ランニングには腹筋が必要? その理由と効率的な鍛え方
ランニングやマラソン、ジョギングといった走る動作を行う際は、脚や臀部といった下半身の筋肉をはじめ、背中や胸、肩回り、お腹など、体のさまざまな筋肉を使っています。その中でも、ランナーの方が特に意識して鍛えたいのが腹筋です。
しかし、「ランナーは腹筋を鍛える必要がない」と聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。実際のところ、ランナーは腹筋を鍛えるべきなのでしょうか。
ここでは、ランナーが腹筋を鍛える必要性やトレーニングメニュー、腹筋を鍛えるためにランニング中に意識したい点などをご紹介します。
【目次】
■ランニングシーンで腹筋が必要な理由
腹筋を鍛えすぎると体幹周りが硬くなったり、大きくなった筋肉が重りになったりして、体を動かしづらくなる場合があります。ランナーは腹筋をわざわざ行う必要がないといわれるのは、これが理由です。
しかし、腹筋はランニングを行う際に欠かせない筋肉のひとつなので、トレーニングで適度に鍛えておくことをおすすめします。腹筋を鍛えることで、ランニングの際にどのようなメリットがあるのでしょうか。
・フォームの改善に役立つ
ランニングは太ももやふくらはぎ、臀部といった下半身の筋肉だけでなく、上半身の筋肉も使う全身運動です。特に、上半身と下半身のつなぎ目にある腹筋は、姿勢を維持したり腕振りを支えたりする重要な役割を持っています。
腹筋をはじめとした体幹部の筋肉を鍛えておけば、走っている最中に体がぶれたり腰が落ちたりしづらくなり、フォームが改善します。フォームの改善によって、ランニング中に疲れづらくなったり走るスピードが速くなったりといった効果も期待できるでしょう。
・体にかかる負担を軽減できる
体幹を鍛えておけば、ランニングの際にひざなどにかかる衝撃を分散して、全身で負荷を受け止められます。ランニングによって起こり得るケガのリスクを減らすという点でも、腹筋を鍛える必要性は高いといえます。
■ランニングだけでも腹筋は鍛えられる?
ランニングを行った翌日に、腹筋が筋肉痛になった経験を持つ方もいらっしゃるかもしれません。これは、ランニングフォームの維持やランニング中の呼吸などで腹筋が使われているためです。つまり、正しく取り組んでいればランニングだけでも腹筋は鍛えられることになります。
ただし、筋トレで腹筋を鍛えるよりもトレーニングの強度は低いので、あまり効率的な方法とはいえません。より効率的に腹筋を鍛えたい場合は、ランニングに加えて腹筋トレーニングも取り入れることをおすすめします。
■腹筋を鍛えるためのトレーニングメニュー
腹筋をより効率的に鍛えるためには、具体的にどのような筋トレを行えば良いのでしょうか。ランナーの方におすすめの腹筋トレーニングのメニュー例を、いくつかご紹介します。
・プランク
プランク(フロントブリッジ)はうつぶせになった状態から行う腹筋トレーニングです。主に腹直筋や腹横筋と呼ばれる筋肉を鍛えることができます。
腹筋トレーニングとしてなじみが深いシットアップ(上体起こし)とは異なり、上半身を起こす動作がないので、腰への負担が少ないとされています。正しいフォームで姿勢を維持するだけと簡単なので、筋トレ初心者の方にもおすすめです。
【プランクのやり方】
1.マットなどの上にうつぶせになる
2.前腕と肘、つま先を地面につけて体を持ち上げる
3.頭からかかとまでが一直線になるように意識しながら、姿勢を30秒から1分ほどキープする
これを3セットほど行うのが目安です。フォームが乱れると効果が低くなってしまうので、フォームが維持できなくなった時点で終わらせる意識で行いましょう。また、筋力が足りないうちはひざを床につけて負荷を下げるのもおすすめです。
