佐久間健一(ボディメイクトレーナー)が伝えたいダイエットの秘訣~前編~「まずはダイエットの基礎知識を持ってほしい」
ダイエットが続かない人たちの悩みを解消し、「誰もがモデル体型に変わることができる」独自のメソッドを展開する佐久間健一先生。著書の『モデルが秘密にしたがる体幹リセットダイエット』は累計130万部を突破し、国内外で年間4000件以上ものパーソナルトレーニングを担当している。日本が誇るボディメイクトレーナーの佐久間先生に、ダイエットに成功するための秘訣を教えていただいた。
――佐久間先生、スポーツは何から始めましたか?
佐久間:中学から大学途中まで、ずっと陸上競技に夢中でしたね。当時は「陸上で成功する以外の人生はあり得ない」とさえ思っていたので、一部活動というよりも、初めて本気で描いた夢みたいなものでした。
スポーツ以外では、小学校から高校まで続けた書道と中学校で学んだ囲碁によって、洞察力を身につけて感性を高めることができました。この2つは、陸上競技の「雑念を払い一点集中で技術勝負に挑む」ことに一役買ってくれていたと思います。
――トレーナーの道に進んだ理由を教えてください。
佐久間:陸上競技は体重が軽いほど有利なスポーツということもあり、もともと体重、体脂肪、食べ物には人一倍気を使い、栄養学も学校の勉強以上に取り組んでいました。とはいえ、将来は実業団入りするつもりで陸上に夢中だったので、まだその頃は、自分がボディメイクトレーナーになるとは、全く思っていませんでしたね。
そんな僕に訪れた転機は、無理なダイエットと急激なリバウンドにより、陸上を断念せざるを得なくなったことです。以降、人と会うことも食事をとることもできないほどの鬱状態に陥りました。
その後、陸上の夢を諦め、絶望の淵にいた自分を奮い立たせるために、スポーツジムのアルバイトを始めたのですが、そこで出会った先輩トレーナーが、「次はお前がそんな人たちを助ける番だな!」と背中を押してくれたことで、僕のパーソナルトレーナーとしての人生はスタートしました。
――ダイエットに成功する人と失敗する人との違いは、どのような点にあると思いますか?
佐久間:ダイエットに成功する人と失敗が続く人の違いは、ダイエットの基礎知識が身についているかいないかだと思います。基礎知識が身についていないと、現在の情報社会では、流行りや広告の情報に影響を受けて流されてしまいますからね。
例えば、糖質制限が停滞してきたことを理由に、糖質を食べるダイエット方法に切り替えれば、糖代謝が低下しているので当然太ります。また、食事制限が辛くなってきたことを理由に、8時間は好きに食べるというダイエット方法に切り替えれば、食事制限によって代謝自体が下がるのでこれも当然太ります。
このように単体でのダイエット方法や理論が間違っていなくても、それを試す時の状態で効果が変わってしまうので、次から次へと安易に情報に流されてしまうのではなく、まずはダイエットの基礎知識を持ってほしいですね。
――基礎知識を持ってから、どうすればダイエットが続くと思いますか?
佐久間:辛いこと、嫌なことを我慢するダイエットで、楽しさよりも苦痛の気持ちが強くなれば、継続は困難になります。大切なのはストレスのない痩せ方を身につけ、ダイエットをポジティブに進めていくことですね。
嫌な事とやりたくないことを自分で決めて、その上で必要な情報を探し、折り合いがついたところで実際に動いてみる。これが、現代のダイエット成功への近道です。
やりたくないことを極力控えて痩せる方法を自分で探したり、無料相談に頼ってみるのも良いですね。とにかく、情報社会を味方につけることが、今すぐできる確実な近道であると思います。
――やらないでほしいダイエットはありますか?
佐久間:食べたいものを無理して我慢したり、体に負荷や負担を長時間かけすぎたり、自分がストレスを感じるような無理なダイエットはやらないでほしいです。ストレスを感じてしまうと、コルチゾルというストレスホルモンの分泌が急激に増えてしまうので、筋肉が分解されて基礎代謝の低下に繋がってしまいますからね。
――年齢を重ねると、ダイエットするのは難しくなるものですか?
佐久間:年齢を重ねるごとに、
・体力の低下
・基礎代謝の低下
・新陳代謝の低下
・ダイエットの繰り返しによる省エネ化
・女性ホルモン分泌の変化による老化
等々、不利な状況を感じることも多くなると思います。ですが、40代でも50代でも、心身の特徴をつかむことができればカラダを変えることができます。
今回は、短時間で全身のより多くの筋肉を一斉に使えて、美容ホルモンを最大にする基礎代謝を増やすエクササイズを紹介するので、無理のない範囲で是非試してみてください。
■基礎代謝を増やすエクササイズその1
※どれも10回が目安です。
(1)
両脚を腰幅に開きます。
両手に重りを持ち、胸を張ります。
(2)
かかとに重心をかけながら7秒かけてしゃがみます。
1秒キープ。
素早く立ち上がりましょう。
■基礎代謝を増やすエクササイズその2
※どれも10回が目安です。
(1)
両脚を腰幅に開き、少し膝を曲げます。
両手に重りを持ち、胸を張ります。
(2)
足の付け根から折りたたむように、7秒かけて上体を前屈させていきます。
1秒キープ。 素早く始めの姿勢に戻しましょう。
■基礎代謝を増やすエクササイズその3
※どれも10回が目安です。
(1)
膝付きの腕立て伏せの姿勢で、両膝をクロスして膝を開きます。
手を肩幅よりも広く開きます。
(2)
両肘を7秒かけて曲げていきます。1秒キープ。素早く始めの姿勢に戻しましょう。
腕立て伏せは個々に体力差があるので、出来る範囲で行いましょう。
――食事と水分は、どのタイミングで摂るのが良いと思いますか?
佐久間:近年のライフスタイルは、統計が取れないほどに細分化されていて、まさに十人十色の生活様式があると思います。なので、朝6~8時に起きることを前提に算出されたホルモン分泌、生体ホルモン、自律神経等の基準を一旦度外視した上で、ポイントだけ説明します。
(1)起きた時間が何時でも、それを朝とみなし、寝起き30分以内に食事を摂る。
→血糖値の安定が作られるため、暴食の予防になります。
(2)寝る前の4時間までに食事を済ませる。
→よく言われる「21時以降に食べると太りやすい」等の情報も、朝6〜8時に起きることを前提に算出されているので、ご自身のライフスタイルに置き換えて取り入れてください。
(3)食事は小分けで1日5食程度にする。
→基礎代謝は1日の消費カロリーの70%を占め、その約半分が消化吸収によって消費されています。つまり、食事回数が多いほど痩せやすくなるので、1日の食事量はそのままに、食事回数を小分けにして1日5食程度になるようにしましょう。
忙しくてそれはなかなか、、と言う方は、上手な間食で食事回数を稼ぐのも手です。片手でさっと食べられるチーズや卵、ドリンクヨーグルト、ナッツ、ビーフジャーキー等、血糖値を揺らさないたんぱく質や脂質をメインに摂るようにしてください。消費カロリーの増加だけでなく、血糖値がより安定して夜以降の食欲を抑える効果も期待できます。
後編
につづく。