佐久間健一(ボディメイクトレーナー)が伝えたいダイエットの秘訣~後編~「ダイエットは、なりたい自分を叶えるための手段」
ダイエットが続かない人たちの悩みを解消し、「誰もがモデル体型に変わることができる」独自のメソッドを展開する佐久間健一先生。著書の『モデルが秘密にしたがる体幹リセットダイエット』は累計130万部を突破し、年間4000件以上ものパーソナルトレーニングを担当している。
前編
では、ダイエットで成功するための具体的な方法について分かりやすく教えていただいた。佐久間先生は、一般的に知られる様々なダイエットの効果について、どのように考えているのだろうか?
――エクササイズ前にコーヒーなどのカフェインを摂ることは、ダイエットに効果的でしょうか?
佐久間:コーヒーには交感神経を刺激し、脂肪の分解を促す作用がありますが、体内の保水の観点では諸説あります。
人間の体の水分量は全体の約60%程で、その中で最も水分量を多く蓄えるのが筋肉となります。体から水分が抜けると体重は落ちますが、その後は代謝が非常に低下した状態に陥り、結果的に更なる体重増加を招く原因にもなります。そのため、カフェイン入りの飲料を摂取した際には、同量の水を飲むこと推奨しています。
――炭水化物を摂らないダイエットに効果がありますか?
佐久間:単純に、ダイエットを続けるには、嫌なことをしないで痩せる方法を探っていくことが一番となります。炭水化物が好きな方には、「炭水化物を食べながら、痩せる!」ことを最初に目標として掲げてもらいたいですね。どのようなダイエットをするにせよ、好きなものを我慢し続ける方法では、心が疲れてしまうので続きません。
――一時的な(ファスティング)断食をすることについて、どのように考えますか?
佐久間:一時的な断食を行えば、短期間である程度のダイエット効果を実感できると思います。しかし、それは、水分量と筋肉の分解によって起こる体重の減少である場合が大半です。断食後にどうするべきかを分かっていないと、すぐにリバウンドするので痩せづらい体質となり、延々とストレスにさらされてしまいます。当たり前のことですが、ダイエットのためには、食事の摂取量を減らして筋肉量を増やしていくことが大切になりますね。
――ウォーキング、ランニング、水泳などの有酸素運動は、ダイエットに効果がありますか?
佐久間:ランニング等の有酸素運動は、体脂肪をエネルギーとして燃焼するので間違いない方法ですが、ダイエットの観点からは下記にある2点の注意が必要です。
(1)運動時間
→運動時間が長引くほど、ストレスホルモンのコルチゾルが多く分泌(20分を超えると急上昇)されて、筋肉の分解が早まります。分解された筋肉が糖質に代わると、血糖値が上昇して「インスリン」が分泌されて、結果的に筋肉量が減って脂肪量が増えるので、長すぎる運動時間には注意してください。
(2)運動(筋トレ)の強度
→運動(筋トレ)の重さと時間が増えると、ホルモンバランスを崩す原因となります。具体的には、筋トレによって筋肉を作る男性ホルモンが増加するため、仮に全身満遍なく鍛えたとしても、下半身ばかりが発達してしまうんですよね。さらに、これに長時間の有酸素運動が組み合わさった場合には、上半身の筋肉が真っ先に分解されて筋肉量は減り、下半身がたくましくなってしまいます。
過度のストレスホルモンや男性ホルモンの分泌は、貧血、無月経、寝つき寝起きが悪い等、女性特有の周期にもズレを及す原因となってしまうので、その点でも注意してほしいですね。
――サウナで体重を落とすことは、効果的なダイエットになりますか?
佐久間:「動く→筋肉が伸縮する→熱を作る→体温を下げるため汗をかく」
エネルギー消費は、体温の上昇と筋肉の伸縮によって熱が生産される際に、筋肉量に比例して行われています。そのため、サウナや岩盤浴のような外部からの熱によって汗をかくことは、体内の水分消費にはなりますが、脂肪の燃焼には直結していないと言えます。
――ながらダイエット。例えば、仕事、掃除、洗濯、調理、テレビ視聴をしながら行うダイエットに、効果はありますか?
