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other2022.09.29

プレイできる場所に感謝しその場所をきれいにすること。ゴミ拾い×バスケットボール『PICK UP PLAYGROUND』をAlpen TOKYOにて開催。

プレイできる場所に感謝しその場所をきれいにすること。ゴミ拾い×バスケットボール『PICK UP PLAYGROUND』をAlpen TOKYOにて開催。

2022年9月上旬、少しずつ夏の太陽の光が日増しに黄色く弱っていき、スポーツをするのに快適なシーズンが到来した。そんな幕開けを告げるべく、Alpen TOKYOにてイベントが開催された。

イベント名は、「PICK UP PLAYGROUND」。

内容は、公園にバスケットボールコートがあり続ける、また日本中に増えていくという未来のために、行われるイベントだ。

ストリートでは公園に集まった多様なプレイヤー達が即席のチームを組んで行うゲームのことをピックアップゲームと呼びますが、コートの周りのゴミ拾う行為も含めて「PICK UP PLAYGROUND」と名づけた。

イベントに集まったプレイヤーは、老若男女問わず全員でピックアップゲームを行い、終わったあとは参加者全員でゴミを拾う。

そのイベントを通じて、 顔見知りが増え、日常的な利用の中でも会話が生まれ、ひいてはコミュニティが育まれていく。コミュニティによってコートには自治が生まれ、そのコートの利用のルールが利用者のモラルによってつくられていく。

そんな未来を描いている。


今回は、そんな「PICK UP PLAYGROUND」に参加するメンバーがAlpen TOKYOに集まった。集まったメンバーは、色分けされたビブスでグループに分かれて、Alpen TOKYO周辺のゴミ拾いを開始した。

プレイできる場所に感謝しその場所をきれいにすること。自分だけでなく他の人のことをおもんばかって共存していくこと。そんな志を持ったメンバーがゴミ拾いを一生懸命に行った。


「PICK UP PLAYGROUND」では、プロジェクトロゴがプリントされた軍手・トング・ゴミ袋を製作し、イベントのゴミ拾いで使用している。


1時間みっちりとゴミ拾いを行った参加者からは、「普段からスポーツをしている人はゴミ拾いなどの意識が高いので特別なことじゃなく取り組めた」という前向きな意見が多く寄せられた。


ゴミ拾いを終えた後は、HOOP CITYに移動して、お待ちかねのピックアップゲームが行われた。


多様なプレイヤーたちが即席のチームを組んでバスケットをするのだが、ゴミ拾いを一緒に行ったことで心の距離も近づき、抜群のコンビネーションを見せる。

そして、どのチームも笑顔でバスケットを楽しんでいる様子が印象的だ。


参加者からも「ファウルをしてまで、止めるディフェンスもなく、気持ちよくプレイできる」「年齢、性別、身体能力にかかわらず、バスケがしたいなと思った時に気軽にプレイできる場所があって嬉しい」など初めて「PICK UP PLAYGROUND」に参加したメンバーもポジティブな言葉を口にしていた。日頃からバスケットを楽しんでいるメンバーが多くレベルの高いピックアップゲームが終始行われた。


イベント終了後には、参加者メンバーで記念撮影を行った。『PICK UP PLAYGROUND』では、イベントを通して生まれたコミュニティによって、「自分たちのコートは自分たちで守るという」自治が生まれ、利用するルールが利用者のモラルによってつくられていく未来を目指したイベントだ。そんな想いが継承されていくような空気がHOOP CITYには確かに流れていた。


「PICK UP PLAYGROUND」の終了後には、イベントの主催者であり、日本のストリートバスケットボール界を引率してきたメンバーによるインタビュー取材が行われた。


写真左から=千日商店(株) 新田寛之氏(代表&PUP理事)、(株)ブーマー 秋葉直之氏(執行役員&PUP代表理事)、タチカラホールディングス(株) 髙橋 渉氏(代表&PUP理事)。


――PICK UP PLAYGROUNDというイベントについて、そのなりたちやイベントが目指していることなどをお聞かせください。

秋葉:起点になっているのは2005年にNIKEジャパンが代々木公園にバスケットボールコートを寄贈した流れで、その年の7月に初めてALLDAYという大会ができたんです。そこが現在まで日本の“ストリートボール”と呼ばれるシーンの起源になっているんです。

僕はその際に2005年にNIKEにいてコートのドネーション担当をしていました。当時、目指したのが、ニューヨークにストリートコートの聖地と呼ばれるラッカーパークというコートがあるんですけど、代々木のコートはその日本版にしたいなと。その際に、ただコートがあるだけじゃコミュニティや文化は作られていかないと思ったんです。公園みたいなパブリックな場所で行われるスポーツは、他の公園利用者との調和や地域社会との共存がないとうまくいかないよなと。

そこで大会を作って、そのコートで練習をしたり、自分たちが出る大会があるから、そこに帰属意識が生まれ自治されていく。そんなスキームを作っていけると良いんじゃないかという想いで生まれたのがALLDAYでした。

高橋:そこから日本のストリートボールと言われるものも徐々に発展していって、2020年にいろんなメーカーやリーグ、3×3みたいな、3人制のバスケなどが盛り上がりましたよね。

新田:現在、日本バスケのポジションは過去にない盛り上がりを見せていると思っていて。事実、屋外や公園にバスケコートを作ろうという動きも、今までより加速してるなと実感していました。

