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football2024.10.09

パリ五輪世代のエースから日本代表の主軸へ!!細谷真大はゴールという結果にこだわる

9月の無念は、10月に晴らす。

柏レイソルの細谷真大は、捲土重来を誓っている。

2024年は悔しさからスタートした。

1月開幕のアジアカップで、細谷は26人のスカッドに名を連ねた。所属する柏レイソルでは、直前の23年シーズンにJ1リーグ得点ランキング5位タイの14ゴールを記録した。178センチ、76キロのサイズはずば抜けたものではないが、ポストプレーが逞しく、シュートもパワフルだ。ゴール前の密集したエリアで、相手の脅威になることができる。

23年11月に行なわれた北中米W杯アジア2次予選、対シリア戦では代表初ゴールをマークしていた。日本代表選出にふさわしい実績を残して、細谷は大会の舞台となるカタールへ乗り込んだ。

グループステージ初戦のベトナム戦で、細谷は4-2-3-1の1トップを任された。直前のテストマッチでも1トップで先発しており、ゴールできていなかった。ベトナム戦で存在感を発揮したいところだったが、前半だけの出場に終わってしまう。

スカウティングを含めて準備万端で臨んできたベトナムに対して、海外組のコンディションが揃っていない日本は、思うようなサッカーを展開できない。そのなかで、森保一監督は細谷を代えるという選択をした。

最終的に4対2で勝利した試合後、細谷は「大会初戦という難しさはあったけど、もう少しゴールに絡みたかったです」と振り返った。自分自身のプレーに対する「物足りなさはある」としながらも、「チームが勝てたことはポジティブにとらえたい。切り替えて次に向けて準備していきます」と前を向いた。

しかし、2戦目以降はスタメンから外れた。チームはイランとの準々決勝に敗れ、ベスト8で大会を去る。細谷もイラン戦の終了間際にピッチに立っただけで、自身初のアジアカップは終わりを告げた。

細谷はパリ五輪世代でもある。U-23世代のエースストライカーとして、4月から5月にかけて開催されたU-23アジアカップ(パリ五輪アジア最終予選)に出場した。

グループステージ3試合では無得点に終わったが、負ければ終わりのノックアウトステージで真価を発揮する。ホスト国カタールとの準々決勝で、2対2で突入した延長前半に大会初ゴールをマークしたのだ。チームは4対2で勝利した。

イラクとの準決勝では、前半28分に先制点をマークした。2対0で勝利したチームは、パリ五輪出場を決めたのだった。

パリ五輪本大会でも、エースの責任を果たした。4-3-3のシステムでCFを務め、攻撃の核となった。グループステージ第3戦のイスラエル戦で決勝弾を決め、スペインとの準々決勝では1点を追いかける前半40分にゴールネットを揺らす。DFを背負いながら力強く反転し、右足のシュートで相手GKを無力化した。

ところが、VARで取り消しとなってしまう。その後もヘディングシュートポストを叩くなど、この日は運に見放された。チームは0対3で敗れた。

試合後の細谷は、自らに矢印を向けた。

「取り消されたものも含めて、決め切るべきものが2つ、3つとあった。そこでひとつ決めていれば、試合の流れは変わっていたと思う。大事なところで決めきる力は、もっと必要だと感じます。FWとして、もっと上にいかないといけない。結果を受け止めるしかない。この悔しさは(26年の)W杯の舞台でしっかり晴らしたい」

U-23日本代表としての活動が終わり、細谷の視線は年齢制限のない日本代表へ注がれていく。所属するレイソルへ戻り、J1リーグのピッチに立ち続けた。日本代表の森保監督は9月に行なわれる北中米W杯アジア最終予選で、細谷を招集する。その理由を問われた指揮官は、よどみなく答えた。

「背後へ鋭く抜け出す動き、ポストプレーも非常に力強く、前線で起点になってチャンスメイクするクオリティも上がってきている。ピッチに立つ11人が本当にハードワークすることで勝利が近づくので、守備の部分でもチームに貢献してほしい」


年頭のアジアカップ以来の代表入りには、細谷も熱い気持ちをたぎらせた。

「パリ五輪で年代別代表の活動が終わり、日本代表に食い込んでいきたかったので、パリが終わった後の最初の日本代表の活動に選ばれたことはすごく嬉しいです。W杯最終予選で相手のレベルもまた上がってくるなかで、自分がどれだけやれるかというところが楽しみでもあります。裏への抜け出しなどの自分の特徴を見せたいですし、日本代表のためにしっかり戦って結果を残したい」

日本代表は最高のスタートを切った。9月5日の中国戦に7対0で大勝し、10日のバーレーン戦も5対0で勝利した。

細谷はどうだったか。

2試合ともメンバー外だった。ベンチにも入れなかったのだ。

日本代表は3-4-2-1を基本システムとし、1トップのファーストチョイスは上田綺世だ。交代カードは長身の小川航基、スピードスターの前田大然と浅野拓磨となっている。

細谷自身、厳しい競争は覚悟していた。「アジアカップの時からそうですけど、日本代表は選手層が厚くなっている」と話していた。それにしても、2試合連続のメンバー外は悔しかっただろう。「正直、試合には出たかったです」と本音もこぼした。

ただ、彼の力が必要な場面はある。

9月の2試合で好スタートを切った日本だが、最終予選は全10試合の長丁場だ。主力と見なされる選手がコンディションを落としたり、ケガや出場停止に見舞われたりすることも想定される。先発に抜てきされた選手が結果を残す、途中出場の選手が流れを変える、といった働きは欠かせない。

前回の最終予選では、三笘薫がジョーカーとなった。途中出場から貴重なアシストやゴールを奪い、W杯予選突破に貢献した。

多彩な得点パターンを誇り、力強い突破からビッグプレーを生み出す細谷にも、チャンスが巡ってくる可能性はある。短時間でも試合の流れに影響を及ぼすインパクトプレーヤーの資質も、彼は持っている。

そのためには、所属チームで結果を残さなければならない。

最終予選直後に開催されたJ1リーグのジュビロ磐田戦では、2点を追いかける後半途中からピッチに立った。この試合を視察していた森保監督は、「チームの攻撃のギアを上げて、勢いがもたらした」と評価した。しかし、スコアをあげることはできなかった。

翌節の鹿島アントラーズ戦は、スタメンに復帰した。相手守備陣にストレスを与える存在となったものの、この日もノーゴールに終わっている。

31節終了時点での25試合出場で4得点の成績は、率直に言って物足りない。「FWが点を取らないとチ―ムが上にいけない」と話しているように、黒星先行のチームの立て直しには細谷の得点が不可欠だ。

もちろん、日本代表としてピッチに立つためにも。

磐田戦後に細谷のプレーを評価した森保監督は、「細谷だけではないですが、選手にはすべての面でレベルアップしてほしい、と言っています。Jリーグで言えば得点を取る、明らかな数字をもっと上げるところは意識してもらいたい」と語った。

細谷自身も結果へのこだわりを隠さない。

「結果を出してチームを勝たせることが、もう一度はい上がるチャンスだと思っています」

柏から、世界へ。

巻き返しへ、細谷は牙を研ぐ。

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