OnのスーパーシューズCloudboom Echo 3(クラウドブーム エコー 3)登場、その機能性は実際どうなのか
■Cloudboom Echo 3登場
もはや、スイスのこのブランドを知らないというランナーは少数派でしょうね。独創的な機能性とファッション性に優れたデザインで、ランナーだけではなくて、街履きとしても大人気のOn(オン)。
そんなスイスエンジアリングからスペシャルレースデイシューズが発売されました。それがCloudboom Echo 3(クラウドブーム エコー 3 以下:エコー 3)です。
Cloudboomからはじまって前作Cloudboom Echo、そして今回のモデルチェンジは、ミッドソール素材+カーボンプレート+ジオメトリーと”三種の神器”が揃った正真正銘のスーパーシューズへのモデルチェンジになりました。
では、どんなふうにアップデイトされたのか、どのような用途で、どんなランナーが履くといいモデルなのか説明していきましょう。
■五輪・世界選手権でOnアスリートが活躍
ちなみに、このエコー 3はすでにマラソンレースなどでその実績は証明されつつあります。
発売前から五輪・世界選手権トラックレースでの活躍著しいOnアスリートがトレーニングシーンでエコー 3を使用しているシーンがSNS投稿でも露出されていますし、ボストンマラソン2023では、Onのプロトタイプを履いたH・オビリ選手が女子の部で優勝した活躍は記憶に新しいところかもしれませんね。
実業団ならSUBARU陸上競技部、大学であれば駿河台大学陸上競技部のユニフォームがOnですので、2024年の元旦のニューイヤー駅伝や100回の記念大会箱根駅伝でもエコー 3を着用するランナーも登場するかもしれませんね。
アスリートの速く走りたいというニーズをかなえる機能性も十分なスーパーシューズ、それがエコー 3というわけですね。
■Pebax®ミッドソール搭載
ちなみに前作エコーとはまったく別のシューズです。まずは、スーパーシューズであるために欠かせない要素、Pebax®を使用したミッドソール、Helion™ HFハイパーフォーム製CloudTec®に変更した点がポイントです。
これは、2017年に起きた”新しい速く走る概念”に欠かせない要素、ねじれに強く、超ソフトなバウンド、またその戻りも良くて、超軽量と3拍子、ならぬ4拍子揃った夢のような素材なのです。
前回のTPUをブレンドしたHelion™も反発弾性がありましたが、こちらはネクストレベル、別次元の反発弾性を生み出すフォームですね。
とにかく、速く走ることができる要素として、海外の研究でも素材の影響が大きいとされていてここが今回のエコー 3の最大のポイントです。
■CloudTec®も効果的に配置
一方、Onと言えば、ゴムホースから着想して、垂直方向と水平方向に素材が潰れて爆発的なクッションを生み出すCloudTec®というこのホールが特徴ですよね。これこそOnのデザインとしても、機能性としても象徴的なものですが、今回のエコー 3は、なんと、そのパーツ面積が少ししかないデザインになっています。
当然、反発弾性の高いPebax®製のHelion™ HFハイパーフォームの使用面積をマックスまで増やすという意味があるのでしょう。
ただ、そのCloudTec®が少ない配置面積でありながらもその位置が絶妙で、前足部両側、そして踵付近の外側のみであるのはポイントだと思います。
踵外側のみ配置のCloudTec®は、着地時に機能する安定要素、反発弾性を生み出す素材が蹴り出し部に限定的に配置されたこのCloudTec®は素材と共鳴して強い推進力を作ります。
また軽量性を意識して足し引きした無駄のない配置のCloudTec®、それ自体のデザイン性も素晴らしいですよね。
■100%カーボン製Speedboard®(スピードボード)に変更
反発弾性の素材を使ったHelion™ HFハイパーフォームとCloudTec®が生み出す推進力に忘れてはならないのが、100%カーボン製Speedboard®(スピードボード)です。
上述した部分的に配置されたCloudTec®から見えている部分だけでなくて、もちろんフルレングスのスプーンプレートが搭載さています。
