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football2019.07.24

久保建英 疾走した19年シーズン上半期。J、代表、そしてレアルへ。

日本サッカー界の期待を背負う18歳が、新たなチャレンジをスタートさせた。日本代表MF久保建英が、レアル・マドリードの一員として7月8日にチームに合流したのだ。

19年シーズンの上半期を、久保はスピード感豊かに疾走した。

第1章はJ1リーグである。

シーズン前のキャンプから定位置奪取に意欲をもやしていた久保は、選手層の厚いFC東京で開幕スタメンを勝ち取る。肉体的な逞しさを増したことで、課題とされてきたディフェンスでもしっかりとタスクを果たせるようになっていた。

そのうえで、持ち前の技術の高さを発揮していく。自ら突破を仕掛けるか、味方選手を使うのかの判断に誤りがなく、チームの攻撃に正しいリズムをもたらす。第3節でJ1リーグ初のフル出場とシーズン初アシストを記録し、5月12日の第11節ではシーズン初ゴールをマークした。

背番号15を背負う少年が刺激剤となり、FC東京は開幕から12戦負けなしで首位を快走する。14節のリーグ戦中断までに、久保は13試合に出場して4ゴールを叩き出した。

クラブで結果を残す若き逸材は、国際舞台へのデビューも飾る。18歳の誕生日から5日後の6月9日に行われたエルサルバドル戦で、日本代表の一員としてピッチに立ったのだ。第2章のはじまりである。

後半69分に4-2-3-1のトップ下のポジションで途中出場すると、ひとめぼれスタジアム宮城は大歓声に包まれた。久保も観衆の期待に応える。出場後すぐに右サイドからドリブルで持ち込み、得意の左足で強烈な一撃を見舞ったのだ。

FC東京でのプレーと同じように、ワンタッチでのボールさばきやスルーパスで攻撃にアクセントをつけながら、DFラインの背後へのランニングで自らもゴールへ迫る。日本代表のレベルでもプレーできることを、久保はわずか20数分間で証明してみせたのだった。

直後のコパ・アメリカ(南米選手権)では、チリとのグループステージ初戦で日本代表初スタメンを飾る。森保一監督が招集したチームは、東京五輪の出場資格を持つ若手を中心としたものだった。

18歳の久保は、そのなかでも最少年少である。ところが、背番号21を着けたレフティーは、大会を連覇しているチリを相手に確かな存在感を発揮する。直接FKのキッカーを任され、スルーパスで好機を作り出し、1対1では相手の股間を抜いて見せた。

あわやゴールというシーンも作り出した。

64分、ペナルティエリア左へドリブルで侵入し、至近距離から左足を振り抜く。

直後、久保は両手で地面を叩いた。試合後には「決めていればこっちの時間帯にできたかもしれないので」と、わずかに枠を逸れたシュートミスを悔やんだ。

ウルグアイとの第2戦は後半途中から出場し、エクアドルとの第3戦は再び先発に名を連ねる。第1戦と同じくトップ下で先発した久保は、攻撃のきっかけとなるパスを配球していく。中島翔哉の先制点も、起点となったのは彼のパスだった。

1対1で推移した後半は、何度もチャンスを生み出す。68分の上田綺世、86分の中島、89分の前田大然のシュートは、いずれも久保のラストパスからだった。93分にはゴール前のこぼれ球を右足でプッシュしたが、オフサイドの判定で取り消しとなる。日本は1対1で引き分け、グループリーグ突破はならなかった。



試合後の久保は「(勝てば準々決勝へ進出できる)チャンスがあったなかで、今日は自分たちの結果次第だったので、それは悔しいですね」と切り出した。自身のプレーについては「楽しかったですし、いま持ってるものは出せたかなと思います。個人的には2試合90分出て、1試合途中出場で出て、たくさん試合に関わらせてもらったなかで、改めて、普段やることのないような相手と戦えましたし、やっていて楽しいですし、大会の熱気も感じるし、自分のサッカーをやっていくなかで初めての経験だったので、そこは良かったかなと思います」と前向きな言葉を残す。

今後についても、控えめな手ごたえを口にした。

「(6月のキリンチャレンジカップとコパ・アメリカで)メンバーも違ったりとか、環境も違ったりしましたけど、A代表としての誇りを持ってやっていることに変わりはないですし、今回ある程度の結果を残せたので、ここから自分も含めてですけどA代表に絡んでいく選手が出てこないといけないのかなと思いますし、国を背負って戦うことの誇りだったり、嬉しさだったりはすごく感じてましたし、またこういう舞台に立てたらなと思います」

そして、さらりと自信を表明する。エルサルバドル戦からエクアドル戦までのおよそ3週間で、18歳の才能は多くのものを吸収したのである。

「やれることはやれたので、そこは自信を持ったほうがいいのかなと思います」

コパ・アメリカが行われたブラジルから帰国すると、つかの間のオフを過ごして7月7日に日本を発った。目的地はもちろん、スペインのマドリードである。“白い巨人”と呼ばれる世界屈指のメガクラブ、レアル・マドリードのプレシーズンのトレーニングに参加するためだ。

当初はセカンドチームに相当するレアル・マドリード・カスティージャに合流すると見られていた。ところが、トップチームのジネジーヌ・ジダン監督の要望で、カナダとアメリカを転戦する世界のスーパースター軍団に加わることになったのである。

久保はMFでもFWでもプレーできるが、ひとまずタイプ的にライバルとなるのはクロアチア代表ルカ・モドリッチ、スペイン代表イスコ、新加入のベルギー代表司令塔エデン・アザールらになりそうだ。18歳の日本人選手がライバルと呼ぶには、あまりにも強烈な選手たちである。

アメリカでは7月21日にバイエルン・ミュンヘン(ドイツ)、24日にアーセナル(イングランド)、27日にアトレティコ・マドリード(スペイン)との試合が組まれている。結果よりも選手同士の連携や仕上がり具合のチェックに力点が置かれる3試合では、久保にもチャンスが巡ってくるだろう。そこでどれだけアピールできるのかが、最初のハードルとなる。

世界最高峰のクラブで生き残りを賭けた戦いに挑むのだ。競争は苛烈を極める。

だからこそ、得るものは多い。1分1秒が成長につながる。

19年上半期の輝きに負けない濃密な時間を、久保はこれから過ごしていくことになるだろう。

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