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other2019.09.13

山崎紘菜│ラグビーは"活力"。ひたむきな選手の姿が私を前進させてくれる

ラグビーワールドカップ2019の開催都市特別サポーターを務める、女優の山崎紘菜さん。大学時代に「全国大学ラグビーフットボール選手権大会」のイメージモデルを務めて以来すっかりラグビーの魅力にとりつかれ、「ラグビーは生活の一部」と言い切るほど。芸能界きってのラグビー好きとしても知られている。そんな彼女自身がラグビーの魅力にとりつかれた経緯や、ラグビーをPRする立場としての意気込みを聞いた。ラグビーワールドカップ2019を目前に控えた今、これからラグビーを見始めるという人に向けた楽しみ方もお伝えする。


■今ではすっかりラグビーの虜に


──山崎さんは19歳のとき、2013年から4年間、全国大学ラグビーフットボール選手権大会のイメージモデルを務めたことをきっかけにラグビーの世界にのめりこんだそうですね。

それまではラグビーの試合を見たことがなくて、まったく未知の世界でした。イメージモデルをやらせていただくことになって、勉強をしようとスタジアムに連れていってもらったのが、私にとっての初めてのラグビー体験です。その日観にいった試合は、2012年の早明戦。明治大学がずっと追いかける試合展開だったのですが、後半ロスタイムに認定トライで逆転勝利をするという劇的な試合でした。それを観たときに、ルールも何もわからないはずなのにすごく胸が熱くなって。「なんだこのスポーツは」って思ったのが、最初にラグビーを好きになったきっかけです。

──その後ラグビーと関わるごとに、「好き」の気持ちがどんどん膨れ上がっていったのでしょうか。

そうですね。そこからお仕事をするうえでルールも学んでいって、深く知るごとに面白さが分かるようになっていきました。同時に「もっと知りたい」と思うことも増えていって。気づけば、自分からラグビーを追うようになっていました。

最初は何もわからなかったので、勉強不足のせいでうまくインタビューや受け答えができないこともあって……見ている方たちから、厳しい意見をいただいたりもしました。すごく落ち込みましたが、あるときファンの方から「山崎さんのポスターを見てラグビーを始めました」っていう声をいただいて。自分のやっていることの意味を見つけられて、頑張らなきゃだめだなって思ったんです。それからは、関係者の方や選手の皆さんに「よく勉強してるね」と言ってもらえることも増えていきました。みなさんに受け入れてもらえるようになった気がして、すごくうれしかったです。でも、ときどきふと「自分は本当にラグビーが好きなのかな」って不安になることがあったんですよね。

──どうして不安だったのでしょう?

ずっとお仕事として関わらせてもらってきたから、自分ではラグビーを大好きなつもりでいても、それは「お仕事として」なのかなって……。自問自答していました。でも、大学選手権のイメージモデルが終わって、何の肩書もなくなったときに、自然とラグビーを観にいっている自分がいたんです。それで「私、本当にラグビーが好きなんだな」って、ほっとしたというか。それからは、自信を持って「私はラグビーが大好きです」って言えるようになりました。ラグビーが私のいろいろな可能性を広げてくれたとも思っています。ラグビーに出会ってから、良いことしかありません。

──最初のきっかけはお仕事でしたが、関わるうちにラグビーが欠かせないものになっていたのですね。山崎さんをそれほどまでに惹き込むラグビーの魅力は、どんなところだと思いますか?

体のぶつかり合いの迫力だったり、いろんな魅力がもちろんあるのですが……私は、選手たちの精神性や、泥くさく頑張る姿がすごく好きで。頑張っている人を見ると、やっぱり胸が震えます。ラグビーって、自分のためのプレーよりも、誰かのためにプレーすることのほうがすごく多いスポーツです。ボールを繋げるために自分はサポートにまわるとか、体を張るとか。そういう献身性も素敵だなと思います。それに、激しいコンタクトがあるからこそ、むき出しの魂と魂がぶつかり合う、とてもピュアなスポーツだな、と。

日々生活していると、どうしても取り繕ってしまうことがあったり、建前や嘘に疲れてしまうこともあると思うんです。でも、ラグビーを観ると心が洗われるというか。何度でもタックルにいく選手たちを見て、何か落ち込むことがあっても「私もどんどん前に行かなきゃだめだ」と思わせてもらえます。何度もチャレンジすることの大切さを教えてもらったし、私自身、何度もラグビーに助けられています。


■一生に一度の祭典を盛り上げる立場として


──その後、2018-2019ジャパンラグビートップリーグ アンバサダーにも就任されました。「ラグビーが大好き」と自信を持てるようになってから再びラグビーのお仕事をできるようになって、いかがでしたか?

