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golf2020.10.05

「我ながら斬新」MIEKO UESAKO自身が語ったヒットの訳、再スタート、そして未来【ゴルフ5ノンフィクション】Vol.4

1990年代、一世を風靡したゴルフブランド「MIEKO UESAKO SPORTS」。あの印象的なロゴマークは長くゴルフを楽しんでいる方なら一度ならずとも見かけたことがあるはずだ。日本では2006年に一旦休止していたのだが、昨年の春夏シーズンより再スタートを切ったという。今回は、その成り立ちや今までのストーリー、再スタートの経緯やあのキャラクターは?まで、愛されるブランドの魅力を探るべく、デザイナーである上迫美恵子さんにたっぷりとお話をうかがった。


――最初に「MIEKO UESAKO SPORTS」が誕生したのはいつですか?

1994年です。私は、もともと自社で「MIEKO UESAKO」というプレタポルテを手掛けていたのですが、バブル崩壊とともにファッションのカジュアル化が進み、少し停滞する時期がありました。そのとき、ひらめいたのがゴルフでした。20代からゴルフを始め、とてもハマっていたのですが、当時は着ていきたい服があまりなかったのです。そこで、自分が長年やってきたプレタポルテの流れをくむゴルフアパレルを作ろう、と思い立ったのです。


――キャラクターのワンちゃんが印象的ですよね

このキャラクターは私が実際に飼っていた犬で、イングリッシュコッカースパニエルなのですが私の頭文字をとってMU(ミュウ)と名付けていました。ブランドのロゴに関して、このMU君と同じく初めはMIEKO UESAKOの頭文字をとった「MU」のマークだけだったのですが、それだけでは味気ないので、キャラクターをつくろうということになりました。で、何にしようか考えているときに、いつも会社に連れてきていたこの子(ミュウ)が目にとまり、あっこれにしょう! とひらめいたわけです。


MU君をヒントにしたモチーフは愛くるしさがたまらない


――ゴルフ場で「MIEKO UESAKO SPORTS」を見ない日はないくらい大人気でした

バブル崩壊後、次々とアパレルメーカーが撤退していた時期にこのブランドを立ち上げたので、周りからはずいぶん心配されましたが、お蔭様でとても多くの方に愛していただきました。最初はキャディバッグからスタートし、次にウェア…、そして人気に火が付いたのがMU君のぬいぐるみヘッドカバーです。大学ゴルフ部の女子がこぞってショップに買いにきてくれて、一気に認知度が上がりました。ショップも直営が30店舗、そのほかに百貨店…さらには海外にも出店していた時期もありました。


――ご自身ではヒットした理由はどこにあると思いますか?

当時ゴルフウェアは機能的であることにガチガチに縛られている印象でした。その点、私はプレタポルテをやっていたので、その雰囲気とはちょっと違っていたのかな。生地や糸も、普通だったら絶対スポーツウエアには使わないものを好んで使っていました。キャディバッグもボアを使ったり、スケルトンにしたり…昔のカタログを見返すと、我ながら斬新なことやってたなって思います。あとはキャラクターのいかし方ですかね。単なるイラストのプリントではなく、テキスタイルで表現できるのが自身の持ち味だと思い、その点はこだわりました。もちろん、失敗したこともありましたが、他のブランドにはない感じが良かったのかもしれません。

様々なものにインスパイアされたデザインだというニューアテム


――ブランドは愛されつつも2006年に一旦終了。それから15年の時を経て、昨年、再びスタートとなりました。その辺の経緯をお聞かせください。

紆余曲折ありました。すべてを語ると、本が1冊できてしまうほど(笑)。多くの人に愛されたブランドゆえに、私のあずかり知らないところで、一人歩きしてしまった部分もあり、日本では一度お休みすることにしました。ただ、私自身も思い入れも深くて愛着のあるブランドなので、機会があればデザイナーMIEKO UESAKO自身が手掛ける商品をもう一度みなさんにお届けしたいという思いがあり、昨年に縁があってゴルフ5さんにもご協力いただく形で再スタートを切ったというわけです。


――15年前と比べて、ゴルフアパレルの様相は変わりましたか?

とても変りました。特にウェア。まず気候が15年前とは違いますからね。かつて上品なサマーセーターは女性に人気のあるアイテムでしたが、ここ最近は必要ないですよね(笑)。とにかく ”夏は涼しく、冬は暖かく” が求められている時代だと思います。ただ、素材も年々進化していますので昔のように機能一辺倒ではなく、デザイン性を両立したウェアが増えましたね。新生「MIEKO UESAKO SPORTS」もその辺を考慮しつつ、私自身がゴルフ場でいろいろなゴルファーを観察したり、息子(ゴルフアパレル『モンジー』のデザイナー)に意見を聞いたりしながら、できるだけ今の状況にあったモノづくりを心掛けたいと思っています。



 「今後も精力的にアイテムを増やしていきたい」語る上迫美恵子さん


――最後に今後の展望を聞かせてください

まずは、再スタートしたMIEKO UESAKO SPORTSを大事に育てていくこと。昨年の春夏から先行してキャディバッグとボストンバッグを出しましたが、これからお客様の反応や意見などをフィードバックしながら、小物類、そしてウェアと徐々にアイテムを増やしていければいいなと思っています。あっ、そうそう。今度、キャディさんのウェアもプロデュースする予定です。「もしも私がキャディさんだったら」というテーマで、快適でかわいいウェアを考え中です。そちらの実現も楽しみにしています。

プライベートでは、好きなゴルフをできるだけ長く楽しみたいですね。だから、食事や健康にものすごく気を使っています(笑)。これまでは年2回海外へ行き、ゴルフをしながら、素材探しの旅をするのが通例でした…また行ける状況になることを願っています。


可愛い犬のキャラクターはそのままに、これまで以上にデザイン性と機能性を両立させた再生「MIEKO UESAKO SPORTS」。デザイナーである上迫美恵子さん自身の意気込みは、間違いなくこのブランドを進化させつづけることだろう。この秋も新作がでて店頭に並び始めている。ゴルファーにとっては要注目のブランドだ。



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