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other2023.12.28

【2023年日本バスケットボール界を総括】男子はパリ五輪出場権を獲得!! 女子は来年の決戦へ強化進む

2023年のバスケットボール界を、いや、日本のスポーツ界を、男子日本代表が大いに盛り上げた。

8月25日から9月10日にかけて日本、フィリピン、インドネシアで共催されたFIBAバスケットボールW杯で、新たな歴史を築いたのだ。

今大会は24年のパリ五輪の予選を兼ねており、各大陸の最上位チームが出場権を得る。1976年以来48年ぶりとなる自力での出場権獲得へ向けて、トム・ホーバスHC(ヘッドコーチ)のもとに12人のロースターが集った。

そのなかには、NBAのフェニックス・サンズに在籍する渡邊雄太の名前があった。さらには22年のFIBAアジアカップで代表デビューした富永啓生(NCAAネブラスカ大学)も合流した。一方、八村塁はNBAにおける次シーズンの契約、コンディションなどを総合的に勘案し、代表入りを辞退した。

W杯ではドイツ(FIBAランキング11位)、オーストラリア(同3位)、フィンランド(同24位)と同じグループEで争う。日本は同36位だから、いずれも格上ということになる。

初戦の相手はドイツだった。ホームの大歓声を受ける日本だが、前半を31対53で終える。予選グループでは得失点差も順位に影響してくる。少しでも点差を縮めたい日本は、後半を32対28で終える。トータルでは63対81で敗れたものの、次戦へつながる内容だった。

ドイツ戦から2日後の27日、日本はフィンランドと相まみえる。第1クォーターは22対15で終えるが、第2クォーターはフィンランドの反撃にあう。前半は36対46の10点差で折り返した。

第3クォーター終盤には、53対71と18点差をつけられる。それでも、富永の3ポイントなどで10点差まで戻して第3クォーターを終える。

勝負のラスト10分に追い上げをはかる日本は、残り4分35秒で河村勇輝がレイアップシュートを決めて78対78の同点とする。このプレーで得たフリースローも沈めて逆転すると、そのままリードを守り切って98対88で終了のブザーを聞く。


まれに見る大逆転勝利で、06年大会以来となるW杯での勝利を飾った。試合後のホーバスHCは、「僕らにとって大きな勝利。本当に嬉しい。日本の新しいスタンダードを作ろうとしていて、これは間違いなくそこに向かう大きな一歩となった」と評価した。富樫勇樹キャプテンも、「ヨーロッパのチームに国際大会で勝つのは簡単ではないですし、男子日本バスケにとってすごく大きな一歩」と話した。

続く第3戦は、オーストラリアが相手だった。22年7月のアジアカップでは85対99と善戦したが、この日は前半を35対57で折り返す。

NBA選手を9人も揃えるオーストラリア相手に、日本は必死に食い下がる。第3クォーターは35対30と上回った。最終スコアは89対109となったものの、ホーキンソンが両チーム最多の33得点を、渡邊も24得点を記録するなど、各選手は持ち味を発揮した。主将の富樫も14得点7アシストをマークしている。

グループリーグを1勝2敗の3位で終えた日本は、順位決定戦へ回ることとなった。まずは8月31日、ランキング17位のベネズエラと激突した。

前半を36対41で終えると、第3クォーターでは一時1点差まで迫る。しかし、馬場が負傷するアクシデントにも見舞われ、9点差で第4クォーターへ突入する。ここでも15点差まで拡げられてしまうが、比江島慎が躍動する。チーム最年長の33歳が3ポイントを叩き込むなどして、第4クォーターだけで33得点を記録。86対77のエキサイティングな逆転劇で大会2勝目をあげ、パリ五輪へ大きく前進した。

最終戦でもカーボベルデを80対71で破り、日本は通算成績を3勝2敗としてアジア勢最上位(大会19位)を確定する。パリ五輪出場権を獲得したのだ。

ホーバスHCは「今大会でスタンダードを作ることができた」と評価する一方、「これではまだ足りない。もっとレベルアップしなければ」と、すぐに来夏のパリ五輪を見据えた。昨年12月のサッカー杯における日本代表、今年3月のWBCにおける侍ジャパンに続いて、バスケットボール男子も世界の舞台で成果をあげたのだった。


バスケットボール女子日本代表は、23年にふたつの国際大会に挑んだ。

まずは6月26日から7月2日にかけて、オーストラリア・シドニーを舞台としたFIBA女子アジアカップ2023に出場した。

13年から大会5連覇中の日本は、グループリーグでオーストラリア、フィリピン、チャイニーズタイペイを退け、首位で決勝トーナメントへ進出する。準決勝ではニュージーランドを88対52の大差で退け、中国との決勝戦に挑んだ。

前半を9点リードで終えた日本だが、第3クォーター終了時点で3点差に詰められ、最終の第4クォーターで逆転されてしまう。キャプテンの林咲希の得点で一度は同点に持ち込んだが、勝ち越し点をあげられない。最終的には71対73の僅差で敗れてしまった。

大会6連覇こそ逃したものの、恩塚亨ヘッドコーチは選手のパフォーマンスをこう評価した。

「全員でワンプレー、ワンプレーを戦い抜き、良いエネルギーで戦う姿勢は、最後までブレずにできました。選手たちの勝利への気持ちや日本代表して戦うプライドは素晴らしかったです」

この大会で上位4か国に入ったため、日本は24年2月開催のパリ五輪世界最終予選の出場権は獲得した。なお、山本麻衣が大会のオールスター・ファイブを受賞している。

9月下旬開幕の杭州アジア競技大会では、98年以来25年ぶりの金メダルを目ざした。アジアカップの出場メンバーから、馬爪ステファニーと山本麻衣を欠きながら、“打倒中国”を合言葉に臨んだ。

グループリーグではフィリピン、香港、カザフスタンを圧倒して3連勝を飾る。グループリーグ全体でも1位の成績で、決勝トーナメントへ勝ち上がった。

準々決勝でもインドネシアを89対47で退けると、準決勝では韓国を81対58で下す。決勝戦は再び中国と相まみえた。

ホームの大声援を受ける相手に対して、完全アウェイの雰囲気に包まれた日本は、先のアジアカップと同じように中国の高さに苦しめられる。それでも、前半を40対45の僅差で終えた。

第3クォーターも競り合いは続き、高田真希、宮崎早織の連続得点で6点差とする。第4クォーターも一進一退の攻防が続き、残り14秒で林が起死回生の3ポイントを決めて同点に追いつく。ところが、その直後に中国に得点を許し、72対74で終了のブザーが鳴り響く。土壇場の逆転劇とはならかった。

世界ランキング2位の中国はアジアカップ以上のメンバーを揃えてきた。一方の日本は、前述した馬爪と山本が登録外だったのに加え、中国戦では全試合に先発してきた星杏璃をコンディション不良で欠いた。そうしたなかで、中国とクロスゲームを演じたのである。パリ五輪の出場権獲得へ向けた強化は、順調に進んでいると言っていいのだろう。

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