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football2019.10.11

サッカースパイクの選び方の基本(スパイクの構造とトレンド)

楽しくスポーツギアを選ぶために必要な知識を、アカデミー形式で学んでいく、「SPORTS GEAR ACADEMY」。本連載のフットボール編では、3回にわたってスパイクの選び方講座を実施。講師に迎えるのは徹底した技術指導が特徴の『キャプテン翼サッカースクール』でコーチを務める杉浦祐希と、国内最大級のサッカー情報サイト『サッカーキング』大塚光一のお二人。受講するのは高校時代に強豪校でプレーした経験をもつ、現役大学生の佐藤凛太朗。第一回目の今回は、スパイクの構造やパーツの特徴など、スパイク選びの基本的な内容をおさえていく。


■スパイクの基本的なパーツと役割


杉浦:今回の講義では、スパイクを選ぶ上で最低限知って置きたいパーツなどの構造について学んでいきます。まずは主要なパーツと近年のトレンドについて簡単に説明します。「アッパー」はスパイクの表面全体を指し、素材は天然皮革と人工皮革の2種類。革についてはこのあと別のパートで詳しく紹介します。「シューレース」は靴ひものことで、最近だと足の特徴に合わせて紐を好きな場所に通せるモデルや、ボールコントロールの邪魔にならないようにシューレースがないモデルなども出てきています。「ベロ」は足の甲とスパイクの間に入るパーツ。以前はベロの長いモデルを見かけましたが、最近は短いものが主流ですね。フィット感を高めるためにアッパーとベロが一体になっているものもあります。最後が「ヒールカウンター」。かかとを安定させ、足の軸をブレさせない役割があります。

―アッパー
・スパイクの表面全体を指し、素材には天然皮革と人工皮革の2種類がある
・天然皮革は足に馴染みやすくフィット感があり、人工皮革は耐久性や保形性があるため手入れがしやすい

―シューレース
・靴ひもを指し、足にスパイクをフィットさせる重要な役割がある

―ベロ
・足の甲とスパイクの間に入るパーツ
・足を保護したりフィット感を高める役割がある

―ヒールカウンター
・かかとを安定させ、足の軸をブレさせない役割がある
・内蔵されているものと外側につけられているタイプがある


■グランドに合わせてソールを選ぶ


杉浦:続いてソールについて。プレーするグランドに合わせたスパイクのソール選びが必要になります。大きく3種類あって「HG」は土、「AG」は人工芝、「FG」は天然芝を意味します。兼用モデルもあり、人工芝と土のグランドを兼ねた「MG(マルチグラウンド)」、全グランドに対応するソールをミズノやアシックスが採用していたりもします。

​―FG(ファームグラウンド)
・天然芝用のソール
・スタッドは細く長めで数は少ない

​―AG(アーティフィシャルグラウンド)
・人工芝用のソール
・大きさが異なるスタッドがよく使われる

―HG(HARD GROUND)
・土のグラウンド用のソール
・スタッドは低く数が多い

―MG(MULTI GROUND)
・人工芝と土のグランドでの使用を兼ねたソール

―全グランド対応
・全てのグランドでの使用可能なソール
・日本メーカーが採用している

大塚:スタッドにも特徴があり、「HG」は土でグリップするように短くて面積が広かったり、「FG」は芝生に刺さりやすくするために細長くなっています。そのため、グランドに合ったソールを履かないとプレーにも悪影響がでてきます。例えば、天然芝で「HG」のスパイクを履くとスタッドの隙間に土が挟まってスパイクが重くなったり、土のグランドで「FG」のスパイクを履いてスタッドが折れてしまったりと。ちなみに佐藤さんはどんな使い分けをされてましたか?

佐藤:僕の場合はずっと人工芝のグランドだったので「AG」を履いてました。たまに土でプレーする時は、履き古したシューズを履くようにしていました。

杉浦:最近は人工芝のグランドが増えてきましたが、中学生以下のカテゴリーでは土のグランドで日々練習している選手も多いと思います。一方で大会になると天然芝や人工芝でプレーする機会もでてくると思うので、グランドに合わせて複数のソールのスパイクを用意しておく必要がありますね。


■拮抗する天然皮革と人工皮革の性能


杉浦:パーツの説明の中でもしましたが、スパイクのアッパー素材は天然皮革と人工皮革があります。以前は人工皮革のモデルが主流の時代もありましたが、ここ最近はやミズノのモレリアやナイキのティエンポといった天然皮革のモデルがまきかえしてきています。

―人工皮革
・革自体は伸びにくく足になじみにくい
・悪天時での使用に強く、使用後も型崩れを起こしにくい
・天然皮革に比べると比較的安価
・手入れの手間がかからない
・加工性に優れ、革自体にカラーやデザインが施されている

―天然皮革
・革が伸びて足なじみが良い
・水に弱く、変形しやすい
・素材はカンガルー、カーフなど値段帯も様々
・ブラッシングなど手入れに手間がかかる

大塚:もともと人工皮革が評価されていたのは軽さとデザイン性でした。天然皮革では軽いスパイクがなかなか作れず、それで人工皮革が優勢になった時期がありました。しかし最近では天然皮革でも軽いスパイクが作られるようになり、天然皮革のスパイク人気が盛り返してきた感じですね。また、人工皮革の軽いスパイクが流行った時は、天然皮革のスパイクはオールドスタイルのデザインのものが多かったため、『イケてる=人工皮革』という感覚でした。今では天然皮革のスパイクでもカラーやデザイン性、機能性が高まってきたために、選択肢として考えられるようになってきました。足なじみによるホールド感や安定感を求める選手が天然皮革を選んでいますね。

杉浦:今回はここまでパーツの名称や特徴、グランドに合わせたソール選び、人工皮革と天然皮革の違いについて説明してきました。次回は今回の内容を踏まえ、プレースタイルに合わせたスパイク選びについて紹介していきます。


[ スパイク講座 第一回講義   第二回講義   第三講義   第四回講義(座談会) はこちら ]


#プロフィール

(左)大塚光一、(中央)杉浦祐希、(右)佐藤凛太郎​

講師
大塚光一
国内最大級のサッカー情報サイト「サッカーキング」にて多数のスポーツギアの企画を担当。学生時代はサッカー一筋の生活を送り、現在も社会人リーグでプレー。

杉浦祐希
全国に8校展開し、徹底した技術指導が特徴のジュニアサッカースクール「キャプテン翼サッカースクール」コーチ。学生時代は強豪校に所属し、全国大会で活躍した経験を持つ。現在もフットサル関東一部リーグなど、現役でプレーを継続中。

受講生
佐藤凛太郎
東海大学に通う現役大学生。小中高とサッカー漬けの日々を送り、高校時代は強豪東海大高輪台に所属し。現在も社会人リーグでプレー。

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