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other2019.10.02

秋元才加│"問題児"だったバスケ部時代。もう同じことは繰り返さない【後編】

秋元才加さんに、バスケットボール部時代の経験について聞いた本インタビュー。後編では、高校時代以降のエピソードや、大人になってからのスポーツとの向き合い方、そして現在部活動へ打ち込む学生たちへのメッセージをお届けする。

[ 前編はこちら ]


■プレーに人間性が現れるのが面白い


──練習に行かなくなってしまった時期も、バスケそのものは変わらず好きでしたか?

好きでした。試合のボールの音だったり、仲間との瞬間的なコミュニケーションで息の合ったプレーができたり。周りの音が聞こえなくなるくらい集中できる瞬間もあったり。バスケって、試合中にすごく人間性が現れるんです。普段大人しい子の闘志がむき出しになったり、身体が小さくてもすごくパワフルなプレーをする子がいたり。そういうのがひしひしと伝わってくると、私自身もなんだか"生きている"っていう感じがして。でも、やっぱり練習は嫌いでした(笑)。

──どうして練習が嫌だったのでしょう?

とにかく試合で競うのが好きだったので、相手がいない練習はつまらないって思ってしまっていたんですよね。今となっては「何事も積み重ねが大事」っ思えるんですけど、当時はそれもピンとこなくて。「もう早く試合しようよ」って思ってばかりでした。だから、きちんと練習に向き合って続けていた周りの子たちは本当にすごいなって尊敬しています。実際に、コツコツと頑張っていた子たちは3年生になってスタメンで活躍してましたね。


■好きだけじゃ続けられない


──その後、高校生になってもバスケは続けましたか?

やっぱりバスケが好きだったので、続けました。バスケの実技試験メインで受験できる高校があって、そこに入れたんです。そのバスケ部は県大会にも行っていた強いチームで、練習のきつさも桁違い。それに、高校に入ると部活をするにもお金がかかることが増えてきて。学校のロゴが入ったジャージを買わなきゃいけなかったり、部費も必要だったり。中学のころは周りがサポートしてくれたおかげもあって続けられたんですけど、高校に入って「部費が毎月いる」って知って、親にも言い出せなくて。1年くらいはなんとか続けたんですけど、いよいよ「バイトしなくちゃ」となって。めちゃくちゃ悩んだ結果、部活とバイトを両立するのは難しいっていうことで、2年生になって少し経ったころにバスケ部を辞めることになりました。「好きなだけじゃ続けられないんだな」って、当時はすごく落ち込みましたね。

──その後、AKB48のオーディションに合格されていますね。

小さいころから、芸能界に入りたいという夢は持っていたんです。本当に漠然とした考えで、「きれいなお洋服を着て、メイクもして、大きな家に住める」みたいなイメージではあったんですけど。いろいろコンプレックスを抱えていたなかで、「私のことを知ってほしい、認めてほしい」っていう気持ちがあったんだと思います。それに、部活を辞めた自分のままでいるのが嫌だったっていうのもありました。学校に居場所がなくなってしまったような気もして、新しい居場所が欲しかったのもあるかもしれませんね。それで進路を決めなきゃ、というタイミングで最後のチャンスとしてAKB48のオーディションを受けました。


■もう、同じことを繰り返さないように


──芸能界に入ってから、部活動の経験が活きたと感じることはありましたか?

まずは、人としての最低限の礼儀や挨拶が身についたのはよかったなと思います。それと、瞬間的に状況を判断できる能力や、「人を見る力」は、バスケの経験を通して得られたものです。AKB48のライブ中もメンバー同士アイコンタクトをしたり、ポジションを間違えてしまったときに、ほかのメンバーがスッとカバーしてくれたときは、バスケの試合中の感覚に似たものを感じました。

AKB48ではキャプテンをやっていたこともあって"優等生"というイメージを持っていただくことが多かったんですけど。地元では「あの才加が何で?」って思われていたはず。でも、それは学生時代にいろいろ失敗してしまった経験があるからこそなんです。部活で周囲に迷惑をかけてしまった後悔もあったから、もう同じ失敗をしないように、ちゃんと周囲の人と向き合おうと思えるようになりました。バスケ部での経験がなければ、今の私はなかったのかな、と思います。

──秋元さんは現在、お仕事でもBリーグなどバスケに関わられていますが、大人になってから気づいた魅力などはありますか?

やっぱり、私はバスケのスピード感が好きなんだと改めて実感しました。攻防の切り替わりの速さや、ゴールが決まる回数の多さだったり……短い時間のなかで次々と流れが変わっていくのが、本当に面白いですね。

ちなみに、バスケを観戦していて目で追いがちなのは、身体が大きくてパワープレーが得意な選手。「あんなふうにプレーできたら気持ちいいだろうな」ってついつい自分と重ね合わせて見てしまいます。

──今も、バスケをプレーしたくなることはありますか?

あります。最近は番組のスタッフさんに誘っていただいて、月に1回くらいの頻度でバスケをしているんです。ポジションは、相変わらずセンター。やっぱり10代のころに刷り込まれたスタイルってそう変えられるものじゃないんだなって、日々実感しています。ずっとポストプレーをやってきたので、ドリブルでボールをつなげないんですよね。でも今は男女混合のチームなので、私よりも背の高い人がいる。だから、今の目標はもっとドリブルでボールをコントロールできるようにして、フォワードも兼ねられるようになることです。

──大人になってからも目標を持って楽しまれていて、素敵です。

10代のころはわからなかったんですけど、スポーツを通して自分の成長をちょっとずつ確認できるのがすごく楽しいんですよね。「この歳になっても成長できるんだ」って。大人になってからは、なかなか周りから「成長してるね」って言われる機会もないですし。今はバスケ以外にもランニングやトレーニングをしていて、日常的に身体を動かしています。少しずつでも目標を達成できれば自信につながるし。

私は、「あのころが一番よかったね」と思われるのがすごく嫌なんです。今の自分が一番好きって思えるようにしたくて、心身をアップデートするような気持ちでスポーツを続けています。今では、運動しないと気持ち悪く感じるくらい身体を動かすことが日課になりました。

──最後に、部活動を頑張る学生たちに向けてメッセージをお願いします。

ぜひ、きちんと"自分自身を見極めて"ください。私の場合は自分の見極めが足りなかったから、ちゃんと練習してこられなかったのもあると思うんです。たとえば、「自分は何を目指しているのか」「どうなりたいのか」がクリアにできていれば、目標に向かって頑張ろう、っていう気持ちももうちょっと生まれたはず。部活って、もとは好きで始めたはずなのに、私のように「練習嫌だな」「行きたくないな」って思ってしまうこと、結構ありますよね。それで迷う度に、「自分はそれでもこれがやりたい」のか、「やっぱり嫌だ」なのか。何百回も、自分自身に問いかけてみてください。10代のころって、そうやって自分自身のことを見極める時期でもあると思うんです。自分がどこまでできる人間なのか、何をしたいのか──冷静に見極められる人は、すごく強い!



■プロフィール


秋元才加
1988年7月26日生まれ。千葉県出身。AKB48の二期生として2006年に加入。2013年のグループ卒業後は、女優としての活動を中心に幅広く活躍中。バスケットボール経験を活かし、B.LEAGUEやNBA関連の番組出演も多い。

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