前回のエコーではカーボンインフューズド(カーボンが入った)Speedboard®でした。それが今回カーボン製に変更されたことで、スーパーシューズとしてのパーツが揃いました。
レバー役のカーボンプレートは、強く前方方向に促すソール全体のジオメトリーの要です。素材・CloudTec®構造・プレートにブレンドされ共鳴した結果、強いロッカーを効かせる蹴り出しを作り出しているわけですね。
■スムーズにスピードが出る、これはスーパーシューズだ
では、早速履いてみた感触は、9.5mmドロップとは思えないほどフラットに感じる接地感覚。むしろヒールに向かって下がるぐらいの感覚で前足部のロッカーを効かせて、まさに“前方を使え“とシューズが訴えている感じです。
前足部がカーボンプレートも入ったギミックでソールに厚さもあり、素材のバウンドが強く印象に残り、そんなに強く蹴っていない感覚ですが、推進力は申し分ないです。
10の力で出す10のスピードを8の力で出しているといった自分の努力感より、実際のスピードは確実に出ていましたね。
ランニング動作分析をできるPowerメーターで計測した値も、接地時間が少ないスコアで、その結果、着地時のスクワット動作が楽になっていて、素材のバウンドも非常に高いという結果で体感と一致しますね。
これは正真正銘、スーパーシューズと言っていい感覚とデータです。
■デザイン性とフィット感のいいアッパー
アッパーはミニマルなソックライクフィットで、サイズ感はトゥルーサイズ、いつものサイズでOKです。踵と甲まわりがしっかり締まって、指のスペースには動きを阻害しないトウボックス(高さ)もあり、私も自分のいつものサイズで全く違和感がなかったです。
あと履きたくなるカラーリングとデザインがいいですね。ちなみにブーム、ブームエコー、そしてブームエコー 3とずっとグリーンを基調したカラーリング、OAC(オンアスレチックスクラブ)のアスリートが着用するユニフォームのカラーもこのグリーンカラーが基調です。
また、細かいですが、インソールには滑らないようにラバーが全面にあって、オンのマークとして踵付近にもあり、これも吸い付くようなフィット感にプラスアルファの要素ですね。
■エコー 3は、どんなランナーにフィットするシューズなのか
基本的にエコー 3は、ここまで話してきましたが、Onのラインナップの中でとんがったスタイルであることは間違いないです。エリートランナーのレース、ワークアウトセッション、市民アスリートのフルマラソン用ですね。プレートが効いてくる感触も走れるランナーが好きなスーパーシューズだと思います。
価格も32,780円も決して安いとは言えません。
ただ、ランニングというスポーツは平等です。さすがにすべてのランナーとまで大風呂敷を広げられませんが、我こそ買いたい、というランナーは、距離や用途を工夫して、このシューズの機能性を満喫するのもいいと思います。
ショートディスタンスでのレース用やインターバルで使用したてみたり、やはりランナーに生まれたのですから、いろいろ履いてみたいですよね。
ちなみに、私もレースデイシューズ候補として、どこかのレースで履いてみたいと思っています。まずは5Kのタイムトライアルかなって感じですね。
気になる方は是非足を通してほしい1足です。
※Cloudboom Echo 3のアルペングループ店舗でのお取扱いは
アルペングループオンラインストア
、
Alpen TOKYO
、
スポーツデポ フラッグシップストア テラスモール湘南
店、
Alpen FUKUOKA
となります(人気商品のため品切れの場合もございます。予めご了承ください)。
<著者プロフィール>
ランニングシューズフィッティングアドバイザー
藤原岳久( FS☆RUNNING(旧 藤原商会)代表)
日本フットウエア技術協会理事
JAFTスポーツシューフィッターBasic/Advance/Master講座講師
足と靴の健康協議会シューフィッター保持
・ハーフ1時間9分52秒(1993)
・フルマラソン2時間34分28秒(2018年別府大分毎日マラソン)
・富士登山競走5合目の部 準優勝(2005)
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