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other2021.03.19

ソフトテニス 九島一馬「人間関係が一番の財産。周りの支えてくれている人たちのために勝ちたい」

数々の大会で優勝を飾り、ナショナルチームの男子代表でもある九島一馬選手。そんな九島選手は学生時代にスランプに陥った経験を持つ。再起のきっかけとなった大きな変化は競技を通じて得た財産にあった。


■訪れた突然のスランプ。再起のきっかけとなったのは支えてくれている人たちへの気持ちの変化


――九島選手は学生の頃、どんな夢を持っていましたか?

もともと野球をやっていましたが、負けず嫌いがすごく、自分が打ってもチームが負けちゃうのが嫌でした。3つ上の兄がソフトテニスを始めたのをきっかけに僕も始めました。当時、ソフトテニスで全国的に強い選手も知らず、「これ」という明確な目標はなかったのですが、出る試合ごとに負けないように一生懸命にやっていた記憶はあります。


――では、いま叶えたい大きな夢はありますか?

競技をやっている上では、「日本代表で大きな大会で金メダルを取る」というのが最大の夢です。


――では、その夢を叶えるために日々重ねている努力とか具体的にやっていることを教えてもらえますか?

普段、ペアと二人で練習をやっていますが、コロナ禍の影響でなかなか実戦に結びついたような練習ができにくいので、最近はコートでやる練習はもちろん、他の選手や自分の試合の動画を見て、戦術のチェックをする時間が増えました。


――コロナ禍をうまく活かせていると?

そうですね。たぶんこういう時期がなければ、映像を見たりとかはあまり今までしてこなかったので、いい時間にできているかなと思います。


――今まで挫折はありましたか?

ありました。高校入ってから初めての挫折といいますか、1年生のときに全国大会で2位になった経験があります。そこから自分の中では何かが変わったというのはなかったのですが、そこから全然勝てなくなり、県大会でも負けるようになったのが初めての挫折でしたね。なにをしてもうまくいかず、正解がわからないという、ほんと真っ暗なところで、もがいた記憶はすごくあります。


――今まったく同じ状況の子供たちがいると思いますが、九島選手がどうやって乗り越えたのか興味あると思います。

もがきにもがきましたね。初めに負けず嫌いといいましたが、勝ち負けに拘らずに、長い目で見ていったときに、「じゃあ自分はどういうプレーをするべきなのか」とか、「どうやったら強い選手に勝てるのか」というのを普段から考えに考えて、実戦でいろいろ試しまくりました。

ちょうど僕が高校3年生のときに東日本大震災がありました。当時、宮城県の学校にいたので、練習ができないような、まるで今と似た状況にあったのですが、「自分のために」というよりかは、自分たちが勝つことで、活躍することで「周りの支えてくれている人たちのため」になるのではないかなというのが、再起するにあたって一番大きな変化でした。その気持ちの変化があったからこそ、うまくいかなくても投げ出さずにやり抜けたと今では思います。


■競技を通じて得た財産。ペア競技で良い関係性を築くにはお互いの良さを知ること


――ソフトテニスを通じて得たもので一番大きいものはありますか?

人間関係が一番の財産です。ソフトテニスをやってなかったら出会えなかった選手とか友達とかすごく多いですし、競技を通して繋がっているので、何歳になってもずっといい関係なのが一番財産ですね。大会で会ったりするのも楽しいです。


――ソフトテニスの場合、ダブルスでのペアとの関係性は良くも悪くも影響すると思いますが、ソフトテニスならではのエピソードだったり、お互いが大事にしていることはありますか?

僕個人の考えではありますが、ペアであまり人に気を使いすぎても、自分がしたいプレーができなくなってしまうという経験があります。お互いにやるべきことをしっかりやっていこうという話はします。そこの関係が悪くなると試合でもうまくいかなくなってくるので、お互いの良さを知りながら、「じゃあどうやっていこうかな」という感じです。二人とも調子良いということはほんとに稀なので、どちらかがミスしたら片方がカバーしないといけないですし、二人でやっていかないといけないです。


■自分のプレースタイルで見つけたこだわりの道具について


――ラケットでこだわっている点を教えてください。

ソフトテニスという競技は、ここ数年でプレースタイルが大きく変わっています。小・中学生はまだそこまでいってないと思いますが、ゆっくりラリーを続けて、前衛が動いて「ポン」というのが大体の基本の形ではありますが、いまはバドミントンみたいな感じで「バンバン」と展開が速くなってきています。ラケットは毎年軽くなっていますし、グリップも細くなっていって……というのが、トップ選手たちの流れになってますね。

