サッカー日本代表の新ユニフォーム発表会で語った久保建英のW杯への決意と目標
サッカー日本代表の新ユニフォームが発表された。
今回のコンセプトは「ORIGAMI」=折り紙だ。なぜ折り紙が使われたのかには、もちろん理由がある。
11月開幕のW杯が行なわれるカタールは、日本サッカーの歴史が刻まれた場所である。
1993年10月28日、後半終了間際の失点でW杯出場を逃した。いわゆる“ドーハの悲劇”である。
2011年1月29日、アジアカップ決勝でオーストラリアと延長戦にもつれる死闘を演じた。李忠成の決勝ボレーで、史上最多となる4度目の優勝を成し遂げた。
2016年1月30日、U-23アジアカップで日本代表が韓国代表と相対した。0対2から3連弾を叩き込み、大逆転でアジア王者となった。
日本サッカーにとって忘れがたいカタールを、歓喜の地とするために──歓喜をもたらす祈りの象徴として、折り紙をコンセプトにユニフォームが開発されたのだ。
ホームユニフォームはジャパンブルーを基調に、折り紙の折り線や展開図が幾何学的なグラフィックとして落とし込まれている。
印象的なデザインのなかで、背中の上方に日の丸が配された。これは、「国を背負う」と同時に「サポーターの応援が背中を押す」とのメッセージが込められたものだ。日本代表の森保一監督は、「日本国旗が背面にあしらわれることによって、より一層『国を背負う』という強い覚悟で、誇りを持って戦いたいと思います」とのコメントを寄せている。
また、首の内側部分(襟裏)には赤いパネルが組み込まれている。11年のアジアカップ当時のユニフォームでは、胸に赤色のパネルが入っていた。もう一度カタールで歓喜の瞬間を迎えられるようにとの願いから、11年当時と同じ赤色のパネルが採用されたのだった。
ナンバーキットはイエローだ。視認性が高く、選手の存在感を際立たせるだろう。
アウェイ用のユニフォームは、ブラック&ホワイトを基調としたデザインだ。ホームユニフォーム同様に「ORIGAMI」をコンセプトに開発されたグラフィックが採用されている。両袖にはアナグリフ画像が用いられており、青と赤の折り紙が幾層にも重なリ、なおかつ立体的に見えるようにデザインされている。ナンバーキットはブラックだ。
新ユニフォームの発表に合わせて、日本代表の森保一監督がコメントを寄せている。
「新ユニフォームを見た第一印象は『シンプルかつ斬新』です。選手たちがカタールの地でこのユニフォームを着て、躍動する姿を想像するだけでワクワクします」
ベスト16の壁を打ち破り、歴史を作るとの目標を掲げる指揮官も、闘志を膨らませているに違いない。
8月29日に行なわれた新ユニフォーム発表会には、久保建英選手がスペインからオンラインで出席した。ジョン・カビラ氏の質問に答える形で、ユニフォームの印象やW杯への思いを語っていく。
「僕が初めてこのユニフォームを観たのは、5月か6月の撮影でした。いま現在僕たちが代表で使用しているものとはまた違った斬新なユニフォームで、いい意味で驚きました。パッと見てグラフィックというかデザインがすごく派手というか斬新なので、記憶に残りやすいというか、見た目で覚えてもらいやすいのかなと思います」
白×黒を基調としたアウェイユニフォームについても語った。これまでのものとはひと味違うとの声が聞かれるが、久保選手も同じような印象を抱いている。
「アウェイのほうがより濃くというか、より斬新な感じがあって。ホームよりも覚えやすいというか、威圧感があって勝てそうだなという感じがします。白と黒のコントラストというのでしょうか、目に伝わりやすいというか、いい意味で派手で斬新かなと思います」
コンセプトの折り紙について聞かれると、表情が和らいだ。繊細なボールタッチを見せる久保選手には、意外な“弱点”があったのだ。
「ホントに申し訳ないですけど、手が不器用なので折り紙は苦手なんです」
それでも、折り紙についてのコメントはしっかりと決めた。
「日本の由緒ある文化のひとつとして、世界でも有名だと思うので、コンセプトとしてすごくいいものなのかなと思います」
ここから先はW杯に関する質問だ。スペインで4シーズン目を過ごす久保選手は、バスク地方の名門レアル・ソシエダの一員として22-23シーズンを迎えた。開幕節でいきなりゴールを決め、3試合連続でスタメン出場を果たすなど、素晴らしい滑り出しを見せている。
「バスク州の新聞の取材でも答えましたけど、今は結果をより求めていきたい。ゴール、アシストともに(過去)3年間を上回っていくのは当たり前の大前提としつつ、ゴールとアシストを足して20点、20ゴールに絡めれば上出来なのかなと思っています」
日本代表は9月に欧州遠征を行い、11月のW杯開幕を迎える。決戦について聞かれると、久保選手の表情がグッと引き締まった。
「代表活動も選ばれれば本番まであと1回しかないので、腹を括っていますし、選ばれるつもりで、しっかり試合に出るつもりで準備はしています。いまのチームでそれ相応の結果を出すことが必要だと思うので、その一点にフォーカスしてやっていければと思います」
W杯への思いを改めて聞かれると、久保選手は迷うことなく言葉をつないでいった。新たなユニフォームを着てピッチに立つ自分が、カタールの地で躍動する姿が、すでにイメージできているのかもしれない。
「僕はいままでひとりの観客として観ている側だったので、今度は選ばれたらプレーする側として、いままで僕が日本代表の選手に魅了されてきたように、今度は僕が観了する側になっていければと強く思っています」
日本代表の新ユニフォームお披露目は、9月23日に行なわれるアメリカ代表戦だ。デザインはもちろん機能性にも優れた戦闘着を身にまとい、日本代表はW杯へ向かっていく。