心拍数を意識したランニングをしよう! 心拍数の種類や計測方法をご紹介
プロのマラソン選手をはじめ、アスリートの方が心拍数の変化を確認しながらランニングやトレーニングに活用していると見聞きしたことはないでしょうか。しかし、実際に心拍数の変化をどのようにトレーニングに活用すれば良いのか、よくわからないという方が多いかもしれません。
心拍数を意識してランニングを行えば、効果を高めることができます。大会に向けたトレーニングだけでなく、ダイエットや運動不足の解消を目的でランニングを行う方も、心拍数の活用方法を知っておくと便利です。
ここでは、ランニングの際に意識したい心拍数トレーニングの概要や、意識したい心拍数の値、心拍数の測り方などをご紹介します。
【目次】
■ランニングに心拍数を活用しよう
心拍数とは、1分間に心臓が何回拍動するかを表したものです。一般的に、人の心拍数は1分間に60~100拍程度とされ、マラソンやランニングといった運動を行うと、その強度に応じて心拍数は増加します。
計測した心拍数の値を、運動強度の指標として活用するのが「心拍トレーニング」です。
トレーニングの強度を、走るペースや総距離、練習後の疲れ方などで判断している方は多いかもしれません。しかし、疲れ方に関しては主観による部分が大きいです。きつい運動をしたと感じていても、実は運動強度が低く効果の薄いトレーニングだったということも考えられます。
一方で、心拍トレーニングなら「辛い」「疲れた」といった個人的な感覚ではなく、心拍数という目に見える数値で具体的に運動強度を測ることができます。
心拍数を指標にして行う心拍トレーニングは、効率的な運動を目指すうえで役に立つ考え方といえるでしょう。
■事前に知っておきたい2つの心拍数
心拍トレーニングを行う際は、「安静時心拍数」と「最大心拍数」という2つの心拍数について知っておく必要があります。それぞれの概要や、簡単な計測方法を覚えておきましょう。
・安静時心拍数
安静時心拍数とは、何もせずにリラックスしている状態の心拍数です。性別や年齢などで左右され、個人差があるものの、健康な成人で1分間に約60~100回とされています。ただし、トレーニングを重ねたランナーの場合は、1分間に60回を下回ることも少なくありません。
不整脈などを患っていない場合、脈拍と心拍数はほとんど同じになるため、手首の親指側を通る動脈の脈拍などから、大まかな安静時心拍数を測れます。安静時心拍数の簡易的な測り方は、以下の通りです。
【安静時心拍数の簡易的な測り方】
1.リラックスした状態で、手首などの脈を感じられる部分に人差し指・中指・薬指を置く
2.15秒間の脈拍を数える
3.2で計測した数字に4をかけた数字が、おおよその安静時心拍数
また、10秒脈拍を数えて6倍する方法や、30秒数えて2倍する方法などもあります。
・最大心拍数
最大心拍数とは、体が上げられる心拍数の最大値です。いくつか計算方法がありますが、「206.9-(年齢×0.67)」または「220-年齢」という計算で、大まかな最大心拍数の数値を測れます。
例えば、40歳の方なら最大心拍数の目安は「220-40=180」となります。
ランニングの際に気にしたいのが、この最大心拍数です。最大心拍数を把握していれば、運動する内容や目的に応じて、「運動時の目安になる心拍数」が算出できます。運動の目安となる心拍数は「最大心拍数×目標の運動強度(%)」で計算可能です。
例えば、脂肪燃焼を目的にランニングを行う場合は、「最大心拍数×40~60%」程度の運動強度が目安になります。
体力維持などを目的に軽めの運動を行いたい場合は、最大心拍数に対して50~60%ほどを目安にする、きつめのトレーニングなら80%を目安にするといった形で強度を決めれば、より効率的にトレーニングを行えます。
■心拍トレーニングで知っておきたいLT値とVO2MAX
自身の心拍数を知っていれば、「LT値」や「VO2MAX」といったトレーニングで有効活用できる数値も算出可能です。より効率的なトレーニングを目指すために、2つの言葉の意味や数値の見方を知っておきましょう。
・LT値
LT値は、「乳酸性作業閾(いき)値」と呼ばれ、運動中に急激に乳酸が増え始める値のことです。乳酸が溜まると筋肉が疲労するため、ランニングやマラソン中はLT値を超えないペース配分を考えると良いでしょう。
一方で、乳酸が溜まると筋肉に疲労を感じるようになるため、LT値を高めれば長時間の運動にも耐えうる身体を作ることができます。
厳密な数値を測定するには専門的な機械などが必要ですが、簡単な計算でも大まかな数値は確認できます。LT値の計算方法は、以下の通りです。
・LT値=(最大心拍数−安静時心拍数)× 0.75+安静時心拍数
乳酸が増え始めるLT値は、LT値に近い数値を維持しながら走ることで高められます。乳酸が増えるタイミングを遅らせれば、より長時間安定して走り続けることが可能になるはずです。
マラソンやランニングのタイムを縮めたい方は、LT値を計算してトレーニングに生かすことをおすすめします。
・VO2MAX
VO2MAXは、Volume(量)とO2(酸素)、MAX(最大)を組み合わせた言葉です。日本語では「最大酸素摂取量」と訳され、人が1分間で体内に取り込める酸素の最大量を指します。酸素は、エネルギー生成に欠かせない要素です。多くの酸素を体に取り込めれば、たくさんのエネルギーを作り出すことに繋がります。長時間ランニングを続けるうえで、非常に重要な数値といえるでしょう。
LT値と同様に、厳密な数値の計測には専門の機器が必要ですが、おおよその数値は簡単な計算で算出可能です。
・VO2MAX(ml)=15×最大心拍数÷安静時心拍数
VO2MAXも、最大心拍数の90%を目安にした、きつめのトレーニングメニューを行うことで高められます。
ただし、高強度のトレーニングは行い過ぎると効果が得られず、怪我につながる恐れもあります。できるだけ疲労が少ない日に取り入れるなど、無理のない範囲で行うことが重要です。
■運動前後の心拍数の測り方
前述の通り、心拍数は手首などに指を当てて脈拍の回数を数えることで、簡易的に計測できます。しかし、ランニングを行いながら心拍数を測るのは至難の業です。走り終わってから脈拍を測ることはできても、肝心なランニング中の心拍数は測定できません。
そこでおすすめなのが、心拍数を測定する機能を搭載した、ランニングウォッチ(スマートウォッチ)やハートレートモニターといったアイテムを活用する方法です。腕に装着するだけで、簡単に心拍数を測れます。
また、製品によってはGPS機能を搭載していて走行距離やスピードを記録できたり、スマートフォンと連携して使ったりすることも可能です。ランニングシーンにあると便利なので、より効率的なトレーニングを行いたい方は、用意しておくと良いでしょう。
■ランニングの際は心拍数を意識しよう
マラソンやランニングは、心拍数を意識すると効率的にトレーニングを行えるようになります。運動中に心拍数を計測するのはなかなか難しいので、心拍測定機能を搭載したランニングウォッチを活用するのがおすすめです。
タイムが縮まらない、すぐに疲れてしまう、効率的に脂肪燃焼につながる運動を行いたいなどの悩みを抱えている方は、心拍数を意識したトレーニングを取り入れてみてはいかがでしょうか。
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