・クランチ
腹直筋を効率的に鍛えられるのが、クランチというトレーニングです。上体を起こす動作で腹筋を鍛えます。体の反動を使うと腰を痛める恐れがあるので、反動ではなく筋力で体を起こすことを意識しましょう。
【クランチのやり方】
1.仰向けに寝転がり、膝を軽く曲げる
2.両手は頭の後ろかお腹の上に置く
3.腹筋に力を入れ、息を吐きながら上体を起こす
4.息を吸いながら、ゆっくりと上体を元の位置まで戻す
上体を起こすときは腰が上がらないように、肩甲骨の辺りから上体を起こすことを意識してください。体をひねる動作を加えて、腹斜筋を一緒に鍛えるのもおすすめです。
・ドローイン
呼吸の際にお腹をへこませる動きで、インナーマッスルを鍛えるトレーニングです。特別な技術は必要なく、時間や場所を選ばずに手軽に行えます。
【ドローインのやり方】
1.仰向けに寝転がり、膝を立てる
2.ゆっくりと息を吐いてお腹をへこませる
3.大きく息を吸い、お腹を膨らませる
4.2と3を繰り返す
最初は難しいかもしれませんが、慣れれば自然とできるようになります。お腹をへこませる感覚が掴めたら、立ったり座ったりしたままチャレンジしてみるのもおすすめです。
・腹筋ローラー
腹筋ローラーと呼ばれる、腹筋トレーニング専用のアイテムを活用するのも良いでしょう。
【腹筋ローラーを使ったトレーニング方法】
1.床に四つん這いになり、両手でローラーのグリップを握る
2.膝を床につけたまま、ローラーをゆっくり前方に転がす
3.限界まで進んだら、ローラーをゆっくりと引き、元の姿勢に戻る
動き自体は非常に単純ですが、かなりの負荷がかかるトレーニングです。元の姿勢に戻るのが難しい方は、そのまま前に倒れ込むようにしましょう。
また、腹筋ローラーをそのまま使うと、床に傷がついたり、ローラーが転がる際の音が気になったりする場合もあります。グリップ性やクッション性に優れたヨガマットを一緒に用意しておくと便利です。
■腹筋を鍛えるためにランニング中に意識したいコツ
ランニング中に走りながら腹筋を鍛えたいという場合、ただランニングに取り組むだけではしっかりとした効果を得られません。ランニング中により効果的に腹筋を鍛えたい場合は、いくつかのポイントを意識して走るのがおすすめです。
・背筋を伸ばして走る
走りながら腹筋を鍛えたい場合は、上半身が骨盤に乗っているようなイメージを持って、背筋をしっかり伸ばした腰高なフォームで走ることが大切です。背筋を伸ばすことを意識すれば自然と腹筋に力が入り、重心がぶれずに走ることができます。
一方で、猫背の状態で走ると負荷がかかりづらく、効果的に腹筋を鍛えられません。呼吸もしづらくなるので、長時間走るのがきつくなってしまいます。
・複式呼吸を意識する
腹式呼吸とは、その名の通りお腹を使って行う呼吸法です。ランニング中に腹式呼吸を意識すれば、自然と腹筋を鍛えられます。また、腹式呼吸は多くの酸素を取り込めるので、ランニング中のスタミナを維持するという点でも有効です。
腹式呼吸ができているかわからないという方は、お腹に手を当てながら呼吸をしてみましょう。息を吸った際にお腹が大きく膨らんでいれば、腹式呼吸ができています。
■ランニングのために腹筋も鍛えることが大切
腹筋はランニングシーンで重要な役割を果たしている筋肉です。適度に腹筋を鍛えておけば、ランニングのパフォーマンスを改善できる可能性もあります。
ランニングだけでも腹筋を鍛えることはできるものの、効率的にトレーニングを行いたい方は筋トレも取り入れるのがおすすめです。怪我なくきれいなフォームで走れるように、日々のトレーニングで腹筋を鍛えましょう。
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