んでいく、「SPORTS GEAR ACADEMY」。本連載のフットボール編では、3回にわたってスパイクの選び方講座を実施していく。2回目の講師は前回に引き続き『キャプテン翼スタジアム』でコーチを務める杉浦祐希と『サッカーキング』大塚光一。受講するのは高校時代に強豪校でプレーした経験をもつ現役大学生の佐藤凛太朗。今回はプレースタイルに注目してスパイク選びを考えていく。


■プレースタイルを3つに分類


杉浦:現代のトップ選手は「スピードがある」、「敏捷性に優れる」、「ボールコントロールやキックがうまい」など、様々な特徴があってポジションも違っています。スパイクメーカー各社もプレースタイル別に応じて複数のモデルを開発し、選手のニーズに応えています。今回は、プレイヤーのタイプを、スペシャルなプレイヤーの「スピード系プレイヤー」と「アジリティ系プレイヤー」、ボールコントロールを含めてバランスのとれた「マルチプレイヤー」と定義し、この3分類にフィットするスパイクを考えていきます。

―スピード系プレイヤー
・ゴールに向かう縦のロングスピードと、一瞬のショートスピードで勝負するプレーヤー
・代表的なプレーヤーは、クリスティアーノ・ロナウド、ガレス・ベイル、ネイマール、ルイス・スアレスなど

―アジリティ系プレイヤー
・バイタルエリアでもジグザグに相手をすり抜ける、クイックネスと緩急で相手と勝負するプレーヤー
・代表するプレーヤーは、リオネル・メッシ、エデン・アザール、香川真司、久保建英など

―マルチプレイヤー
・いかなるエリアでもゲームをコントロールする。ボールを止める、置く、蹴るを90分間安定的に行えるプレーヤー
・代表するプレーヤーは、アンドレス・イニエスタ、トニ・クロース、長谷部誠、柴崎岳など


■スピード系プレイヤー向けの2足

(左)マーキュリアル(右)エックス

杉浦:スピード系プレイヤー向けのモデルはナイキの「マーキュリアル」とアディダスの「エックス」。この両モデルはとにかく軽さが特徴です。スピード系のスパイクは軽さがとにかく特徴的です。また、一芸に秀でたパフォーマンスを持っている子が「マーキュリアル」を選んでいる傾向があるかと思います。

大塚:最近、育成年代を取材していて、ポジションを問わず「エックス」を履いている子が増えてきた気がするんですよね。「エックス」は今年発売されたモデルで大きくモデルチェンジされたので、それを機に「エックス」に履き替えた子が多くいるみたいです。香川真司や久保建英も履いてますし。

マーキュリアル
・スピードを感じる全体的なテキストのデザイン
・つなぎ目のないシームレスな設計が足全体を包み込む

エックス
・コーティングされた軽くて柔らかいメッシュのアッパーがスピードプレーに対応
・鷹の爪をモチーフにした履き口とヒールカウンターのクッションによるホールド感


■アジリティ系プレイヤーにはこの3足

(左)ネメシス(中央)フューチャー(右)レビュラ

杉浦:アジリティプレイヤー向けのモデルはアディダスの「ネメシス」とプーマの「フューチャー」、ミズノの「レビュラ」ですかね。俊敏な動きを可能にするスパイクです。「ネメシス」は足に巻くバンテージテープをモチーフにして作られていて、足を包み込むようなデザイン設計により、ホールド感が高く、素早い動きが可能になると言われています。「フューチャー」はシューレースを通す位置を自分でカスタマイズできるというユニークさがあり、足に適したホールド感を自分のカスタマイズで得ることができます。「レビュラ」はスタッドに特徴があり、ねじれるソールとグリップ力の高い鋭角なスタッドで素早いターンができるようになっています。