秋葉:でも、そんなタイミングで2020年にコロナになったじゃないですか。その影響で体育館が閉まったので、駒沢公園や代々木公園に、利用者がわっと増えたんです。

利用者が増えること自体は良いことなんだけど、一方でコートの周りにゴミがめちゃくちゃ増えるという問題が発生しました。

最近はバスケットボールの世の中におけるポジションが上がっているので、ストリートコートが増えて行くことで公園で行われるスポーツの主役にバスケが躍り出る可能性はあるけど、同時にゴミとか騒音、利用ルールなどの社会課題が生まれる構造だと、それも一緒に増えて行ってしまう。それはまずいなと思ったんです。

そこで解決策を考えた時に、ガチガチのルールで縛るのではなくて、利用者による自治が生まれるというのが公園という環境を考えるとベストだなと。でも自治が生まれるのにまず必要なのは帰属意識なんです。


新宿の街でもゴミを捨てる人がいるのは帰属意識がないから。心からゴミを捨てたいんだ!って思っている人はいないですよね。例えば、実家や地元に帰ったときに家の前でタバコを捨てたりはしないワケで。

つまり、自分の中で帰属意識がある場所にはゴミは捨てられないんです。そう思うと、今一度自分たちのプレイグラウンドに自分たちが帰属するという意識を作れたら良いなと。

そういう活動を通じて、公園のバスケの社会的な認知や信頼が増えて行けば、公園のコートはもっと増えて行きやすくなるワケで、その結果として、学校や部活では教えてくれないバスケを公園が育む可能性があるよなと。公園のバスケが発展していくことが、日本のバスケをさらに前に進める力になるんじゃないかなと考えたんです。


この活動のひとつの象徴的な存在としてあのキャラクターがいます。「こういう考えで、こういう活動を行って、こういう未来を作りたいから、キャラクターを使わせてほしい」とスラムダンクの井上先生に相談をしたところ賛同してくれて、キャラクターを描き下ろしてくれたんです。日本のバスケが前に進んでいく、公園のバスケが広がっていくみたいなことの、ひとつのアイコンとして描いてくれたんです。

また、みんなでゴミ拾いをやろうというのはもちろん良いのだけど、その活動を一過性ではなく持続可能なモデルにしないと意味がないなという課題がありました。そこで、このシーンから生まれたブランドに相談して、キャラクターやロゴが入ったプロダクトを作ってもらい、その売上の一部をロイヤリティとして受け取る。それを資金にしてゴミ拾いグッズを作り、全国のプレイグラウンドにも広げて行くというモデルを考えました。僕がやっているALLDAYと、ストリートボールリーグとして全国に広がっているSOMECITY、シーンから生まれたアパレルブランドのAKTRとballaholic、ボールブランドのTACHIKARA。元々は2005年にこのシーンやカルチャーを一緒に作り始めたメンバーがもう一度集合して、2021年から始まるこれからの未来のための活動をみんなでやろうというのが、プロジェクト誕生の背景にあります。

新田:代々木公園や駒沢公園などでロールモデルを示しながら、それぞれの地域のコートはローカルコミュニティが自治を行い、それぞれの地域にあった独自の文化が生まれていく。そうやって全国の公園バスケが盛り上がってほしいと考えています。

秋葉:各エリアで「PICK UP PLAYGROUND」を開催したいというオーガナイザーを募集し、オフィシャル開催できる公認やノウハウ、イベントで使用するゴミ拾いキットを無償でドネーションしています。例えば公園に提出する企画書のフォーマットを僕らで作って、公園名だけ変えれば誰でもイベントの申請ができるとか、そういうノウハウを提供しています。


――今日は、Alpen TOKYOとの合同イベントでしたが、長くバスケットボール界を見てきた視点からAlpen TOKYOのバスケット売り場の印象をお聞かせください。

高橋:すごいですよね。バスケがポジションを上げてるなって感じるのは、Alpenさんの旗艦店ができたときに、1階の一等地にバスケがあるっていう。

新田:たとえば、僕らが子供のころだったら野球だったかもしれないし、平成だったらサッカーかもしれない。だけど、令和ではランニングとバスケなわけですよね。今までだと、日本のスポーツ=部活だったけど、今はもうライフスタイルにおけるスポーツのポジションへと向上してる。

秋葉:バスケがそういうマーケットに見えているというのが率直に嬉しいですね。関わっているブランドも、NIKEやアディダスといったメジャーブランドがありつつ、AKTRやTACHIKARAのようなドメスティックなブランドから、NBAまである。旗艦店としての品揃えや規模が素晴らしいですね。

他にも富樫君のイベントを開催するなど商品を売るだけじゃなくて、コミュニティや体験を作っていくことを重要にしてるんだろうなと感じます。


今日はアルタの屋上のHOOP CITYとAlpen TOKYOが近いので、そこでPICK UP PLAYGROUNDをやりましたけど、この活動は継続していけるんじゃないかなと思います。Alpen TOKYOで出会った子たちでALLDAYに出てくるとか、そういう次の展開につながると良いなって思いました。


――最後になりますが、このイベント(PICK UP PLAYGROUND)で育まれたコミュニティで今後どんなことにトライしていきたいと考えていますか?

秋葉:昨年11月に始まったこのプロジェクトは東京・代々木公園や駒沢公園からスタートし、3月にリリースされたエリアオーガナイザー募集には全国各地から50カ所を超える応募が殺到しました。バスケットボールとゴミ拾いを通じて、「自分たちのコートは自分たちで守る」という自治の文化が全国各地に広がりつつあります。

今までのバスケットボールは、学生時代に部活など頑張っても、高校や大学が終わったら辞めちゃうという感じで、競技の終焉がスポーツの終焉になっていたと思うんです。

だけど、公園のバスケがあることで、バスケがライフスタイルスポーツみたいな役割になって、それぞれの人生を豊かにしてくれる。そういう発展的な取り組みを作るのが僕らの役割だと思っています。

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