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football2024.06.27

キング・カズが国内復帰!!JFLアトレチコ鈴鹿に加入!!

6月25日に国立競技場で会見が開かれた。

サッカー界のキングが、およそ1年半ぶりに日本のピッチに立つ。6月25日、カズこと三浦知良がJFLのアトレチコ鈴鹿へ期限付き移籍することが発表された。JFLはJ3リーグの下、国内4部のカテゴリーにあたる。

カズはJリーグの横浜FCから22年に、鈴鹿の前身である鈴鹿ポイントゲッターズに期限付き移籍した。23年1月から23―24シーズン終了までは、ポルトガル2部のオリヴェイレンセへ期限付き移籍していた。

25日には東京・国立競技場で、記者会見が開かれた。鈴鹿の斉藤浩史オーナーと朴康造(パク・カンジョ)監督(7月1日より就任)、それにカズが出席した。契約期間は来年1月末までで、背番号は代名詞の「11」が用意された。

斉藤オーナーは、今年1月と4月にオリヴェイレンセを訪問している。「実際に練習を見て、我々のチームの選手として絶対に活躍できるという確信を得てオファーをした」と説明した。オーナーはJリーグ開幕前の読売クラブで、カズとチームメイトだった。Jリーグの清水エスパルスやブラジルのクラブにも在籍しており、サッカーを見る目は確かである。

斉藤オーナーから熱烈なオファーを受けたカズは、「やはり決断というのは、常に簡単なものではなくて」と、この日に至るまでの心境を明かした。

「グラウンドで情熱を100パーセント燃やして、毎日練習するなかで疲労も蓄積したりするけれど、頭のなかからつねにリフレッシュした状態で、情熱を持って、毎日グラウンドに立つことができるのか。そういうことをしっかり考えなきゃいけない年齢にもなっていますので、本当にできるのか自分に問いかけました」

プロフェッショナルとして、自分が納得できる日々を過ごすことができるのか。周囲の期待に応えることができるのか。自問自答を繰り返しながらも、「辞めるという選択は僕のなかではなかった」とも言う。

「どこで、どういうふうに、この情熱を表現できるかを考えて、鈴鹿を選択しました。どこまで自分が活躍できるか、どこまでみなさんが期待してくれているゴールをあげられるかは分かりませんけれど、そこに向かって毎日努力して、全力を尽くしていきたいと思います」

オリヴェイレンセを離れるにあたっては、J2リーグを戦う所属元の横浜FCへの復帰を含めて、いくつかの選択肢があった。そのなかで鈴鹿を選んだのは、ピッチに立つことへの強いこだわりが理由だった。

「一番はやっぱり、出場時間ですね。あらかじめ保証されたものではないので、どれだけ出られるのかは分かりませんけれど、選択肢のなかで可能性を考えたときに、一番高いのは鈴鹿でした」

オリヴェイレンセでは加入初年度の22-23シーズンが3試合出場で、23-24シーズンは5試合出場にとどまった。少しでも長くピッチに立ちたいとの欲求は、抑えきれないぐらいに膨らんでいるのだろう。

一方で、ポルトガルで得たものも確かにある。

「とにかく向こうでは、カズという名前とか年齢とか、そういうことは関係なしに、忖度なしに監督も選手も接してくれて。つねに僕に対してハードワークを求めてくれて、かなり高い強度のなかで練習ができて、監督から厳しい言葉をかけられたりもしましたけど、忖度なく接してもらえることで気持ち的にすごく若くいられたというか。精神的にすごく若くいられたので、そのピチピチ感をこっちで出せたらいいなと思います」

メンタルとプレーはつながっている。精神的にフレッシュで若い状態なら、プレーもアグレッシブに、意欲的になるものだ。「どんなプレーを見せていきたいか」との質問には、瞬発力良く答えた。

「JFLも非常に厳しいリーグですから、自分がどこまでできるのかは未知数ですが、そんななかでも年齢は関係なく。『ベテランらしい』とよく言われますが、逆にベテランらしくないプレーをできたらいいなって。それは何かと言ったら、1対1で勝負するとか、ゴールに向かっていく気持ちを見せるとか」

ポルトガルでは30歳を過ぎてベテランと呼ばれる選手が、果敢に1対1の勝負を挑んでいた。ゴールへ向かっていた。カズのなかに眠っていた獣性のようなものが、異国で呼び覚まされたのだった。


斉藤オーナー(左)、朴監督(右)と活躍を誓う


「どんどん1対1で勝負して、ゴールへ向かっていく。サッカーってこういうものじゃないかなと、あっちへ行って思ったところがあって。やっぱりFWはそうやって常に前向きに、向かっていくことが大事だと改めて思ったんです。ベテランになるとどうしても、そういうプレーをしなくなるもので。でも、練習でそういうプレーができるときもある。そうするとモチベーションも上がるし、試合でやってみたいという気持ちになる。ベテランというのは周りを上手く使っていくと思われがちですが、そうではなくて、自分でなんとかしてゴールをあげる、勝負していくといったように、ベテランらしくないプレーができたらいいなと思っています」

そこからさらに「まあ、監督次第だと思いますけど」と続けて、記者会見場の空気を和やかにした。これを受けて、朴監督が答える。ふたりは京都サンガとヴィッセル神戸のチームメイトで、出会いから20年以上の年月を重ねてきた間柄だ。

「監督としてはまず、チームが勝つことが大事だと思っています。ただ、私はカズさんが生きることによってチームが勝つということも考えています。カズさんが生きてチームが勝つという場面を作り出せるように頑張っていきたい」

JFLは全16チームが総当たりの2回戦で争い、鈴鹿は13節を終えて5勝1分7敗で10位となっている。首位の高知ユナイテッドSCが勝点で抜け出しているが、2位以下の勝点差に大きな開きはない。鈴鹿も上位へ食い込んでいくことは可能だ。その起爆剤となるのがカズである。

朴監督は起用法について、「カズさんのコンディション、すでにチームにいる選手のコンディションを見てから」と話す。そのうえで、「カズさんが得点に絡むことでチームが勝つと考えていますので、基本的には最前線、頂点で使いたい」との構想を明かした。ゴールにもっとも近いポジションでプレーしてもらう、ということである。

チームには7月2日に合流する。選手登録の関係上、試合出場は最短で同14日からとなる。出場できるのは最大で15試合だ。

目標を聞かれると、ここ数年繰り返しているように「1試合でも、1分でも多く試合に出たい」と答えた。そのうえで、ファンに歓喜を捧げることを自らに課した。

「やはり期待されているゴールを……ポルトガルではゴールをあげることはできませんでしたが、ゴールをあげたい気持ちで毎日挑戦して、毎日トレーニングしていた。その気持ちを鈴鹿へ行っても毎日持ちながら、目の前の試合でゴールをあげることを目標にやっていきたい」

22年のJFLでは、18試合に出場して2ゴールを記録した。

果たして、57歳となった今回は──。

カズの新たな挑戦が、サッカーファンを熱くする。

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