卓球の「チキータ」とは? 打ち方のコツを知って試合を優位に進めよう
卓球の試合を見ていると、「チキータ」という言葉を聞く機会が多いはずです。2021年の夏に開催された東京五輪2020大会の卓球競技でも、各国の選手が使用して話題になりました。しかし、チキータとは具体的にどのような技術なのか、ご存知ない方もいらっしゃるでしょう。なぜここまで多くの卓球選手が、チキータを活用しているのでしょうか。
ここでは、卓球のチキータの概要や特徴、打つ際のコツなどをご紹介します。
【目次】
■チキータとは
チキータとは、台上でボールに横回転や縦回転をかけて相手に攻撃を仕掛ける、バックハンド打法のひとつです。ボールにかかった回転の影響を受けづらいため、主にレシーブの際に使われます。
1990年代にチェコの卓球選手が使用したのがチキータの始まりです。その後、2011年の世界選手権で、中国の選手がチキータを多用して優勝したことから、世界的に使われるようになりました。今も多くの選手が活用していて、現代卓球では欠かせない技術のひとつになっています。
現在は縦回転をかけたチキータが多いですが、もともとは横回転をかけて返球するものでした。横回転のかかったボールがバナナのような軌道を描くことから、バナナのブランド名が名前の由来になったそうです。
また、ボールの内側を捉えてチキータとは反対側の横回転をかけるバックハンド打法は、「逆チキータ」と呼ばれます。こちらもチキータと同じく、近年流行しつつある技術です。
■チキータのメリット
近年主流となっているチキータは、多くのメリットを持っているレシーブ方法です。プロ・アマ問わず多くの選手が使用しているチキータには、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。
・威力のあるレシーブを返せる
通常、卓球台の外側に出たボールに対しては、ラケットを振り上げて前進回転をかけるドライブで返すのが一般的です。これは、強い前進回転をかけるドライブなら、スピードのある打球を低い角度から打ち込めるためです。
しかし、ドライブは台の下から上に大きくラケットを振り上げることで、ボールに回転をかけます。卓球台で2回以上バウンドしてしまう短いボールに対しては使えないため、従来の卓球では台上に低いボールを打てば強い返球はないというのが前提でした。
一方で、チキータは腕のしなりや手首の回転を利用してラケットを大きく回転させることで、スイングのスピードを上げています。ラケットを卓球台より低い位置から振り上げなくても、力強いレシーブを打つことができるのです。
相手のサービスに対して強いレシーブを返して攻撃に転じられるのは、チキータが持つ最大のメリットといえるでしょう。
・幅広いサーブに対応できる
横回転のチキータは、ボールの横側を捉えるので、相手サーブの回転軸を外すことができます。サーブの回転を気にせずにレシーブを行えるので、どんなサーブにも対応しやすい点もメリットです。
また、ボールを捉えるポイントを変えれば横回転をかけたり縦回転をかけたりできます。複数の回転を使い分けて相手のミスを誘う使い方が可能なのも、チキータの強みといえるでしょう。
■チキータのデメリット
多くのメリットがある一方で、デメリットも存在します。チキータは現在、プロ・アマ問わず多くの選手が使用している技術です。打たれ慣れている選手も多いため、中途半端な威力のチキータは狙い撃ちされる恐れがあります。
また、チキータ対策となる戦略がすでに確立されている点もデメリットといえるでしょう。例えば、バック側にロングサーブを打って卓球台から引きはがす、フォア側にショートサーブを打ってわざとチキータを打たせたら、3打目は空いたバック側に返球するなどが有効なチキータ対策です。下回転サーブをかけて強い返球を封じてくることも考えられます。
そのため、チキータを有効に活用したいのであれば、ロングボールへの対応や、フォア側のサーブを打ち返した後バックに素早く戻れる俊敏なフットワーク、チキータ以外の幅広いテクニックなどが欠かせません。
他の技術もしっかりと磨いたうえで、選択肢のひとつとして取り入れるのが、チキータを効果的に使うためのコツです。
■チキータを打つコツ
卓球を始めたばかりの初心者の方も、レベルアップを目指すためにチキータはぜひ覚えたい技術のひとつです。多くの選手が使っているチキータですが、初心者の方がいきなり打つのは難しいかもしれません。チキータを打つためのコツをいくつかご紹介するので、練習の際の参考にしてみてください。
・正しいフォームを身につける
チキータを打つためには、正しいフォームで構えを取ることが大切です。右利きの選手なら、右足を前に出して台に入り、ボールに極力体を近づけるように姿勢を低く落として構えましょう。前かがみの姿勢で構えて、体の正面に広いスペースを作るのがコツです。
ラケットを持っている側(右腕)の肘は少し高い位置に上げたら、手首を少し曲げて打球準備に入ります。
ボールが来たら肘から先を前に出して、腕をムチのようにしならせながら一気にボールを振り抜いてください。打った後のフォロースルーは、斜め前方向にしっかり振り抜くと、ボールに回転やスピードを加えやすいです。
・足を使ってボールに近づく
チキータは卓球台の上で行うバックハンド打法なので、ボールを打ち抜くためには体をしっかり台の中に入れておく必要があります。相手のサーブを見てボールの落下地点を予測したら、体全体をボールに近づけることが大切です。
右利きの場合は、右足をボールのバウンドする地点まで運びます。この時、ボールよりもやや右側に構えるようにすると腕をしならせやすく、より強い回転をかけられます。
・手首だけで打たない
チキータは、手首を曲げることでバックスイングを取ります。どうしても手首に意識が向きがちですが、手首の動きだけでボールを打たないように心がけましょう。手首だけに意識が行くと、体に無駄な力が入ってしまい、ミスショットにつながる恐れがあります。
手首を曲げて打球準備ができた後は、肘を前に出しながら自然と手首がしなる感覚で、ラケットを振り抜くのがコツです。手首と腕を同時に振る意識を持つと良いでしょう。
・ボールを捉える位置
ラケットでボールのどこを捉えるかも重要なポイントです。横回転を加えたいと思った場合は、ボールの横側を捉える必要があります。この捉え方だと、相手サーブの回転の影響を受けづらくなるのがメリットです。ボールの回転がわからなかった場合は横側を捉えておけば、ミスを減らすことができます。
一方で、ボールの下側を捉えれば下回転を、真後ろを捉えればスピードのあるボールを返せるようになります。相手サーブの回転を見極めながら、ボールを捉える位置を工夫するようにしましょう。
■現代卓球に欠かせないチキータを習得しよう
トップレベルの選手の中では、チキータは欠かせない技術となっています。チキータができるだけで台上のボールを強く返せるようになるため、レシーブで先手を取れる可能性が高まります。強烈なチキータで先手を取ったり、チキータを見せてロングサーブを打たせたりなど、チキータを習得すれば試合を優位に運べるようになるでしょう。
大まかな打ち方としては、台上で行うバックハンドドライブをイメージすると、わかりやすいかもしれません。台上の打ち方を一通り覚えたら、チキータの習得を目指してみてはいかがでしょうか。
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