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other2019.10.25

「令和は、バスケだ。」4シーズン目となるBリーグ開幕の魅力に迫る!

バスケットシューズが床をつかむ「キュッ」という音が、スポーツシーンに戻ってきた。国内最高峰のプロフェッショナル・バスケットボールリーグ『Bリーグ』の2019-20シーズンが、10月3日からスタートしているのだ。

4シーズン目となるBリーグは、「令和は、バスケだ。」のメッセージを掲げた。



独自のエンターテインメント空間を創り出すBリーグは、右肩上がりの観客動員を記録してきた。競技力の向上が人気を高め、次世代に夢を提供できる環境も生まれた。千葉ジェッツの富樫勇樹が、1億円プレーヤーとなった。

Bリーグでハイインテンシティのバスケを繰り広げる選手たちは、国際舞台でも活躍していく。19年2月に日本代表が13年ぶりのワールドカップ出場を勝ち取り、東京五輪の開催国枠での出場を確保したのだった。

日本バスケ界の変革のエンジンとなるBリーグの4シーズン目は、10月3日に横浜アリーナで幕を開けた。Bリーグ史上最大規模の照明が使われたオープニングゲーム──B1 "THE"GAME──は、ティップオフ直前に意外な演出を用意していた。

暗転したコートを、一筋のライトが射る。



落語家の立川吉笑さんがいるではないか!Bリーグの魅力を散りばめた落語はアリーナの空気を和らげ、それでいて開幕戦への期待を高めたのだった。

9500人を超える観衆の前に立ったのは、川崎ブレイブサンダースと宇都宮ブレックスだ。昨シーズンのチャンピオンシップ準々決勝の同一カードは、今シーズンの優勝争いを占う意味でも大きな意味を持ってくる。



この日のアリーナを支配したのは、川崎の篠山竜青だっただろう。背番号7を着けるPG(ポイントガード)は、日本代表の僚友でもあるC(センター)ニック・ファジーカスの20点に次ぐ19得点を記録する。新加入のウルグアイ代表PF/C(パワーフォワード/センター)マティアス・カルファニもリバウンドで力を発揮し、川崎は78対57で快勝した。

試合後の記者会見に登壇した佐藤賢次HC(ヘッドコーチ)は、喜びと安どの入り混ざったような表情をのぞかせた。アシスタントコーチから昇格した就任1年目のシーズン開幕を、39歳の指揮官は白星で飾ったのだった。

「(Bリーグ開幕前の8月下旬から9月に開催された)ワールドカップから東京五輪につながる特別なシーズン、そのなかで開幕戦に選んでもらえて、激しい強度のなかで質の高いゲームをしたいと思っていました。それを少し、見せられたかなと。このような試合を毎節見せていくことで、日本のバスケットのレベルが上がっていくと思います」

すでに先を見据える指揮官の思いは、キャプテンの篠山にも共通する。経験豊富な31歳は勝利に酔いしれることなく、引き締まった表情でマイクに向かった。

「40分間ハイエナジーでタフに戦う。これをスタンダードにして、もっとレベルの高い試合をやっていきたい。チームは伸びしろしかないと感じています。新加入選手の良さをまだまだ出し切れていないし、一人ひとりの選手の個性をもっと生かしていきたい。すべてにおいて伸びるな、という感じです。しっかり積み上げていって、ファイナルでここ(横浜アリーナ)へ帰ってきたい」

敗れた宇都宮の安齋竜三HCも、敗戦を引きずるところはない。すぐに気持ちを切り替えた。

「(レギュラーシーズンは)あと59試合ある。今日が底辺だと思って、いい試合ができるようにしていきたい」



キャプテンの田臥勇太も前を向く。この試合の2日後に39歳の誕生日を迎えた日本バスケ界のレジェンドは、安齋HCと同学年である。

「今日は試合を通して相手のペースになってしまいました。自分たちのバスケをやり続けられるように、チームとともにしっかりと成長し続けたい」

B1リーグは18チームが東地区、中地区、西地区に6チームずつ分かれ、同地区のチームと各6試合(合計30試合)、他地区のチームとの交流戦(合計30試合)で合計60試合を戦う。ここまでがいわゆるレギュラーシーズンだ。

ポストシーズンは3地区の1、2位クラブ(6チーム)と、それ以外の12クラブの成績上位2クラブが、チャンピオンシップに出場する。トーナメントで争われるチャンピオンシップを制したクラブが、年間王者の称号を得る。

2019-20シーズンは10月13日までに3節を消化し、東地区はサンロッカーズ渋谷、中地区は川崎、西地区は京都ハンナリーズが首位に立っている。

昨シーズンのチャンピオンシップファイナルを制したアルバルク東京は、2勝1敗で東地区の3位だ。その東京とファイナルを戦った千葉は、2勝3敗で東地区の6位となっている。昨シーズンのチャンピオンシップファイナルで4強を形成した琉球ゴールデンキングスも、ここまで2勝2敗で西地区の4位だ。

同じく昨シーズンのチャンピオンシップファイナルでベスト4に名を連ねた宇都宮は、川崎に連敗するスタートとなったものの、その後は滋賀レイクスターズに連勝した。滋賀との2戦目でワールドカップ日本代表の竹内公輔、ジェフ・ギブスが滋賀戦で負傷し、ふたりのPF/Cを欠くことになったものの、直後の10月16日に行われた千葉ジェッツ戦に競り勝った。

シーズン序盤の話題を集めているのは、東地区のレバンガ北海道だ。



昨シーズンは地区最下位で全体順位17位となり、B1残留プレーオフで辛くも残留を果たした。それが、開幕から4連勝である。5試合目で渋谷に敗れたものの、「今シーズンは変わる。チームも選手も変わる。新しいチームを見せたい」というSG(シューティングガード)折茂武彦の言葉どおりの戦いを見せている。

選手兼任オーナーを務める49歳の折茂は、今シーズン限りでの現役引退を明らかにしている。日本バスケ界に大きく貢献したベテランの存在が、今シーズンはいつも以上のチームのモチベーションを掻き立てているのだろう。

Bリーグが開催されるアリーナや体育館は、幅広い観客層で埋め尽くされる。バスケをプレーしている中高生も多い。スタンドと観客の距離感が近いので、選手たちが履いているシューズも分かりやすい。

選手がシュートを打つ。観衆が息をのむ。一瞬の静寂ののちに、歓喜が駆け抜ける──この臨場感はたまらない。何度味わっても飽くことがない。

様々なスポーツが日本を盛り上げているが、Bリーグも間違いなく熱い。目が離せない試合が多くて、選手の息遣いを感じることもできて、次の週末にまた会場へ行きたくなるのだ。

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