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football2021.02.09

久保建英・中井卓大からみる、海外と日本の育成現場の違いとは。

小学生時代にその類まれな才能を見出され、世界的を代表するようなスペインのクラブに引き抜かれた2人。久保選手はレアル・マドリードに日本人初のプロ契約選手となり、昨年はビジャレアルにローンで移籍することで武者修行へ(現在はヘタフェ)。

中井選手は下部組織で同じく修行中という状況で、ここまで順調に育ってきていて、日本の至宝といわれても過言ではない存在となっております。この2選手において特徴的であるのは、今までの海外挑戦してきた日本人選手とは違い、ルーツが全くなかったスペインという異国の地に、9歳・10歳という若さで渡り、修行の末の成功とも言える状況です。

三浦知良選手がブラジルに渡ったのは若かったとはいえ15歳の時で、そこからの修行という意味で、久保選手や中井選手は大きなアドバンテージをとっています。

FIFAこと国際サッカー連盟の規制から色々と制限がかかり、今となっては、2度と輩出されることはないに等しいといえる、この世界的な期待を背負う2選手が、果たして日本でそのまま生活をしていたら、ここまで育っていたのかどうかというのは、今となっては誰もが感じる疑問だと思います。なぜならば、そういった経験がまだJリーグのクラブにはないからです。

Jリーグができてようやく25年。先日、横浜FCであの安永聡太郎選手のご子息でもある安永玲央選手が得点を記録するなど、ようやくそういった2世選手がJリーグで活躍するニュースが耳に入ってくる時代に入った感はありますが、まだまだJリーグを経験した指導者は数多いわけではなく、特にワールドカップを経験した選手や各世代の世界大会を経験してきている指導者がさほど多くないというのも現状としてあります。

そんなJリーグの育成現場と彼らが渡ったスペインの育成現場で何が大きく違うのか?と思うことがあり、現地で目にしたことをまとめてみたい。

まず感じたのは圧倒的な練習時間の短さです。スペインでは1回の練習時間は2時間と決まっているかのように、長い時間の練習は目にしない。日本では午後丸々練習したり、朝から2部練習、3部練習なんていうのもザラである。

しかし、その練習時間が短い分、中身は濃い。強度が強いというか、単純に濃い練習が多い。ボール回しにしても指導者がなんとなく横に立っていて、まるで見張りのようにプレッシャーをかけているような感じは全く見かけない。選手と同じぐらい指導者が動き回って手取り足取り「教えている」ように見えることが多い。

練習後は、彼らもすごく疲れた顔をしていることが多く、バルで一杯やっているときに話を聞くと、まさに身体を酷使している印象が見て取れる。選手もそれについていかなければならなく、頭を半端なくフル回転している印象。この頭を使うという部分が肝なのであるが、本当に幼少期からハイレベルのサッカーしか観ていない印象がある。

世界最高峰のレベルの高い試合を毎週のように目にすることから、頭の中でのイメージと記憶から来るイメージ、想像力が鍛えられている感が非常に強い気がした。

よくマラドーナを真似てリフティングしていたことはあったが、まさに“見て真似る“ことも、スペインではその題材も常に世界最高峰という訳である。もしかしたら、そういった部分も何か大きく影響しているのかもしれないと感じ、目指すところが違えば、当然結果も違ってくるのかもしれない。

日本の若年層のサッカー小僧も、当然世界を目指してはいるのであるが、そのプロセスと置かれている環境に大きな差がある気がしてならない。だから日本人でもそんな環境に身を置くことができれば、世界基準のレベルに育て上げられるという結果がレアル・マドリードの2選手なのではないかと思う。

彼らが引退して指導者になろうものなのであれば、その時こそが“日本の育成現場が世界基準”に達する時なのではないだろうか。

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