【構造と素材】自分に合うサッカーシューズを選ぶための基礎知識
サッカーを始めようと思ったとき、まず必要になるものはサッカーシューズです。しかし、「サッカーシューズが欲しい」と思って探してみても、各メーカーやブランドから数多くの種類のシューズが発売されており、どれを選べばよいのか迷ってしまうのではないでしょうか。
結論からいうと「自分に合ったもの」を選ぶことが大切なのですが、今度は「自分に合うものは何?」という疑問に直面します。この記事では、あなたの「自分に合ったシューズ」探しのために、サッカーシューズの構造について詳しく解説していきます。
【目次】
■サッカーシューズの構造
サッカーシューズと一口にいっても、一般的にスパイクと呼ばれる「スパイクシューズ」や、トレシューと呼ばれる「トレーニングシューズ」、さらにはフットサルをプレーする際に履く「フットサルシューズ」というように、さまざまな種類があります。ここでは、その中から「スパイクシューズ」の構造を部位ごとに解説していきます。
-①ラスト(つま先)
靴業界では「靴を作る際に用いる木型」を表す用語ですが、サッカーシューズにおいては一般的につま先の部分を指します。サッカーは言うまでもなく足でボールを扱う競技のため、ボールを止める・蹴るといった動作のすべてに必要となる「ラスト」の部分の構造が重要になってきます。
-②アッパー
大まかにシューズの表面部分のことを指し、定義としてはこの後に出てくる「ソール」以外の部分を指します。素材は天然皮革と人工皮革の2つに分かれます。
-③ソール
シューズの裏側、いわゆる靴底の部分を指します。素材は合成樹脂やラバー素材が主ですが、プレーする場所や目的によって適した素材や、その形も変わってきます。
-④ベロ
靴の内部からまさにベロのように飛び出ている部分で、スニーカーや革靴ではタンとも呼ばれている部分を指します。履いたときに足の甲と靴ひもの間に入り、足を守る保護材としての役割や、シューズのフィット感を高めるといった役割があります。
-⑤スタッド
シューズの裏側、ソール部分についた突起物のことを指します。もともとシューズに固定されているものや、取り外して付け替えることができるタイプもあります。
その形状によってグリップ力が変わってくるため、場所や用途に合わせて選ぶことが重要です。型の違いや素材の違いなど、詳細は以下のページで説明しておりますので、こちらを参照してみてください。
⇒ 【サッカー】ケガの防止にもつながる! スタッドの種類を解説 はこちら
-⑥シューレース
靴ひものことを指します。通し方や結び方によって、ほどけやすさや履き心地が大きく変わってきます。プレーに集中するためには重要なポイントの一つです。
-⑦インソール
いわゆる中敷きのことを指します。シューズとは別にインソールだけでも販売されており、足とシューズのフィット感をより高めるものや、パフォーマンスの向上に特化したものまで、目的に応じた多くの製品が揃えられています。シューズ選びと同様に、自分に合ったものを選ぶことをおすすめします。
■大きく分けて2種類の素材がある
普段履くスニーカーのようなものから、遠目から見てもすぐに分かる派手なものまで、デザインやカラーバリエーションも多様なサッカーシューズですが、素材としては、大きく分けて2つになります。
素材によってそれぞれの特徴があり、もちろん履き心地も変わってきますので、シューズ選びの前にポイントとなる部分を押さえておきましょう。
-人工皮革
最も耐久性に優れた素材といわれ、頑丈さと防水性が大きな強みです。雨天時でも問題なく使用することができ、乾いてからも型崩れしにくく手入れの手間がかからないうえに、比較的安価というメリットもあります。
一方、天然皮革と比べると通気性が悪く、プレー中に蒸れが気になるかもしれないという不安があります。また、強みである頑丈さを支えるための伸びにくさが仇となり、足にはなじみにくいものとなっています。なるべく試し履きをして、しっかりサイズが合うものを選びましょう。
-天然皮革
軽くて柔らかい素材で、足なじみの良さが最大の特徴です。使い込むほどに自分の足にフィットしていきます。通気性にも優れ、蒸れにくいという点でも愛用者が少なくありません。
革の種類によっても特徴がさまざまで、特に「カンガルー革」は天然皮革の中でもトップクラスの柔らかさを誇り、足なじみの良さは抜群です。
