登山でナイフは役に立つ? ナイフを用意するメリットやナイフの種類をご紹介
登山を始めとしたアウトドアシーンにおいて、用意しておくと便利なアイテムのひとつがアウトドアナイフです。絶対に必要なアイテムというわけではないものの、用意しておくとさまざまなシーンで活用できます。
しかし、登山にナイフを持って行く必要性や、どんなナイフが登山シーンに適しているのかわからないという方は多いかもしれません。ここでは、登山用にアウトドアナイフを用意するメリットや、ナイフの種類ごとの特徴、ナイフを持ち歩く際に注意したい点などをご紹介します。
【目次】
■登山でナイフは必要?
登山において、アウトドアナイフは必ず用意しなければいけないアイテムではありません。「ナイフなんて登山の際に持ち歩いていない」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。実際に、日帰りのハイキングなどで整備された登山道を歩く場合は、事前準備さえしっかり済ませておけば、ナイフがなくても問題ないことがほとんどです。
しかし、ナイフは登山のさまざまなシーンで使えるため、用意しておくと便利です。ナイフが活躍するシーンの一例としては、以下が考えられます。
【アイテムのメンテナンス】
ロープ(ザイル)を切る、リュックなどの装備を修理するといった、道具のメンテナンスでナイフを使用できます。また、山中で怪我をした際に応急処置目的で衣服を切ったり、雪崩や落石といった緊急時にテントを切って脱出したりといった用途でも使うことがあります。
【薪割り】
薪を割ったり枝を払ったりと、木を切る用途でもナイフが活躍します。木材を使ってアイテムを作る「ブッシュクラフト」を行う、薪を組んで火を着けるといったシーンが想定されるのであれば、ナイフを用意しておいた方が良いでしょう。
【食事】
テント泊を伴う登山の場合、食事を作る際もナイフがあると便利です。釣った魚などを調理する、食材のパッケージを開ける、料理を切り分けるなど、さまざまなシーンに対応できます。
他にも、緊急時に地面を掘って即席のシェルターを作る用途などが考えられます。山の難易度や登山のスタイルに応じて、ナイフの必要性を考えると良いでしょう。
■アウトドアナイフの種類
アウトドアナイフは、刃の形やデザインから大きくシースナイフ・フォールディングナイフ・ツールナイフの3種類に分けることができます。それぞれの特徴を知っておくと、登山シーンに適したナイフを選びやすくなるでしょう。
アウトドアナイフの種類ごとの特徴をご紹介します。
・シースナイフ
「シース」とは鞘(さや)という意味で、ハンドル(持ち手)と刃が一直線に一体化していて、刃を折りたたまず鞘に収めるタイプのナイフです。可動部がないため、他のタイプに比べると強度に優れています。
また、重量があり刃のサイズも大きめのものが多いため、ブッシュクラフトや薪割り、食事など、幅広く使いやすいのが魅力です。
刃に触れて怪我をする恐れがあるので、使い終わったらしっかり鞘に収納することを心がけましょう。
・フォールディングナイフ
刃を折りたたんでハンドル部に収納できる、折りたたみ式のナイフがフォールディングナイフです。折りたたみ部分にはストッパーがついていて、急に飛び出したり折りたたまれたりしないようにできています。
安全かつコンパクトに収納できる、軽量なものが多いといったメリットを持つため、登山シーンに最適です。
ただし、固定式のシースナイフに比べると、可動部がある分強度の面で劣ります。食材を切ったり封を開けたりといった簡単な作業なら問題ありませんが、薪割りなどの用途には向きません。
・ツールナイフ
ナイフ以外にも、ハサミや栓抜き、缶切り、ドライバー、カッターなど、さまざまな機能を搭載しているタイプです。多機能ナイフやマルチツールナイフ、アーミーナイフ、十徳ナイフなどと呼ばれる場合もあります。
搭載している機能は商品によって異なりますが、ツールナイフ1本で多くの用途に対応できます。特に、ハサミを備えているツールナイフは、布を切ったり袋を開封したりと、登山シーンでは役に立つ場合が多いです。
ただし、他のナイフに比べて刃渡りは短いものが多く、搭載しているツールも専用のアイテムに比べて使い勝手は劣ります。
また、機能が多いほど重量も増す点にも注意が必要です。必要のない機能をたくさん備えたツールナイフだと、使い道はほとんどないのに荷物だけ重くなることも考えられます。用途を踏まえて、必要な機能が備わっているかどうか確認しておきましょう。
■登山に向いたナイフの特徴
同じアウトドアシーンでも、登山とキャンプでは適したナイフが異なります。例えば、キャンプシーンでは薪を割ったり枝を削ったり、食材を切ったりと、幅広い用途でナイフを使用するでしょう。そのため、重量があり刃渡りも少し長めのシースナイフが最適です。
一方で登山では、ロープを切る、道具を修理するなどの作業時や、緊急時にナイフを使用することが考えられます。刃にギザギザの波形になっている部分があり、切り裂く用途で使いやすいナイフがあると、特に登攀(クライミング)を伴う登山の際は重宝します。
小型なものが多く持ち運びが簡単なフォールディングナイフや、1本で多くの作業に使えるツールナイフを用意しておくのがおすすめです。
ただし、登山に使うからといって必ず波形のあるナイフが必要なわけではありません。真っすぐな刃を持つナイフでも使えるシーンは多いため、用途に合わせて選ぶと良いでしょう。
■ナイフを持ち歩く際は「銃刀法」に注意
ナイフを持ち歩く際に注意したいのが、「銃刀法(銃砲刀剣類所持等取締法)」という法律です。日本では、刃渡り6cmを超える刃物は銃刀法の対象となり、「何人も、業務その他正当な理由による場合を除いては、これを携帯してはならない」と定められています。
登山で使うために所持するのは「正当な理由」に当てはまりますが、ナイフを手に持ったり身につけたりして、すぐに使える状態で持ち運ぶのは違法です。
厳重に梱包してすぐに使えないように収納しておく、使い終わったナイフはリュックから取り出し家に保管しておくなど、不要な持ち運びをしないように注意しましょう。
また、ツールナイフのように刃渡りが6cm以下の小さな刃物も、正当な理由がない携帯は「軽犯罪法」により取り締まりの対象となる恐れがあります。
小さなツールナイフだからといって、アクセサリー感覚で持ち歩いたり、理由なくポケットなどに入れたりするのは避けてください。万が一職務質問などを受けた際に、「使用する意図はなかった」「登山で使用した後そのままにしていた」といっても、違反と判断される恐れがあります。
■登山ではナイフを用意しておくと便利
調理やアイテムの補修、緊急時の対処など、アウトドアナイフは登山の際に持っていると便利に使えるアイテムのひとつです。日帰り登山やハイキングなど、シーンによっては使わないことも多いですが、登攀やテント泊を伴う本格的な登山にチャレンジしたい方は、緊急時用のアイテムとして持っておくと安心です。
ただし、ナイフなどの刃物類を理由なく所持しているのは、銃刀法や軽犯罪法に違反する恐れがあります。すぐに使えないようにしておき、不用意に持ち歩くことは絶対に避けてください。
持ち運びや使用に十分に注意したうえで、アウトドアナイフを登山シーンで活用してみてはいかがでしょうか。
RECOMMENDED POSTS
この記事を見た方におすすめの記事