ネメシス
・テープの立体構造がシューズを保形し、俊敏な動きをサポート
・履き口のV字型テープが足首周りをホールド

フューチャー
・柔らかさ、伸縮性、強度をかねそなえた独自のニット素材アッパー
・足に合わせて自由に靴紐を結べるシューレース

レビュラ
・グリップ力のあるポイント
・蹴り出しをサポートするねじれるアウトソール


■マルチプレイヤー向けの定番モデル

(左)ティエンポ(右)DS LIGHT

杉浦:マルチプレイヤー向けがナイキのティエンポとアシックスのDS LIGHTになるでしょうか。このあたりのモデルは牛革やカンガルーレザーなどの天然皮革のアッパーのものが多く、ボールコントロールの精度が重視されています。バランスがよく万能型のスパイク、というイメージですね。「ティエンポ」はアッパーにボールへのグリップ力と吸着性があり、トラップなど繊細なボールタッチをサポートします。「DS LIGHT」は、トップ選手が求めるようなフィット感を、グレードの高いカンガルーレザーを使うことで実現しています。

ティエンポ
・立体的で繋ぎ目のないレザーアッパーによるフィット感

DS LIGHT
・悪天も対応する上質なカンガルーレザーによるフィット感
・ヒールカウンターによる安定感

佐藤:DS LIGHTのように、長く愛されているベーシックなデザインのスパイクがマルチプレーヤーに適していて、好まれているんですかね?

杉浦:そうですね、天然皮革を使っているのでシンプルということもあるかと思います。アッパーが天然皮革だとケアが大変かもしれないですけど、それを差し引いてもマルチプレーヤーはレザーのスパイクを1足持っていると安心かもしれないですね。ただ、天然皮革のトップモデルは値段も高くなってしまうので、中価格帯で探すのが良いかもしれないですね。


■最後は自分なりのこだわりを見つける


杉浦:グランドやプレースタイルなどでスパイクの候補をしぼり、最終的には自分なりのこだわりで選ぶと良いかと思います。私の場合は「ホールド感」を一番重視しています。履き口付近の足を包む感覚は大事にしていて、履いた時にキュッとなるぐらいのほうがいいです。ハイカットのスパイクも、最初は履きづらくて脱ぐのも大変だったんですが、履いた時に足首ががっちりホールドされている感覚があるので、結構好きです。佐藤さんは自分なりのこだわり何かありますか?

佐藤:私もホールド感を重視しています。かかとが固定されている感じや、足の甲をキュッと包み込めるかどうかが気になります。あとメーカーやモデルはあまり気にせず、履く前に手を加えて自分仕様にしています。買ってそのまま履くことはないですね。例えばアッパーが堅いスパイクにドライヤーの熱で柔らかくしようとしたり、ボールを入れて広げてようとしたり。気分的なものかもしれないですが(笑)。

大塚:スパイクを自分なりにカスタマイズして履くのは、スパイクへの思い入れが強くなりそうで良いですね。メーカーやモデルもあえてこだわらないってのも購入するスパイクの選択肢が広がりそう。柔軟な考えで、その時々にあった一足を探すと、スパイク選びがより楽しくなりそうですね。

杉浦:今回の講義は以上となります。スパイクを買う際、まずはしっかりそのスパイクがもつ特徴(情報)をインプットする。そして、プレーするピッチや自分自身のプレーの特徴を頭に入れながら適したスパイクを選んでいきましょう。


[ スパイク講座  第一回講義   第二回講義   第三講義    第四回講義(座談会)  はこちら ]


#プロフィール

(左)大塚光一、(中央)杉浦祐希、(右)佐藤凛太郎

講師
大塚光一
国内最大級のサッカー情報サイト「サッカーキング」にて多数のスポーツギアの企画を担当。学生時代はサッカー一筋の生活を送り、現在も社会人リーグでプレー。

杉浦祐希
全国に8校展開し、徹底した技術指導が特徴のジュニアサッカースクール「キャプテン翼サッカースクール」コーチ。学生時代は強豪校に所属し、全国大会で活躍した経験を持つ。現在もフットサル関東一部リーグなど、現役でプレーを継続中。

受講生
佐藤凛太郎
東海大学に通う現役大学生。小中高とサッカー漬けの日々を送り、高校時代は強豪東海大高輪台に所属し。現在も社会人リーグでプレー。

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