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football2019.10.08

小久保玲央ブライアン(SLベンフィカ)インタビュー「日本サッカー界期待のGKが感じた世界との差」

日本人選手の海外移籍に関するニュースが賑わせているなか、日本の「エース」ともいえる存在の中島翔哉選手が、ポルトガルの強豪チーム、FCポルトへの移籍を決めた。

そのFCポルトのライバルとして長年しのぎを削ってきた名門チーム、SLベンフィカの一員として2019年1月からプレーしているのが、小久保玲央ブライアン選手だ。

ユース世代の国際大会であるアルカス国際カップでは、柏レイソルU18の大会準優勝に貢献。自身も大会ベストGKに輝いた、期待の大型GKだ。

今回は、SLベンフィカで2年目のシーズンを迎える小久保玲央ブライアン選手に、お話をお伺いした。


――まず、サッカーとの出会いから教えてください。

幼稚園の年中の時に「サッカーをやってみたい!」と思い、友達と一緒にクラブに入ったのがきっかけです。当時はFWで、アタッカーでした。ゴールを決めることに、何よりの喜びを感じていましたね。

――当時は、どんな選手が好きでしたか?

子供の頃は、レイソルのフランサ選手が好きでした。後は、付けている背番号が一緒だった大久保嘉人選手。テレビなどでずっと見ていたことを覚えています。

――どのような経緯でGKに「転向」したのでしょうか?

GKを始めたのは、レイソルユースに入団した12歳(中学1年)の時ですね。小学校4年の時にレイソルジュニアユースのトライアルをFWとして受けたのですが、受かりませんでした。その後、小学校6年生の時にレイソルからGKとして声を掛けていただき、それからはGK一筋でプレーしています。

――GKとして過ごす日々は、どのようなものでしたか?

初めて公式戦に出場したのが、中学2年生の時。試合に出られない日々が続き、辛い想いを抱えながら過ごしていた時期でしたね。実際に「辞めようかな?」とか考えることもありましたし。怒られたりすることも多かったので、本当にキツかったですね。

――辛い日々を乗り越える支えは何でしたか?

練習場から垣間見える柏レイソルのトップチームの姿ですね。グラウンドにいるプロ選手への憧れが、自分を奮い立たせる力になっていました。

――ユース時代の目標は何ですか?

どんな状況でも、「絶対にプロになりたい」という気持ちは、ブレずに持っていました。当時のGKコーチが、「こんなGKになってみたいだろ?一緒に頑張ろう!」って、夢を応援してくれる方だったことも大きかったように思います。柏レイソルの皆さんには、今でも本当に感謝していますよ。



――小久保選手のキーパーとしての強みや、課題に感じていることはありますか?

FWをやっていたこともあり、ビルドアップが得意ですね。あとはハイボールかな。GKをやっていて一番楽しいと感じたのも、パスの繋ぎを覚え、ボランチにパスが繋がった時です。この時はコーチにも褒めてもらったので、充実感がありました。

課題に感じているのは、状況判断ですね。特に、飛び出しや背後のスペースのカバーは、これから伸ばしていく必要があると感じています。

――初めて海外のクラブを体験してみて、どのように感じましたか?一番驚いたことは何ですか?

ポルトガルは、街のみんながサッカーを愛していて、愛情に満ち溢れているように感じました。サッカーの面では、パスやシュートスピードも全然違いますし、恵まれた環境でプレーできているので、行ってみて良かったと思っています。

――海外のチームでGKとしてプレーしてみて、驚いたことはありますか?

日本の選手は絶対に打ってこないような遠い距離でも、シュートを放ってくるところですかね。ペナルティエリアの外とか、「そんなところから?」っていう距離でも平気で打ってきます。

――「球の質」に違いはありますか?

日本人選手は「コースに置いてくる」って感じなのですが、海外の選手は速いボールが「ズバッ」と、良いコースにくるという印象です。

――日本人選手と外国人選手との違いはありますか?

1番の違いは身体つきですね。多くの選手が、週2~3回は筋トレをやっています。ベンチプレスで、日本人の倍くらいの重さを持ち上げる選手もいるので、身体の強さや体幹に違いはあると思います。

――GKの生命線は「コーチング」だと思うのですが、海外でプレーしてから、意識の変化はありましたか?

海外での言葉の壁は、まだ感じることがありますね。試合のハーフタイムでは、ボード使ったりしながら片言で伝えています。

なので、まだまだ細かいことまで伝えられないもどかしさや、「本当だったらもっと強く言いたいんだけど…」という場面もまだまだありますね。

日本にいるときは、積極的にチームメートと話しながらやっていたので今後の課題だと思っています。



――小久保選手のスパイク選びへのこだわりを教えてください。

やっぱり「中ズレ」してほしくないと思いますね。

きちんとフィットしていないと、ゴールキック蹴る時などの安定感に影響が出てしまうこともあると思うので。実際に、合わないスパイクを履いている時、踏張ってゴールキックを蹴ったりしたこともありましたが、このPUMAのスパイクを履いてからはまったく「ズレ」を感じなくなりました。

きちんと足にフィットしていて、「中ズレ」のないシューズというのが、一番重視しているポイントだと思います。

――スパイクを選ぶ基準は何ですか?

足幅の狭くてスリムな靴が好きなので、そのようなデザインのスパイクを選んでいました。PUMAだと、当時発売されていたエヴォスピードがすごく履きやすかったです。ビルドアップを得意にしているので、フィットした履き心地で安定したボールが蹴れるPUMAのシューズは、プレーをする上で欠かせませんね。

――あと、スパイクでこだわっていることってありますか?

履いた時に、「クッ」と屈曲する部分が素直に屈曲して欲しいので、事前にその屈曲ポイントに癖をつけたりはしますね。重さと軽さのバランスを考えると、今履いているフューチャーが、これまでで一番フィットしています。



――続いて、グローブ選びはどうでしょうか?一番気にしている点はどこですか?

フィット感と、甲の締まりですね。あと、ずれがなくて安定感があるグローブが大好きです。

――日常でグローブに対して特別やっていることはありますか? 

毎日洗っています。海外の選手は、あまり洗っている選手がいなくて、軽く笑われたこともあるんですが…。やっぱり、ちょっとでも汚れがあると嫌なので、洗濯は欠かせません。

――グローブとの思い出はありますか?

小学校の時に、たまにPKでGKをやっていたんですね。

そのときは、お母さんが買ってきてくれたアンブロのグローブを使っていましたが、そのグローブでPKを止めた時、本当に嬉しくて…。そのグローブは、まだ残してあります。



――小久保選手ご自身は、これからのキャリアについてどう考えていますか?

U-18世代なので、2024年のパリオリンピックも出場できるんですが、1年後の東京オリンピックも、日本代表のメンバーとしてプレーしたいと思っています。

「無理かな?」って思ったら終わりだと思っているんで、「自国開催のオリンピックに出たい」という想いを持ち続けてプレーしていますよ。

選手としては、将来はベンフィカで活躍したあと、出来ることならばお世話になった柏レイソルに戻ってプレーさせてもらうのが理想ですね。

日本のチームでプレーして、自分の経験を少しでも還元できたらいいなと思います。

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