大学選手権が終わってイメージモデルとしての務めが終わってしまったとき、すごく寂しかったんです。それからまたラグビーのお仕事をしたいなとずっと思っていて。だから、またラグビーに関われることになって本当にうれしかったです。それまでは大学ラグビーを追うことが多かったのですが、トップリーグの社会人チームも観るようになって。ラグビーの世界をより広く知ることができて、視野が広がりました。

──そして、今年開催されるラグビーワールドカップ2019の開催都市特別サポーターにも就任されました。

今回のワールドカップは、日本で、アジアで、そしてラグビー伝統国以外での初めての開催です。そんな「一生に一度」のできごとをPRできるのはとても光栄です。こんな祭典を盛り上げるお手伝いができるなんて、以前の私には想像できませんでした。それと同時に、責任も感じています。私自身もっとラグビーの知識を増やす必要がありますし、プレッシャーを感じることもありますが、期待されていること以上の活動ができるよう頑張りたいと思います。

ラグビーワールドカップは、世界的にいうと三大スポーツ大会のひとつ。それが日本で開催されるのって、ものすごいことだと思うんです。来年には東京オリンピック・パラリンピックも開催されるけれど、私はそれと同じくらいの盛り上がりを期待しています。今回のワールドカップが、日本でのラグビーのさらなる発展のきっかけになったらいいな……というよりも、絶対に「しなければならない」と思っているので、私も気合を入れています。

──日本代表にはどんな期待をしていますか?

私としては、勝ち負けというよりも全力で楽しんでラグビーをしている姿を見たいな、と思います。選手のみなさんがどれだけの努力をして今回のワールドカップに臨んでいるかは見てきたので、自国で開催される祭典を全身全霊楽しんでほしいです。

──山崎さんは、ラグビーを題材にしたテレビドラマ『ノーサイド・ゲーム』(TBS)にも出演されていますね。

中本理彩という、ラグビーをまったく知らない女性社員を演じさせていただいています。私自身はラグビーのことを知りすぎているくらいなので、最初はどうやって演じようかと戸惑いもありました。一話で、ラグビーを「むさい」っていうセリフがあって……自分はまったくそんなこと思っていないから、「どうしよう、言えないよ」って葛藤したこともあったり(笑)。でも、福澤(克雄)監督は私がラグビーを好きなことはご存知でしたし、そんな私がこの役をいただいたことには、きっと何か意味があるんだろうなって。私にとってラグビーは生活の一部だけれど、そうじゃない人たちはラグビーをどんな視点で見ているのかっていうことを、改めて考えるきっかけになりました。

現場では、大泉洋さんから「どれくらいの喜びを表現したらいいか考えたいから、このプレーがこの試合のなかでどれだけ重要なのか教えて」とか、「最近のラグビー情報は何かありますか」と聞かれることもあって(笑)。そうやって質問していただくなかでも、ラグビーをよく知らない人にはここを説明するとわかりやすいんだ、などいろいろ気づくこともありました。振り切ってすごく楽しく演じられた役柄だったので、「ラグビーが本当は好きだなんてぜんぜんわからなかった」と思っていただけていたらうれしいです。


■ラグビーは気軽に観戦できるスポーツ


──これまでの経験を踏まえて、“これからラグビーを見始める人”に向けてラグビーの楽しみ方を教えていただけますか?

やっぱり、試合を観るのが一番おすすめです。私自身、これまで本や雑誌などの媒体で情報を集めたり、さまざまな方法でラグビーを追ってきましたが、試合を観ることが一番勉強になると思っています。目や耳から自然と情報が入ってくるから、結果的にルールや流れがわかるようになっていくんです。「用語を覚えなきゃ」なんて気負わなくていいので、まずはとにかくテレビでも生でも、試合を観てほしいですね。選手の名前もポジションも、初めはわからなくて本当に大丈夫なんですよ。自分が自然と興味を持てたところから入っていけばいいと思います。ラグビーはすごく奥が深いスポーツだからか、ハードルが高いと思われがちなんですけど、決してそんなことはなくて。まずは気軽に観てもらえたらなと思います。

──ワールドカップ観戦をより楽しむ方法はありますか?

