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running2025.04.21

激変、なんと8mmドロップ!HOKA CLIFTON 10(ホカ クリフトン 10)

■2年ぶりのモデルチェンジHOKA CLIFTON 10

HOKAと言えば、CLIFTON (クリフトン)というぐらいランナーの間に定着している代表的なモデル。その10代目がついに2年の時を経て、アップデイトされました。

このシリーズにも、HOKAというブランドにとっても、大きな節目となった記念すべき10代目は、今回大きな変更が施されて、ブランドの象徴とも言える5mmのLowドロップ(ソール高低差)に手を加え、ナント、今回8mmドロップになりました。

HOKAが誕生した2009年はベアフットムーブメントの真っ只中、ソールにほとんどクッションがない0mmドロップも含めた「薄底でLowドロップ」がトレンドだったそんな時代です。トレンドの反動か、時代のニーズか、そこに現れたHOKAは、だからこそ「厚底でLowドロップ」スタイルがその代名詞なのです。

それを今回、そのスタイル自体に変更を加えたわけですから、これは業界も驚くような変化だったと言っていいでしょう。

ただ、これは昨今、他社モデルにも起きている履き分け効果を高めるブランドラインナップの流れでもありますので、この辺りも含めてどんな変更点があって、どんなランナーに合うモデルなのか、他のモデルとの選び分けはどうするのかを解説していきたいと思います。

ということで、今回はHOKA CLIFTON 10(ホカ クリフトン 10 以下:クリフトン 10)を解説したいと思います。


■HOKAはHOKA、クリフトンはクリフトン

2014年にシリーズ初代が発売されて以来、基本的なHOKAらしさ、HOKAランニングシューズとしてのフレームは、ちょっとしたサプライズはありましたが、今回も変わっていないと言っていいでしょう。

クリフトンならずとも、HOKAのモデルの象徴的機能性、

「クッションドミッドソール」

「アクティブフットフレーム」

「メタロッカー」

この3つのコンセプトは健在です。

HOKAはHOKA、クリフトンはクリフトンとなっておりますのでまずはご安心を。特に厚底の代名詞「クッションドミッドソール」は、踵の厚みが単純に3mm増えたメンズで42mmのスタックハイトとなり、今回、このコンセプトはより進化したと言えますね。

また、実は軽量感の要、靴底のまわりをソールが包み込むような形状で足への安定要素を増やす「アクティブフットフレーム」は、余計なパーツを使わずとも安定感を提供できるもの、他社ブランドのモデルにも影響を与えたことは確かです。こちらも健在。

今回、ドロップは8mmになったのですが、ファーストインプレッションとして、試しに片足をクリフトン 9、片足をクリフトン 10にしても正直、あまり気づかないぐらいの変化だと思いました。

特に、何も聞かされなかったら気づかないぐらい自然に変わっている印象ですね。今回もクリフトンはクリフトン、ということです。


■とにかく軽量感、これぞクリフトン

その意味で、足入れして、足を一歩出した瞬間に感じる、デイリートレーナーとは思えないこの軽量感、このクリフトンらしさはまさに健在です。これぞ、クリフトン。

ただ、実は今回踵のスタックハイトが増えたこともあって、私のサイズ25.0cmでクリフトン 9が227g、クリフトン 10は251gと重量は増えています。それでも、まるで重力逆らうようなこの感覚は、このシューズのフィット感に大きく依存するように思います。

足に吸いつくようなフィット感の良さもこのシリーズの特徴。ヒールカップのカウンターがしっかりしていて、デイリートレーナーの機能性も担保しつつ、アッパーはシームレスなジャガードニットになっていて足に密着、この強弱が効いたフィット感こそ、軽量感を感じることができる一助になっていると言えるでしょう。

また、前作まで踵から前足部にかけてやや筒状のラストでしたが、今回、前足部がやや膨らむメリハリのあるラストになって、クリフトン 3あたりを彷彿させる足入れに変更されています。

追記として、摩耗が多い部分に戦略的にブロック状に配置されたアウトソールの軽量化への貢献も少なくないです。


■ひとたび走り出すと印象が変わる、NEW CLIFTON

ただ、ひとたび走り出してみるその印象は変わりますね。8mmドロップになったソールは、踵まわりの存在感を強く感じるファーストインプレッション。とにかく、踵まわりのクッション感とサポート感は高まった、まずそう感じました。

ガイドもHOKAの象徴「メタロッカー」で前後に揺れるような船底ガイドのままですが、前作までのフラットな5mmの低ドロップゆえに強調された前足部の接地感は、よりマイルドに自然なガイドになったと感じました。

何度も言いますが、これドロップが変更されたという情報を知らなければ、気づかないぐらいのチューニングです、これから走り始めるとか、ランニングシューズをあまり履いたことがない人にとっては、素直でシンプルなガイドになっていて、今回HOKA入門編モデルとしての良い形で進化したのではないでしょうか。

とは言え、いつもクリフトンを履いているという“通“なランナーには新鮮な雰囲気であることは間違いなく、やはり3mm高低差が上がることの意味は少なくないことも確か。自分で揺らすような5mmドロップより、自然に前方方向にシューズに誘導される感覚があるはずです。


■HOKAのラインナップの中で履き分け効果が高まる仕様

今後の方向を熟考していたのか、それとも時代の流れを静観していたのか、2年もの時間の間に当然ラインナップにも、業界を取り巻く状況にも変化がありました。そういう意味では、今回の8mmドロップへの変更は、必然だったのかもしれません。

例えば、あるブランドでは 12mmドロップのモデルと6mmドロップモデルのコンビのように構造差のあるモデルがブランド内に同居し、近年各ブランドで見られる、言わば“HOKAのライバル的なモデル“がどんどん出現しています。

しかも、これは、その意味だけでなくて、レーシングラインナップを除くとHOKAモデルは、すべてLowドロップの5mmと、レクリエーションランナーを集めた研究で報告されているような構造的な変化による履き分け効果が、起きにくいブランドラインナップになっているとも言えます。

競争が激化していること、そして、ブランド内の履き分け効果を高めることと、その両面から今回、このスタンダードモデルに手を加えたように思います。ただ、この変化はHOKAブランドが更に進化する、そんな象徴のように感じます。

昨年リリースされた5mmドロップの従来スタイルSKYFLOW(スカイフロー)は、あまりにも“クリフトン”路線でしたが、今回、”本物”のクリフトン 10の出現でこの意味がはっきりした気がします。つまり、この2足は、HOKAブランドラインナップでは構造的には違うことから、履き分け効果は高まる組み合わせになるわけですね。

怪我をしたくないスティディなランナーであれば、構造差による履き分けは必須。それをHOKAブランドでもできますよ、ということなのです。その上、前回2万円台であった価格は、19,800円(税込)になって購入検討もしやすくなりました。

HOKAのベースモデルとして、はじめてランニングシューズを買いたいという方にも、すでにHOKAファンという方にもピッタリな1足、クリフトン 10は今回もそのポジションは健在です。是非一度はお試しください。

> クリフトン 10・ボンダイ  9特集ページはこちら
 


<著者プロフィール>

ランニングシューズフィッティングアドバイザー

藤原岳久(FS☆RUNNING(旧 藤原商会)代表)


日本フットウエア技術協会理事

JAFTスポーツシューフィッターBasic/Advance/Master講座講師

足と靴の健康協議会シューフィッター保持


・ハーフ1時間9分52秒(1993)

・フルマラソン2時間34分28秒(2018年別府大分毎日マラソン)

・富士登山競走5合目の部 準優勝(2005)

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