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baseball2024.04.08

大谷翔平、ドジャースでの新たな挑戦!40本塁打、打率.400、40盗塁の偉業目指す

プロ野球の選手は、基本的に、個人事業主である。

もちろん、厳密に言えばほとんどのプロ・スポーツ選手は個人事業主ということになるのだが、プロ野球の場合は特にその傾向が強いように思える。

たとえばサッカー、ラグビー、アメフト、バスケット、バレーボール。活躍すれば給料が上がるという意味では個人事業主的なのだが、これらのスポーツの場合、個人の成績はチームの成績と少なからずリンクしている。

つまり、ポイントゲッターがタイトルを獲るためには、ある程度、チームが強くなければならない。わたしの知る限り、これらの競技でリーグ最下位に終わったチームから“もっとも得点を挙げた選手”が出たことはないし、MVPに選出されたこともない。せいぜい、リーグを代表するメンバーに選ばれるぐらいだろう。

ご存じの通り、大谷は過去に二度、メジャーリーグのMVPを獲得している。エンジェルスがもう少し強ければ、投手での数字はもっとあがっていただろうが、しかし、野球の場合、チームの状態から個人が受ける影響は、他のスポーツに比べれば大きくない。最下位のチームからホームラン王が出ることも、三冠王が出ることも、サイヤング賞を獲る投手が現れるのも、あることではある。

大谷の場合も、これまでは良くも悪くもチームの状態とは関係なく、淡々と自分の仕事をこなしてきた印象がある。日本ハム時代も含めて、守れない仲間、打てない同僚に怒りを露にしたことはほとんどないのではないか。

なので、驚いた。

昨年末、移籍騒動の渦中にあったレイズのグラスノーに対して、大谷が「ぼくが君のために打つから」とビデオレターを送ったというニュースがあった。君のために打つ。だからドジャースにきてほしいというメッセージだった。

これまでの大谷を考えれば、あまりにも異質な発言に思えた。

そもそも、高校3年夏の段階でメジャー行きを強く志向していた大谷は、なぜファイターズに入団したのか。理由は一つではないだろうが、「ファイターズが強かったから」でないことだけは間違いない。

エンジェルス入団時もしかり。彼の中に、チーム選びの材料や基準として「優勝を狙えそうなチームか、否か」という視点はほぼなかったように思える。

そんな大谷が、エンジェルスを飛び出してドジャースを選び、チームの強化のために自らも積極的に動いた。グラスノーだけでなく、山本の移籍に関しても大谷の関与が大きかったことは広く知られている。


大谷がそこまで勝利に飢えているのは、WBCの優勝体験が大きかったのだろう。

チームが勝つというより、個人としての高みを極めることに心血を注いできた青年は、あの優勝で、ビッグタイトルを獲得することの興奮や喜び、そして得られるものの大きさを知った。知ってしまえば、また味わいたくなる。味わうことを考えた場合、エンジェルスでは難しいこともわかった。ゆえにドジャースを選び、勝つためのメンバーを集めるためにひと肌を脱ぐことまでやった。

こんなにもチームの勝利に飢えた状態で開幕を迎えるのは、彼のプロ野球人生の中でも初めてではないだろうか。24年のシーズンは、いままでとは違った大谷が見られるのでは、という期待がある。すでに十分完成された存在である大谷に、どんな化学変化をもたらすのか。


考えてみれば、今年は大谷にとって、打者1本に専念する初めてのシーズンでもある。これまで、彼の口から二刀流であることの辛さがこぼれ出るのを聞いたことはないが、しかし、相当な負担があったことは間違いない。

それが、今年はなくなった。もちろん、ピッチャーとして復帰するためのトレーニングはどこかの段階で開始するのだろうが、本番の登板ほどの負荷がかかることは考えにくい。打つことのみに専念し、かつ、仲間のため、チームのために打つと誓った昨年のホームラン王は、打者としてのキャリアハイをことごとく更新するかもしれない。

怖いのはケガ、特に筋肉系のトラブルぐらいか。

例年より身体の負担が少ない分、ついいつもよりアクセルを踏み込んでしまうというのは、どんな超一流のアスリートであってもありうること。30歳前後という年齢は、人によっては体内の質が少しずつ変わる曲がり角の時期でもある。大谷の場合、まだその心配はなさそうだが、可能性はゼロではない。

でも、でも、でも──。

40・40・40。まだ誰もやったことがないし、そもそも、目指した人自体が存在しないかもしれない。でも、大谷ならば、いままでとは少し違う今年の大谷であれば、ホームラン40本、打率4割、盗塁40なんて化け物じみたことを、ひょっとしたらできてしまうのでは、などと夢想してしまう。

というか、ホームランと盗塁に関しては、フツーにクリアしそうな気もする。

いずれにせよ、今年はルーティンではない大谷のニュースにたくさん接することができそうな、そんな予感するのである。

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