「牛革」にはいくつか種類があり、生後6ヶ月以内の仔牛の革を用いる「カーフ」は、カンガルー革に負けないやわらかさに、耐久性も兼ね備えた素材として知られています。生後1年以上の牛の革を用いる「ステア」は天然皮革の中では比較的安価で、耐久性に優れ、使い込んでいくうちに足になじむ柔らかさも持ち合わせています。
ただし、価格帯を見ると人工皮革よりも高価なものが多いです。素材が柔らかい分、型崩れもしやすく水にも弱いので、雨の状況でのプレーにも適しません。放っておくとカビが生えてしまうこともあるだけに、手入れにも手間がかかります。
■シューズを支えるスタッドの構造
ソール部分のスタッドは、「取り換え式」と「固定式」の2つの構造に分けられています。「取り換え式」は主に天候やグラウンドコンディションなどに合わせて使うもので、プロの選手や上級者向けのものといえます。それに比べて「固定式」は幅広い用途での使用が想定されて作られており、一般向けといえるでしょう。ここでは、2種類の構造の特徴や違いをより詳しく紹介します。
-取り換え式スタッド
スタッドを金具で取り付けて使うもので、特に芝が長いときや雨が降った状態の柔らかい状態のグラウンドで強みを発揮します。グリップ力が高く、その時々の状況に合わせて使うことができ、スタッドが摩耗してきたときもその部分だけを取り換えればよいので、シューズを買い替えなくて済むというメリットもあります。
その反面、土のグラウンドや地面が固いグラウンドで使用するときは足への負担が大きくなり、持ち味のグリップ力も発揮されません。また、試合中にスタッドが外れてしまうことや、折れてしまうというトラブルも珍しくないため、注意が必要です。
-固定式スタッド
日本では主にこの固定式のスタッドが使われています。スタッドがシューズのソール部分に固定されているもので、固い土のグラウンドから芝のグラウンドまで幅広く使うことができます。また、ラバー素材のものが一般的で、足への負担が少ないという点もメリットの一つです。
ただし、使い込んでいくほどにスタッドの摩耗は避けられず、せっかくなじんできたのにシューズごと買い替えなければならない、ということもあります。固定式でも、ソールだけ交換するという選択肢もないわけではありませんが、取り換え式と違ってコストが高く、買い替えたほうが安く済むという場合も往々にしてあります。
■まとめ
このように、それぞれの構造や素材によってまったく特徴が異なるのが、サッカーシューズの奥深いところです。
「自分の足の形に合う」ことが最優先であることは間違いありませんが、その上で「どこでプレーをするのか」、また「どんなプレーをしたいのか」によっても選び方が変わってくるのです。
【確認すべきこと】
1. 本当に「スパイクシューズ」が必要か
趣味で友人・知り合いと集まってワイワイ楽しむだけの場合、「トレーニングシューズ」があれば事足りるということも多々あります。チームに所属している人や定期的に試合がある人は、「スパイクシューズ」を持つことをおすすめします。
2. 素材は実際に履いてみて決めよう
サッカーをプレーする上で、シューズの履き心地は何よりも重視すべきポイントです。上記では人工皮革が足になじみにくく、天然皮革は足になじみやすいという性質を説明しましたが、人工皮革のほうが履きやすいと思う人も中にはいらっしゃるでしょう。特性だけを見て、とりあえず天然を選んでしまうというのは非常に危険です。
また、足のサイズだけでは測れない各部位の微妙な差がメーカーごとにあるので、シューズを買うときは事前にメーカー毎の特性をしっかり確認するか、実際にお店で履いてみてから決めましょう。
3. 「固定式」を選んで間違いはない
プロサッカー選手やそれを目指す高校・大学生プレイヤーであれば話は別ですが、趣味としてサッカーを楽しむくらいであれば、スタッドは「固定式」のもので十分です。草サッカーというと土のグラウンドが大半で、たとえ芝であっても対応できるケースがほとんどです。
「取り換え式」には、芝の長さや地面のコンディションによってスタッドを使い分けることができるというメリットがありますが、そういった状況がたびたびあるのは本当に上級者だけです。スタッドが摩耗してきたときに取り換えることができる、という点だけで「取り換え式」を選ぶのはおすすめしません。
まずはそれぞれの部位や構造、その意味を理解した上でお店へと足を運び、さまざまな種類のシューズを試してみましょう。きっと納得の一足に出会うことができるはずです。
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