野球選手に多い怪我の種類とは? 怪我を防ぐためのトレーニング方法もご紹介
野球は肩や肘をはじめ、腰、足など全身を使って行うスポーツです。そのため、バッティングやピッチングの際に誤った体の使い方をしてしまったり、体の柔軟性が低かったりと、さまざまな要因で怪我をしてしまう恐れがあります。
では、野球をするうえで怪我を防ぐにはどのようにすればよいのでしょうか。ここでは、野球選手に多い怪我の種類と、怪我を予防するためのトレーニング方法をご紹介します。
【目次】
■野球選手に多い部位別の怪我
野球は全身を使ってプレーするため、さまざまな部位を故障する可能性があるスポーツです。ここでは、野球選手に多い怪我を身体の部位ごとにご紹介します。
・肩
「投手の肩は消耗品」という言葉があるように、野球は投げる動作が多いことから、非常に肩を酷使するスポーツです。肩の怪我は特にピッチャーに多いですが、野手でも肩を痛めてしまうことはあるため、怪我の症状や対処方法を知っておくと良いでしょう。
野球を行うことで起こる肩の怪我は野球肩と呼ばれます。野球肩とは、ボールなどを投げる動作によって引き起こされる肩の怪我の総称で、野球以外でも投げる動作が多いスポーツを行う場合に起こりやすいです。
野球肩と呼ばれる怪我には腱板損傷や関節唇損傷、インピンジメント症候群などさまざまな種類がありますが、野球肩でよく見られるのはインピンジメント症候群です。
インピンジメント症候群とは、肩を動かした際に骨と骨がぶつかったり、筋肉を挟み込んだりしてしまうことが原因で起こる怪我で、肩を上げた際に痛みや違和感を覚えるなどの症状が見られます。
正しいフォームを身につける、肩の可動域を広げるために投球前後はストレッチを行う、肩のインナーマッスルを鍛える、投球後にしっかりとアイシングを行うといった行動で野球肩は予防できます。また、肩を痛めたり、違和感を覚えたりした場合、悪化させないために投球は行わず、安静にすることが大切です。
・肘
肩と同じく、肘も投球動作によって負担がかかるため、ピッチャーを中心に怪我をしやすい部位です。肘の怪我は野球肘と呼ばれ、特に成長期で体が出来上がっていない小中学生に多く見られます。
野球肘は投球動作による負担で肘に炎症や損傷が発生している状態です。痛み、可動域が狭まる、腫れなどが主な症状で、悪化すると疲労骨折や軟骨炎を引き起こします。最悪の場合は手術が必要になるので、痛みを感じた場合はすぐに投球を止め、アイシングを行って病院にかかるようにしましょう。
野球肘の予防方法としては、体幹をしっかり鍛える、ストレッチを行い体の可動域を大きくする、肘に負担のかからないフォームを身につけるなどが挙げられます。
野球肩と野球肘は、一度なってしまうと繰り返す可能性が高い怪我です。肩、肘に過剰な負荷がかかることが大きな原因なので、フォームの改善と同時に、普段から重たいものを利き腕で持たないなどの注意を払う必要があります。
・腰
野球はバッティングやピッチングの際に腰を回転させるため、腰痛が起こりやすいスポーツです。日頃からストレッチを行い、腰回りの筋肉をケアするようにしましょう。
また、腰痛と同様に、背中の肉離れなども起こしやすいので注意が必要です。痛みがある場合は腰に負担がかかることは控え、アイシングやマッサージなどの施術を受けるようにしてください。
・足部
足部で多い怪我は肉離れです。プロ野球でも肉離れによる離脱はよく見られます。
肉離れは、急激な動作によって筋線維や筋膜などがダメージを受ける怪我ですが、疲れていたり、身体の柔軟性が落ちたりしている時に起こりやすいとされています。そのため、日頃から柔軟性を高めておくことが重要です。肉離れを起こした場合は、ストレッチを行うと症状を悪化させてしまうため、すぐにアイシングを行いましょう。
また、足部では肉離れ以外にも、靭帯の損傷なども頻繁に起こる怪我なので注意が必要です。
・その他
スライディングによる擦り傷、ボールや選手などとの接触による打撲、突き指なども考えられる怪我です。いずれの場合もRICEなど迅速な処置を行った後に、病院にかかるようにしましょう。
RICEとは、Rest(安静)、Icing(冷却)、Compression(圧迫)、Elevation(挙上)の頭文字からなる「応急処置時に取るべき行動」を意味する略語です。緊急時のために頭に入れておくとよいでしょう。
■怪我予防には股関節が重要
このような怪我を予防するにはどうすれば良いのでしょうか。実は、怪我の予防には股関節の柔軟性がポイントです。
バッティングでは回転や体重移動の際に股関節を使い、ピッチングにおいても、股関節が柔らかいほど踏み足のステップの幅が広くなるなど、股関節は野球のプレーにおいて重要な役割を果たしています。股関節が固いとプレーのパフォーマンスが下がってしまうだけでなく、体を上手に使うことができないため、野球肘や野球肩といった怪我の危険性も高まります。
そのため、ストレッチなどの柔軟運動を取り入れて、股関節を中心に体を柔らかくしておくことが重要です。体が柔らかい場合でも、加齢や筋肉がついたなどの要因で関節の可動域は狭くなってしまうことがあるので、日頃から入念にストレッチを行ってください。
■怪我をしないためのトレーニング方法
スポーツをする以上、怪我はある程度避けられないことです。しかし、大事に至らないように、日々のトレーニングで怪我のリスクを下げることはできます。
それでは、どのようなトレーニングを行えば怪我を防ぐことができるのでしょうか。怪我をしづらい体を作るトレーニング方法をご紹介します。
・まずはしっかりと筋トレを行う
まずは十分な筋力トレーニングを行いましょう。基本的な筋肉量を増やし体が上手に使えるようになることは、パフォーマンスの向上だけでなく、怪我の予防にも役立ちます。
また、練習メニューに体幹トレーニングを取り入れ、インナーマッスルを鍛えて基礎体力を上げることも怪我の予防には必要です。
・ストレッチで体の柔軟性を高める
前述のとおり、股関節の柔軟性は怪我のしにくさに直結するので、練習や試合の前後だけでなく、オフの日にもしっかりとストレッチを行うなど、柔軟性を日々高めることが大切です。特に練習後や試合後は筋肉が疲労しているので、ストレッチを行いしっかりとケアをする必要があります。
また、股関節だけでなく、野球では肩回りも酷使します。肩をはじめ、腕などのストレッチも取り入れ、可動域を広げるようにしましょう。
・それでも怪我をしてしまったら
身体の状態や動きに細心の注意を払い、万全の準備をしていても、時には怪我をしてしまいます。そのような場合、なぜ怪我をしたのかを振り返り考えることが大切です。
なぜ怪我をしてしまったのかを考え、日頃のトレーニングやプレーに生かすことで、将来の怪我の予防に役立ちます。また、怪我をした部位は安静にしつつも、筋力強化をするなど可能な範囲でトレーニングを続けるようにしましょう。
■まとめ
野球をはじめ、スポーツをするうえで怪我を絶対に防ぐことはできませんが、リスクを減らすことはできます。そのためには、日頃のトレーニングの中で正しいフォームや体の使い方を覚えるだけでなく、しっかりとストレッチを行い、体の柔軟性を高めて関節の可動域を広げることが大切です。
スポーツは自分の体が資本になります。運動前後は特に入念にストレッチを行うなど、日頃のケアを行うことで怪我を防ぎましょう。
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