登山でコンパスを使う重要性とは? 上手く活用して安全に登山しよう
登山シーンで注意したいのが道迷いです。遭難につながる道迷いを防ぐためにも、登山用のコンパスを用意する必要があります。
しかし、コンパスがなくても、スマートフォンなどのGPS機能を活用すれば現在地は確認可能です。コンパスを持って行く必要性や使い方、選び方がわからないという方は多いかもしれません。
ここでは、登山でコンパスを使う重要性や使い方、選び方のポイントなどをご紹介します。
【目次】
■登山シーンでコンパスを使うメリット
日頃から登山を楽しんでいても、コンパス(方位磁針)を使ったことがないという方は多いかもしれません。特に、登山を始めたばかりの初心者の方は、なくても問題ないと感じているのではないでしょうか。
コンパス単体では、基本的に方角を知ることしかできません。登山道が整備されていたり道標が多かったりしてルートがわかりやすい山なら、コンパスを使う機会はほぼないはずです。
しかし、登山道があまり整備されておらず、地図に載っていない道がある山の場合は、道迷いのリスクが高まります。
道迷いや万が一の遭難を防ぐためには、コンパスを使って方角を確認しながら地図を読むことが重要です。コンパスと地図を上手に活用すれば、地図上の道や尾根、自分が実際に見ている風景などをもとに、現在地を知ったり進むべき方向を判断したりできるようになります。
■コンパスはスマートフォンのGPSで代用できる?
スマートフォンやアウトドア用の登山時計には、コンパス機能やGPS機能、地図アプリなどが搭載されています。簡単な操作で地形や現在地をすぐ把握できるなど、非常に便利な機能です。
ただし、スマホの画面は紙の地図に比べると小さく、一度に確認できる範囲は限られます。故障や電池切れなど、不足の事態でスマートフォンが使えない場合もあるでしょう。
地図アプリやGPS機能を使い過ぎて電池が切れてしまった結果、緊急時の連絡手段が失われる恐れもあります。
一方で、一般的なコンパスと紙の地図なら電池切れの心配はなく、より広範囲の位置関係を確認可能です。
このように、コンパスとスマートフォンなどのGPS機能はメリット・デメリットが異なります。どちらかひとつあれば良いと考えるのではなく、両方を活用するのがおすすめです。
■登山でコンパスを使う場所の例
登山用のコンパスは遭難してから道を探すためではなく、道迷いを防ぐ用途で使うのが基本です。コンパスを使う場所の例をいくつかご紹介するので、登山中の参考にしてみてください。
【道の分岐点】
道が左右に分かれている場所は、道迷いを起こしやすいです。地図に記載されていない道だった、方角を間違えてしまったなど、さまざまな理由で正しいルートから外れてしまう恐れがあります。
地図とコンパスを活用して、目の前にある道のどちらが正しいルートに向かっているか確認すれば、道迷いを防ぐことが可能です。
【尾根が分かれる地点】
尾根が分かれる地点も注意が必要です。他の登山者が間違って入った、作業道として使われているなどの理由から、目指している方向とは別の尾根沿いに足跡が残っていることも考えられます。気付かずにそのまま進んでしまうと、自分がどこにいるのかわからなくなってしまうはずです。
道が分岐している、道の向きが変わったといったシーンでは、地図とコンパスを使って正しいルートを確認する癖をつけると、道迷いや遭難の可能性を大きく減らせるでしょう。
また、コンパスを見るだけではなく、周りの景色を見渡して今どこにいるのかを把握することも大切です。
■登山用コンパスの選び方
登山用のコンパスといっても、形状やコンパス内部の構造の違いなどから、いくつかの種類に分けることができます。登山の際は、どのようなコンパスを用意すれば良いのでしょうか。
登山用コンパスの種類や選び方のポイントをご紹介します。
・コンパスのタイプ
登山用のコンパスは、大きく4種類に分けられます。それぞれ使い勝手が異なるので、使いやすさを踏まえて選ぶことが大切です。
【マップ用コンパス】
透明な目盛り付きのプレートが搭載してあるコンパスで、ベースプレートコンパスとも呼ばれます。地図上に置いてルートを確認する、目盛りで現在地と目的地の距離を測るなど、幅広い用途で使えるのが特徴です。
【レンザティック式】
軍用品として使われるため、軍用コンパスとも呼ばれます。フタとレンズ、目標物を合わせることで、正確な方向を調べることが可能です。
ただし、重たく使い方が難しいなど、初心者の方にはあまり適していません。
【デジタルコンパス】
内蔵の磁気センサーで位置情報や方位を測定するタイプのコンパスです。気温や湿度といった情報を確認できる場合もあります。
電池で駆動するタイプなので、スマートフォンと同様に電池が切れると使えません。登山の前に、電池切れを起こしていないか必ず確認しておく必要があります。
【簡易コンパス】
方角がわかるだけのシンプルなタイプのコンパスです。コンパクトなものが多く持ち運びに便利ですが、目的地までの距離を測るといったことはできません。
ベースプレートコンパスなどの予備として用意することをおすすめします。
・ハウジングで選ぶ
ハウジングとは、コンパス内部のことを指します。コンパスのハウジングは、内部に液体が入っている「オイル式」と、空気が入っている「ドライ式」の2種類に分けられ、それぞれ特徴が異なります。
【オイル式】
コンパス内をオイルなどで満たしていて、針のブレが抑えられるのが特徴です。安定して方角を示す一方で、気温が低い寒冷地などでは動きが悪くなったり使えなくなったりする可能性があります。
【ドライ式】
中に空気しか入っておらず、ピンなどで針を固定しているタイプがドライ式です。気温に関わらず使用でき、価格も安価な傾向にあります。
ただし、オイル式に比べると針がブレやすい点がデメリットです。
精度を求める場合はオイル式を、季節を問わず1つのコンパスを使用したい場合はドライ式を選ぶと良いでしょう。
・機能性もポイント
機能性や使い勝手の良さを確認しておくことも大切です。登山シーンでは、悪天候や暗い道などコンパスが見えにくい場合も考えられます。文字が大きく見やすかったり、暗闇で針や文字盤が光ったりして、視認性に優れているものなら安心です。
雨の中でも使えるように、防水性を備えているものも良いでしょう。
また、ストラップなどが付いているタイプも便利です。ザックのショルダーやパンツのベルトループなどにくくっておけば、使いたい時にすぐ取り出して方角を調べられます。
ただし、枝などに引っかけてしまう可能性があるので、首からぶら下げるのは避けることをおすすめします。
■登山シーンでは登山用コンパスを活用しよう
登山中の道迷いを防ぐには、自分が正しいルートを進んでいるのかこまめに確認することが大切です。地図とコンパスを用意しておけば、道迷いを防いで安全に登山を楽しめるようになります。
スマートフォンのGPS機能なども便利ですが、電池切れの心配がある、一度に広い範囲を確認しにくいなど、デメリットも多くあります。コンパスとスマートフォンをそれぞれ上手に使い分けることが重要です。
コンパスを山に持って行ったことがない、持っているが使ったことがないという方は、積極的に活用してみてはいかがでしょうか。
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