速い展開でボールを飛ばしていかないといけないので、いま僕が使ってるSCUD PRO-Rというラケットは、少ない力でも簡単にボールが飛んでいってくれて、それがこのラケットを選んでる一番のポイントですね。打感も硬いラケットですが、硬い方が自分の手に伝わる感覚というのがより鮮明なので、僕は硬めの打感のラケットを使っています。それに付随して、張っているストリングは、ラケット自体ボールの飛びがすごくいいので、このストリングの方でボールの「持ち感」といいますか、コアな話ですが、ボールを一回しっかり持って、狙ったところに飛ばしていけるというのを叶えるために、性能が相反するような「飛び」と「ボールの持ち感」をどっちも補うために、この組み合わせで使っています。



――SCUD PRO-Rを使いつづけている理由や優れている点を教えてください。

1つ目は、先ほども言いましたがボールの飛びですね。このラケットはRタイプといって、より弾きを重視したモデルになっています。ボールを飛ばしていくにあたって、大きい動作でボールを飛ばせるのは当たり前ですけど、より小さい動作の中からしっかりボールを飛ばしていけるというのが非常に魅力です。

2つ目は、硬い打感です。打感が柔らかければ、ボールは飛びやすいですが、「飛びすぎてちょっと狙いにくい」ということもやっていくうちに出てくる部分ではあって、しっかりボールを飛ばせるという前提にはなるのですが、打感が硬い方がより自分の手に伝わってくる感じが強くなってくるので、この硬い打感というのは試合でもすごく大事になってくると僕は感じています。

そして、Rタイプなので、バランスポイントがほかの前衛ラケットに比べてちょっとだけ上にいっているというのもあり、ストロークを打つときにもラケットのヘッドが走りやすいのでより打ちやすくなっています。

前衛ラケットは基本的にヘッドが軽いので、なかなかラケットが回ってこなかったりスウィングスピードが速くなったりしないので、ストロークが難しいのですが、バランスポイントが上にきていることでより振り抜きがよくなっているという点で、ストロークもそうですし、あとサーブとかスマッシュ。自分から振っていくようなプレーの時にも、そのバランスが自分のスウィングをアシストしてくれる感じがあるので、自分からどんどん攻めたいプレーヤーにはオススメのラケットですね。


――「こういうプレーがしたい」人におすすめですというのはありますか?

ラケットのヘッドの方にバランスがあるので、自分からスウィングしていくプレーが多い=よりオールラウンダー向けというか、ストロークもしたいし、ネットから離れて振っていくようなボレーとか、スマッシュといったプレーがしたい、得意だよという子に対しておすすめしています。だからといって、ネットプレーのしにくさがあるというわけではなくて、もちろんそこは大前提で、基幹機能に込められた上で、スウィング系のボールに対しての特異性があるので、そういったプレーをしたい人におすすめですね。


――これからソフトテニスを始める人たちはどんなポイントに気を付けて自分に合ったラケットを選べばよいですか?

まずは自分のポジションによってというのが一番大事だと思います。始めたての子というのはラケットも上手に振れないですし、僕がいま使っているようなラケットだと硬くてボールが飛んでいかないので、まずは軽くて、簡単にボールが飛んでいくような打感の柔らかいラケットから始めるのがいいと思います。やっていくうちにボールがまともに打てるようになると自分の好みが出てくると思います。ボールをもっと飛ばしたいのか、ボールをしっかり持ってコントロールしたいのかというタイプに分かれてくると思います。当たり前ですが、最初は難しいラケットは使わないように。トップ選手に憧れてというのがあると思いますが、まずは扱いやすいラケットからがいいと思います。


――道具にまつわるゲン担ぎはありますか?

道具は、試合に行ったら必ず同じラケットは3本持っていきます。意外と試合の日って繊細になります。バッグのポケットごとに入れるものを決めてたりとか、お手洗いにいくときは絶対同じところでするとか、靴ヒモはどっちから結ぶとか、細かいルーティンがめちゃめちゃあるので、道具というよりかは自分の行動を同じようなサイクルにするというのを心がけています。


――最後に、スポーツをしている子供たち、若い世代に応援メッセージをお願いします。

うまくスポーツで活動ができていないと思いますが、小学校、中学校、高校と限られた時間の中にはなりますが、そこに囚われずにどの競技でもしっかり先を見据えて、どんどん新しいことにチャレンジしていってほしいなと思います。長く続ければ続けるほどスポーツはいいことがあると思います。うまくなったりとか、友好関係が広がったりなどプラスの面がすごく多いと思うので、今に一喜一憂せずに、長い目を向けて競技に取り組んで欲しいなと思います。


■SPECIAL MOVIE


九島一馬選手のインタビュー動画公開中(上の画像をタップするとYouTubeへ遷移します)


<プロフィール>

九島一馬(Kazuma Kushima)

平成6年1月22日、秋田県生まれ。ミズノ所属。2010年全国高校選抜優勝。2011年にはインターハイ団体、個人ともに優勝。インカレ団体では2012年から2015年まで4年連続で優勝。特に2014年はインカレダブルスでも優勝を飾り二冠を手にする。2016年に全国社会人選手権優勝。2020年度ナショナルチーム男子に選出。右利き/前衛。

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