穴井詩選手のクラブセッティング。飛ばし屋だからこそショートアイアンがスコアメークの要
ゴルフ5の契約選手がシーズン開幕前に行った沖縄合宿。そこで穴井詩選手にシーズンを戦うクラブセッティングの考え方について話を聞いた。
今季すでに2勝をあげている穴井詩選手。クラブセッティングの中で考えていることを語ってもらった
――穴井選手がセッティングのなかでもっとも重視しているクラブは何ですか?
穴井 9番アイアン、PW、それから52度のウェッジですね。
――飛ばし屋の穴井選手にしては意外です!
穴井 飛ぶことのメリットは、2打目で短いクラブを持てること。ミドルアイアン以上ってそうそう寄るものではありませんが、9番以下ならある程度の精度を持ってピンを狙えます。短いパー4などで2打目がこのくらいの番手で打てるときに、どれだけピンに寄せられるかでバーディ数が違ってくるので、すごくスコアに直結するクラブなんです。
飛ばし屋の穴井選手だからこそ、短い距離の2打目をより大事にしているという
――アイアンは、ミズノ「JPX921ツアー」。選んだ理由は、やはり9番やPWがしっくりきたということでしょうか。
穴井 はい。いろんな意味で「ちょうどいい塩梅」のクラブなんです。
自分の体の動きと飛んでいく球のイメージがマッチして、タテの距離がイメージどおりに揃ってくれました。キャロウェイのアイアンもよかったのですが、イメージよりも5ヤード飛んでしまう。その点この「JPX921ツアー」はピッタリでした。
やさしすぎずに、ミスがちゃんとミスになってくれることも大事。だからといってマッスルバックではしんどいので、このくらいがちょうどよかったんです。
――アイアンは5番からで、その上に5UTが入っています。ロフト24度、初代「ローグ」のUTですね。
穴井 これは打感が最高にやわらかくて、すごく気に入っています。フェースの向きもよくて、方向が取りやすい点もいいですね。
4番アイアンと球の高さはそんなに変わらないのですが、ボールを拾いやすい形状なので、そこにやさしさを感じています。
打感のやわらかさが良いという初代「ローグ」の5UT
――5UTの上は7W、5W、そして3WとFWが3本です。
穴井 「ローグST MAX」の7Wは、4UTと比べると弾道が倍くらい高いんです。4UTではグリーンに球を止められませんが、7Wなら止められる。昨年からバッグに入れていますが、本当に便利ですね。
5Wと3Wはキャロウェイの「エピックスピード」。古いモデルですが、構えやすいし、球を拾いやすくてやさしいので変える理由がありません。
――3Wはロフト13.5度の、いわゆる「3+」ですね。
穴井 これはパー5の2打目でグリーンを狙う大事な武器です。球が強くて飛距離が出るので、「乗せたいけれど、届くかな~?」というギリギリの距離でも結構行ってくれて、イーグルチャンスを作ってくれる心強いクラブです。
「エピックスピード」の3Wはロングホールで欠かせません!と穴井選手
――ドライバーもキャロウェイ。「エピックフラッシュ サブゼロ」の9度。やはり飛距離重視で選ぶんですか?
穴井 いえ。方向と距離の比率は5対5が理想です。飛べばいいというわけでも、曲がらなければいいというわけでもなく、このバランスが大事。「エピックフラッシュ サブゼロ」はそのバランスが絶妙なんです。もっと飛ぶクラブもありますが、それで方向性が悪いのでは意味がありません。
それにフッカーの私にとっては、球離れが速いのも安心材料。フェースにボールがくっつく感じのあるクラブって、少しつかまりすぎたときに左に行く恐怖感があるのですが、このドライバーはそれがないので安心して振れます。
昨シーズンは一時期、新しい「ローグST MAX LS」を使ったりもしたんですが、シーズン中盤にこのドライバーに戻しました。
――バックウェイトを外しているのはどうしてですか?
穴井 ヘッドが軽くてヘッドスピードが上がるというのがいちばんの理由です。それにヘッドが効いているクラブは引っかけのミスが出やすいのですが、それを防ぐ効果もあります。
ドライバーは「エピックフラッシュ サブゼロ」9度。HSを上げるためにバッグウェイトを外している
――52度のウェッジは、キャロウェイの「マックダディ2」。古いウェッジですね。
穴井 丸くて出っ刃の顔が好きで、ボールが拾いやすく、ソールの抜けもよくて、手放せないクラブです。もともとの飛距離は105ヤードだったのですが、最近は溝がすり減ったせいでスピンが減って少し飛ぶようになり、108ヤードくらい飛びます。
――SWは、グラインドスタジオの58度。ウェッジはどんなものが好みなんですか?
穴井 顔が大きいウェッジの方が、安心感があって好きですね。グラインドスタジオの都丸さんには、「フェースを1.5倍にしてください」ってお願いしました(笑)
バウンス角は10度ですが、今年はソールを少し削ってボールを拾いやすいようにしてもらいました。中途半端な距離を打つときの抜け感がすごく大事なんですが、そこをうまく作ってもらえて、感謝しています。
ウェッジは安心感のあるものが好みだと話す穴井選手。「マックダディ2」52度と「グラインドスタジオ」の58度をセッティング
――パターは同じものを使い続ける派ですか? いろいろ試す派ですか?
穴井 本当は1本に決めたいんですが、入らなくなったらすぐに変えてしまいます。昨年は4~5回変えましたね。
形状はあまりこだわりませんが、ボール初速が遅いものが好きです。そのほうが、試合の緊張感のなかでもしっかり打っていけます。
パターはオデッセイの「ホワイトホットOG 2ボールブレード」
飛ばし屋だからこそ2打目が大事だという穴井選手。クラブ契約がないこともあり、すべてのクラブを自分の意志で、意図をもって選んでいる。今季すでに2勝をあげている好調の背景には、このクラブセッティングがあることは間違いない。
自分のプレースタイルに合わせたクラブセッティングをしている穴井詩選手。今シーズンの更なる活躍に注目だ
(※取材当時のセッティングで現在とは異なる部分もございます。)
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