【サッカー】ボランチとは? 試合観戦にも役立つボランチの基礎知識
サッカーのポジションは、フォワード(FW)やミッドフィールダー(MF)、ディフェンダー(DF)、ゴールキーパー(GK)の4つに大きく分けられます。センターフォワードやウイングなど、ポジションごとにさらに役割は細分化されますが、その中でも特に有名なのが「ボランチ」です。
ボランチは、具体的にどのようなポジションなのでしょうか。
ここでは、サッカーにおけるボランチの役割や、求められる能力などをご紹介します。
【目次】
■ボランチとは
ボランチは、フォーメーションの中央に位置するミッドフィールダーの役割のひとつです。攻撃的ミッドフィールダーの後ろ、ディフェンダーの前に位置するセンターミッドフィールダー(CMF)で、守備的ミッドフィールダーに該当します。
ポルトガル語でかじ取りやハンドルを意味する「volante」が語源、南米で活躍していたサッカー選手の名前がそのままポジション名になったなど、名前の由来には諸説あります。
前線にパスを出す、相手のスペースを潰して失点を防ぐなど、フォーメーションの中盤からチーム全体のかじ取りの役割を担う、重要なポジションのひとつです。
ボランチと似たような役割を持つポジションに、アンカーがあります。英語で船をその場にとどめるための錨(いかり)を指す言葉で、攻守をつなぐことでチーム全体のバランスを取る役割を持つポジションです。
役割こそボランチと似ていますが、アンカーは中盤の後ろに構えて、相手チームのカウンターを防ぐ守備的な役割をメインで担います。一方で、ボランチは高い位置までポジションを上げて、攻撃参加することもあります。ボランチの方が、攻守にわたって活躍できるポジションといえるでしょう。
■ボランチの役割
試合において、ボランチの担う役割は多岐にわたります。具体的に、ボランチはどのようなプレーに関わっているのでしょうか。
ボランチの主な役割は、以下のとおりです。
・攻撃の起点になる
ボランチの主な役割は、他の選手にパスを供給して攻撃の起点になることです。攻撃的ミッドフィールダーの後方かつ、ディフェンダーの前方に位置するボランチは、相手チームからの圧力を比較的受けづらいポジションということができます。
自由にボールを動かせる位置からパスを供給して、得点のチャンスを演出することは、ボランチの大切な役割のひとつです。
また、ゴールキーパーやディフェンダーなど、フォーメーションの底からボールを前に運ぶビルドアップのシーンでは、ディフェンダーからパスを受けて展開する役割も担います。
・相手の攻撃を防ぐ
ボランチが位置するのは、フォーメーションの中盤の底です。ミッドフィールダーとディフェンダーの間のスペースは、サッカーでは得点につながりやすいプレーが行われる「バイタルエリア」に当たります。
バイタルエリアにポジショニングして、相手がプレーするスペースを潰したり、ボールを奪ったりすることも役割のひとつです。ボランチがボールを奪うことができれば、自チームの失点のピンチを防ぐだけでなく、得点のチャンスにもつながります。
・チーム全体のバランスを見る
一般的に、ボランチはエリアの中央付近にポジショニングすることが多くなります。コート全体の状況を把握しながらプレーできる点も、ボランチの特徴です。
味方のサポートに入ったり、手薄な部分をカバーしたりと、チーム全体のバランスを取る役割を担っています。
・人数によってプレースタイルが変わることも
ボランチの役割は、ボランチの人数やチームが採用するフォーメーションによって変わります。
例えば、ボランチが1人(ワンボランチ)の場合は、チーム全体のバランスを取るのが基本的な役割です。具体的な動き方はチームによって左右されますが、前のミッドフィールダーと三角形を作るようなイメージでプレーを行います。
ワンボランチの場合は、ボランチ自身が攻撃的か、守備的かによってプレーが変わる点も特徴です。攻撃的な選手であればパスを出して得点を狙うプレーが増えますが、守備的な選手なら相手の攻撃を防ぐプレーが多くなります。
ボランチを2人採用するダブルボランチのチームでは、ディフェンスの前のスペースを潰すことが主な役割です。一般的には、片方は攻撃的、もう片方には守備的にプレーする選手をダブルボランチとして起用し、チーム全体のバランスを取ります。
■ボランチに求められる能力は?
ボランチは、コート内でチームの攻守を指揮する重要なポジションです。上手にプレーするためには、基本的なテクニックに加えて、さまざまな能力が求められます。
ボランチとして活躍したいと考えている方は、以下のテクニックを鍛えることを心がけましょう。
・パスの正確性
ボランチは、チームメイトにパスを出して攻撃の展開を作る役割を担っています。ロングパスでサイドを変える、縦へのショートパスでボールを前に運ぶなど、さまざまなパスを正確に出す能力は欠かせません。
また、どれだけ正確にパスを出せたとしても、パスを受けた選手がすぐ相手に囲まれてしまったり、ボールを失ったりしては意味がありません。
どこに、どのタイミングでパスを出すのが効果的なのかを見極める判断力も必須です。
・ポジショニングのうまさ
パスを受けたり、良いパスを出したりするには、自分がプレーしやすい場所に位置するポジショニング能力も必要です。
パス供給をすることが多いボランチは、自分のポジショニングに加えて、チーム全体のフォーメーションを考えながらプレーする能力も求められます。
味方選手への指示出しを行うこともあるため、コミュニケーション能力も重要です。
また、ボランチは相手の守備が手薄になりやすいエリアでプレーすることになります。「パスを出すだけでシュートは打ってこない」と判断されると、プレーの幅が狭まってしまうこともあるでしょう。
ミドルシュートを狙うことができるシュート力も備えていると、より活躍できる可能性が高まります。
・スタミナ
試合中、ボランチは広いエリアをカバーしてチームの攻守を支えることになります。長時間プレーの質を落とさずに動き続けることができるスタミナも必要です。
また、味方選手が移動して空いたスペースを潰すのも、ボランチの重要な仕事です。全方向に素早く切り返したり、走り出したりできる俊敏性も求められます。
■ボランチに注目してサッカーをさらに楽しもう
ボランチはフォワードとは異なり、自分で積極的に得点を狙いに行くポジションではありません。一見すると地味に思えるかもしれませんが、中盤から適切なパスを味方に供給したり、相手の攻撃を封じたりと、チームの要となるポジションです。攻守において活躍するために、高い技術力が求められるポジションでもあります。
サッカーをプレーする際はもちろん、観戦する際もボランチに注目してみてはいかがでしょうか。
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