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other2019.10.09

伊原六花│登美丘高校ダンス部の仲間は"家族"。本音を言い合える関係性が力を生んだ【前編】

登美丘高校ダンス部の元キャプテンで、現在は女優や歌手として活躍する伊原六花さん。「バブリーダンス」でセンターを務め、話題を集めたことも記憶に新しい。完成度の高いプロ顔負けのパフォーマンスとステージ上での大人びた表情が印象的だが、その裏には、高校部活の"王道"とも言えるような努力や葛藤が詰まっていた。今回は、そんな彼女のダンス部での経験と、現在の活動とのつながりについて話を聞いた。


■表現の世界に惹かれて


──ダンスを始めたきっかけを教えてください。

小さいころからいろいろな習い事をしていて、水泳、テニス、バレエなどいろいろやって、たどり着いたのがダンスでした。

ダンスに出会うきっかけになったのは、ミュージカルでした。小学校2年生のときに友達のお姉さんが出ているミュージカルを観に行って、「"お芝居"っていう世界があるんだ」と初めて知ったんです。もともと本を読むのが好きだったこともあって、物語の登場人物になりきって表現することにすごく憧れたというか……ビビビッときて、「自分もやってみたい」と思いました。それでミュージカルを習うようになって、レッスンのなかでヒップホップやジャズ、ガールズだったり、いろいろなジャンルのダンスに出会っていきました。

──当時は、舞台の上で表現することにどんな魅力を感じていましたか?

初めのうちは、「みんなに見てもらいたい、褒めてもらいたい」という気持ちが強くて、そのために頑張っていました。練習をすればそのぶん「よかったよ」って言ってもらえるのが嬉しくて。それに、普段は着られないような衣装を着たり、メイクをしたりして、いつもと違う自分になれるということも楽しいと思っていたポイントです。中学生までは、だいたい週に3日くらい、舞台や発表が近い時期はほぼ毎日通っていました。

──小中学生時代にそれだけの頻度で外部のレッスンに行くのは大変ではありませんでしたか?

本当にミュージカルもダンスも好きでやっていたので、"習い事"という意識もないくらいでした。「この時間になったらダンスに行く」みたいに、気づけば生活の一部になっていた感じです。レッスンがない日は中学生らしく、みんなでクレープを食べに行ったり、プリクラを撮ったり、夏はプールに行ったりもしていました。レッスンはレッスンでしっかり集中し、それ以外は友達と遊ぶというメリハリが自然とできていたのもよかったのかもしれません。


■部活動に憧れを持っていた


──その後、登美丘高校へ進学することになった経緯を教えてください。

私は中学で部活に入っていなかったこともあり、 "先輩"という存在に憧れがあったんです。それで、高校では部活に入りたいなと思って、ダンス部がある学校を探していました。そんなときに、「こういう高校があるよ」と先生に教えてもらったのが登美丘高校でした。Youtubeでダンス部の動画を見てみると、鮮やかなドレスを着て、ちょっとミュージカルっぽい振り付けで踊っていたのが印象的で。高校のダンス部といえば、かっこいい系の服を着てロックダンスをするようなところが多いイメージだったので、ほかにはない色だなと思い、すごく惹かれました。それで、「登美丘高校のダンス部に入りたい」って思ってからは、受験に向けて猛勉強。中学2年生まではほとんど勉強していなかったのですが、「絶対入る!」と思ってひたすら勉強しました。

──ちなみに、部活や先輩のどんなところに憧れを抱いていたのですか?

私が通っていたミュージカルやダンスのスクールにもいろんな年齢層の人がいたのですが、やっぱり部活ではないので「守らなきゃいけないルール」みたいなものが特になかったんです。だから、先輩と後輩の関係性や「次、◯◯するよ!」「はい!」みたいな、部活ならではの雰囲気に憧れてました。

──入学後、登美丘高校のダンス部を間近で見てどんな印象でしたか?

初めに見学をしに行ったときに、当時のキャプテンが「大会優勝を目指してやってる部活やから、かわいい・かっこいいって思われたいだけだったら入らんといて」って言ってて。結構ズバッと言うんだなとびっくりもしたのですが、「本気やな」って思いました。本気度が伝わってきたし、私は登美丘高校でダンス部に入るためだけに受験したので、そのまま迷いなく入部しました。


■ダンスの新しい楽しさに気づけた


──実際に入部して練習に参加するようになっていかがでしたか?

それまで習ってきたダンスとは全然違って、最初は戸惑うこともありました。中学までは自分の思うように踊って、たとえそれが先生と違っても「個性」だと思っていたし、細かく正されるようなこともほとんどなかったんです。でも、部活に入るとやっぱり集団行動が求められるし、ダンスもきっちりと合わせてなんぼの世界だったんです。

──その戸惑いから、どうやって脱却していったのでしょうか?

それこそ、初めのうちは「そうじゃない。こうやって踊って」って言われると「好きに踊らせてほしい」って思ったこともありました。でも、言われたとおりに踊った姿を動画で見直してみると、断然よくなったっていうことが多くて。それまでの自由な踊りももちろん楽しかったけれど、微調整を重ねながら正解に近づけていくことの面白さも感じられるようになっていったんです。何回も練習すればするほどしっくりくる踊りになるし、だんだん「この場合はここに力を入れたほうがかっこよく見えるんだろうな」とか、感覚もつかめるようになっていって。「時間をかけて大人数で作品をつくりあげていくのが高校ダンス部の魅力でもあるんだな」って思えるようになりました。

──もともと憧れを抱いていたという「部活動ならではの雰囲気」はいかがでしたか?

何時までは「おはようございます」何時からは「こんにちは」みたいに挨拶の時間が決められていたり、「シューズは座って履いちゃダメ」とか、いろいろ細かくルールがあって、"体育会系"って感じでした。買い食いも禁止だし、大会会場ではスマホもいじっちゃダメ。最初のころは「なんで守らなきゃいけないんだろ」と思ってしまうルールもあったのですが、先輩から「もし大会で優勝できても、本番中以外の態度とかで評価が落ちるのってすごくもったいないよ」と言われ、その通りだなと思いました。どんなにダンスが良くても態度が良くなければ「あの高校ちょっと嫌だな」って思われちゃうし、ダンス部として「登美丘」の名前を背負っているという意識を普段から持たなくちゃ、と考えるようになりました。

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後編 では、仲間との関係性や、芸能活動とダンス経験のつながり、そして現在部活動へ打ち込む学生たちへのメッセージをお届けします。


■プロフィール


伊原六花
1999年6月2日生まれ。大阪府出身。大阪府立登美丘高校ダンス部元キャプテン。高校卒業後は芸能活動を開始し、女優や歌手として活躍している。

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