日本代表のカラーは赤なので、スタジアムに遊びに行くときはぜひ赤を身に着けてみてください。ラグビージャージを持っていない人も、コーディネートのアクセントに赤を取り入れたりして、スタジアムを真っ赤に染めてほしいなと思います。より一体感を味わいたい人は、ぜひ日本代表のジャージを着て観戦してくださいね。赤白のストライプで一見コーディネートするのが難しそうと思われるかもしれませんが、意外といろいろな服に合わせられるんですよ。私自身、『Going! Sports&News』(日本テレビ)に出させていただくときは、毎週自分なりの着こなしにチャレンジしています。ぜひ、私のコーディネートも参考にしてみてください(笑)。


■ラグビーのカッコよさを伝えたい


──ワールドカップ開催を経た未来の日本のラグビーに、今から期待していることはありますか?

まずは、ワールドカップを通じてラグビーに興味を持ってくれたみなさんが、トップリーグも観にきてくれるようになればいいなと思っています。Jリーグやプロ野球のように、ラグビーのトップリーグがもっとみんなに浸透していってほしいなと。日本代表は観られる期間が限られていますが、トップリーグは毎シーズン開催されているので、ぜひ注目してもらえたらうれしいです。

それから、もっとラグビーが日本の生活に根付いて、ラグビーをする子どもたちが増えればいいなとも思います。ニュージーランドなど南半球の国が強いのは、やっぱり小さいころからボールに触れているからなんですよね。日本でも、子どもたちが公園でラグビーをして遊ぶ光景が日常になっていけば、ラグビー界のレベルアップにもつながると思います。

──そのためにも、これからさらに日本でラグビーの裾野を広げていくうえでどんなことが必要だと考えていますか?

ラグビーがすごくかっこいいスポーツだということを、もっとアピールしていけたらいいなと思っています。それは選手たちよりも、私たちPRする側の課題です。たとえば私ができることだったら、ラグビージャージっておしゃれで親しみやすいものなんだよ、とアピールしていったり。みんなが憧れるようなかっこいい面を知ってもらえるように、魅力を伝えていきたいです。

──山崎さんご自身が今後ラグビーと関わるなかで、実現したいことはありますか?

まずは、グッズを作りたいです(笑)。私がコラボして、たとえばプライベートでも女性が着られるようなデザインのTシャツを作ったり、会社や学校でも使いやすいかわいい文房具をデザインしたり。

あと、大学選手権のイメージモデルのころは、各大学のジャージを着てポスターの撮影をさせてもらったんです。それを、トップリーグでもやりたいです。アンバサダーとして、トップリーグのチーム全部のジャージを着てポスターを作れたらいいなと思います。

それから、いつかラグマガ(ラグビーマガジン/ベースボール・マガジン社)の表紙をやりたい! ずっと愛読している雑誌なので、女優第一号として表紙を飾るのが夢です。

──最後に、山崎さんにとってラグビーはどんな存在ですか?

とにかくエネルギーをもらえますし、選手の姿から学ぶこともたくさんあります。何か行き詰まったことがあっても、救ってくれたのはラグビーでした。自分がちょっと疲れたときにも、「明日も頑張ろう」ってパワーをくれるスポーツです。ラグビーから得たエネルギーが私のなかの力になって。それで日々のお仕事を頑張れています。私にとって、ラグビーは“活力”です。


プロフィール


山崎紘菜
女優。1994年生まれ。第7回「東宝シンデレラ」オーディション審査員特別賞受賞。大学時代に「全国大学ラグビーフットボール選手権大会」のイメージモデルに4年連続で起用され、現在は「ジャパンラグビートップリーグ」アンバサダー・「ラグビーワールドカップ2019」開催都市特別サポーターを務める。TVドラマ『ノーサイド・ゲーム』(TBS)にも出演中。

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