サッカーのビルドアップとは? 理解を深めてチームの得点力アップにつなげよう
テレビでサッカーを見たり実際にプレーしたりしている時に、「ビルドアップ」という言葉を聞いたことがある方は多いでしょう。しかし、ビルドアップが実際にどのような意味なのかはよくわからない、という方もいらっしゃるかもしれません。
現代サッカーにおいて、ビルドアップの理解はチームの得点力アップに重要な意味を持ちます。そこでこの記事では、サッカーにおけるビルドアップの基本や、ビルドアップをするうえでのポイントなどをご紹介します。
【目次】
■サッカーのビルドアップとは
「ビルドアップ(Build Up)」とは、日本語に訳すと「建設」や「組み立てる」という意味を持つ英語です。そこから転じて、サッカーでは「攻撃の組み立て」という意味合いで使われます。
具体的には、ゴールキーパー(GK)やディフェンダー(DF)など、自チーム側のゴール前(ディフェンシブサード)から中盤や前線へと細かくパスやドリブルをつないで、相手ゴール前(アタッキングサード)へと攻め上がって行く一連の過程がビルドアップです。
細かなパスやドリブルでボールを押し上げて行くことから、ボール支配率を高めて試合を優位に運ぶポゼッションサッカーと相性が良いとされています。
現代サッカーでは、ボールを奪われたら素早く自陣に戻り、相手の攻撃に備えてディフェンスラインを構築するという戦術が増えてきています。素早く守備を構築する相手に対して、スペースを見つけてパスを出し攻撃をつなげていくのが、ビルドアップを行う目的のひとつです。
ビルドアップは攻撃の起点と言い換えることもできます。どのようにビルドアップを行うかは、チーム戦術を組み立てる際の基盤となる重要な要素です。
■ビルドアップを行ううえでのポイント
自陣エリアの底から攻撃を組み立てるビルドアップでは、チームの全選手にさまざまな技術や戦術眼が求められます。ビルドアップを行う際に、どのような技術やプレーが求められるのかを確認しておきましょう。
・パスの正確さ
ビルドアップでは、細かなパスをつないで前線にボールを運んでいきます。パスがズレたりトラップをミスしたりすると、相手選手にボールを奪われてカウンター攻撃を受ける危険性が増すため、パスの正確性が重要です。
また、ビルドアップはゴールキーパーやディフェンダーといった終盤から攻撃を組み立てます。ディフェンスライン付近でのミスは失点に直結する恐れが高いため、終盤の選手も含めたチーム全体に、パスやトラップの正確性、ドリブル時のボールタッチといった足元の技術が求められます。
・ポジショニング
パスの正確性だけでなく、ボールを受ける選手のポジショニングも重要です。上手にボールを回したりドリブルで突破したりするためには、ボールを持っていない選手(オフザボール)の動きで相手のディフェンスをかく乱し、ボールを動かせるスペースを作る必要があります。
オフザボールの動きがうまくいかないと、パスコースやドリブルのコースを限定されてしまうでしょう。相手にボールを奪われる、バックパスしかできないなど、攻撃をつなげられない可能性が高まります。
適切なポジショニングで相手ディフェンスのスペースに入り込むプレーが求められるため、ディフェンスの裏を突くポジショニングが行える状況把握力や、戦術理解力といった能力も、ビルドアップを行う際は欠かすことができません。
■ビルドアップ時のポジションごとの動き方
効果的なビルドアップを行うためには、ポジションごとに基本となる動き方やポジショニングを理解しておくことが大切です。守備的なポジションを中心に、ビルドアップ時の動き方や求められる役割についてご紹介します。
・センターバック
センターバックは、ゴールキーパーにもっとも近いポジションです。センターバックの選手がどこにポジショニングしてパスをもらうか、どれくらい精度の高いパスを出せるかによって、その後のボール回しの質が変わってしまいます。
4-4-2など、センターバックが2人いるフォーメーションの場合は、お互いがある程度距離を取ったうえで、キーパーからパスを受けるようにしましょう。ペナルティエリアの幅程度の距離を開いておけばプレスの的が絞られづらく、相手からのプレッシャーも弱まります。
また、ゴールキーパーからのパスを斜め方向から受けられるので、相手選手の動きも見極めやすいです。
反対に、ゴールキーパーと一直線になるようにコートの真ん中でボールを受けると、相手のフォワードに背を向けることになります。他の選手の動きが把握できず、次のプレーの選択肢の幅も少なくなってしまうので、避けた方が良いでしょう。
・サイドバック
ビルドアップを開始する際に、サイドバックはフィールド両端のタッチライン方向に開いて、センターバックよりも高い位置に上がるのがポイントです。
ディフェンスラインが横一列になってしまうと横方向に対するパスを出しづらく、前線に蹴り出すかゴールキーパーにバックパスを出すしか選択肢がなくなってしまいます。
センターバックとサイドバックが斜めになるようにポジションを取っておけば、相手がプレスをかけづらく、パスが回しやすくなるでしょう。
ただし、状況によっては真ん中に寄せて中盤で数的優位に立つ、サイドで幅を取って攻撃の起点になる、相手陣内の空いたスペースにドリブルで切り込むなど、戦術に応じた柔軟なポジショニングが求められます。
・ミッドフィルダー
守備的なミッドフィルダー(ボランチ)も、ビルドアップの際の動き方は重要です。ディフェンスラインまで下がってディフェンダーと一緒にパス回しに参加したり、相手のプレスを誘導してスペースを作ったりすることが求められます。
また、ミッドフィルダーが中盤でボールを保持した場合は、前線にいる選手の動きを確認しながらパスを供給する役割も持っています。攻守ともに、チームのバランスを取る重要なポジションといえるでしょう。
ボールに対して斜めのポジショニングを取るように意識して、相手や味方の位置などを常に把握できるように心がけることが大切です。
■ビルドアップを向上させるための練習方法
ビルドアップの練習で、もっとも手軽に行えるのはボール回しです。ディフェンスにボールを奪われないようにパスを出し続けるボール回しは、パスの正確性やパスを受ける際の体の向き、パスコースを作るためのポジショニングなどを鍛えることができます。
また、4対3や3対2など、攻撃側が数的有利な状態でゴールを目指す練習方法もおすすめです。どの方向にパスを出したりドリブルしたりするか、どこにポジショニングしてボール保持者をサポートすれば良いのかといった判断力を養えます。
攻撃側は守備側の動きを見ながら、パスやファーストタッチの正確性を心がけて行うようにしましょう。
■効果的なビルドアップで得点を奪おう
後方から前線まで、チーム全体が協力してボールを前に押し上げ、攻撃を組み立てていくのがビルドアップです。ポゼッションサッカーと相性が良く、ボール支配率を高められる戦術ではありますが、あくまでも相手からゴールを奪うことが目的な点に注意してください。
ディフェンスラインでパス回しを続けてボールキープをしているだけでは、効果的な攻撃にはなりません。ボール支配率を高めることではなく、あくまでも得点を奪うために前を向くという意識を持つことが大切です。
効果的なビルドアップを行うためには、チーム全体の足元の技術力や連携の強化が不可欠です。チームでビルドアップに対する考え方を共有して、得点力アップにつなげていきましょう。
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