佐久間:ありきたりな意見になってしまいますが、「家事をしながらダイエットもできるなんて一石二鳥!」と思える方にはオススメですし、「家事だけでも大変なのに、さらにダイエットなんて、、」と、どちらも中途半端になってしまうのであればオススメできません。なので、まずはテレビをダラーンと横になって見るのを止めて、きちんと座って見るようにするなど、些細な点から気をつけてみるだけでも良いと思います。
――ケア、休息、睡眠時間の重要性についても教えてください。
佐久間:筋トレで分解された筋肉は休息時に合成されるので、筋肉量の増加に繋がります。しかし、筋肉は同じ動きが2週間も続くと省エネ化(遅筋化)してしまい、休んでいても筋肉量が減少してしまう可能性もあるんですよね。このような時には、速筋をメインに使う筋トレを取り入れたり、48時間前後の休息を取ったりして、遅筋(省エネ筋)を速筋(カロリー大食い筋)の性質に戻すようにしましょう。
また、毎日の睡眠では、寝ている間の血流をいかに増やすことができるかが重要です。睡眠中は筋肉の活動が減って血流が最小限になります。しかし、血流を増やすことができれば、
・基礎代謝アップによる効率良いダイエット、疲労やカラダの凝りの回復
・冷えや低血圧の解消
・肌や体水分の新陳代謝
等々、美容にもダイエットにもプラスに働くようになります。なので、血流を増やして、この睡眠時間を効果的に使ってほしいですね。
――普段、歩く時や椅子に座る時に、注意した方が良いことはありますか?
佐久間:何時間もPCに向かうデスクワークの人など、同じ姿勢をとり続けますよね。それによって、悪い姿勢がクセになっている方が多いので注意してください。
・上半身は前のめり
・下半身は猫背、巻き肩+骨盤後傾姿勢
上記のような姿勢を長時間続けているとクセになってしまい、姿勢を維持する為の筋肉が減って基礎代謝量が下がるケースが多く見られます。また、あまり体を動かさないと、血行不良、むくみ、同じ姿勢の疲れ等でストレスが溜まりやすくなります。
ストレスが生じてしまうと、解消するために「食べる→動かないで太る→再びストレスを感じる」という負のスパイラルに陥ってしまうので、注意してほしいですね。
――ダイエットのために、メンタルやモチベーションも重要になると思います。
佐久間:メンタルを整えてモチベーションを維持することは、痩せる方法と同様にとても大切なことです。これから漠然とダイエットしたいと思っている方には、具体的な目標を明確にすることから始めてほしいですね。
ダイエットで痩せることは、目標ではなく、あくまでも「なりたい自分を叶えるための手段」となります。具体的な目標のない中で何となくダイエットに成功したとしても、気になる部位が太いままで痩せた体型を維持できなければ、継続することが難しくなります。そうならないためにも、目標を具体化してみましょう。
目標:写真を見ると、自分の顔がパンパンなので痩せたい!
具体化された目標:首―鎖骨周りの柔軟性をアップして、リンパを整えてから血流を善くする!
目標:パンツを履くと、お腹がきついから痩せたい!
具体化された目標:肋骨の位置を高くしてからお腹の筋肉の伸びを良くして、くびれ癖をつきやすくする!
ただ「痩せたい!」ではなく、このくらい目標を具体化してから始めてみましょう。
――現在の活動を通じて、どのような時に喜びを感じますか?
佐久間:体型に悩む人を救うことができた瞬間に、計り知れない喜びを感じますね。大げさに思われるかもしれませんが、これを叶えるために僕は生きていると言っても過言でないほどです。
「どうしたらいいのか分からない。誰かに助けてほしい」と、僕はずっとそんな思いでダイエットに取り組んできました。だからこそ、今度は自分と同じ悩みを抱えている人を救うことに人生を捧げたいと思っています。
――今後の展望について教えてください。
佐久間:ボディメイクトレーナーとして、これまで約11年間は活動拠点を日本にしてきましたが、今後はヨーロッパ(EU圏)とアメリカを中心にしていく予定です。
「世界中の体型の悩みを無くす!」
今までもこれからも変わらないこの目標に向けて、ひたすら邁進していきます。
世界中のどこにいても僕の名前を聞いた人が「KENICHI SAKUMA?あぁ、あのボディメイクの!」と、知ってくれる日が来るまで、世界中でボディメイクを広める活動を続けていきたいと思っています。