【2022年日本バスケットボール界を総括】東京五輪以降の男女代表の現在地
東京五輪で銀メダルをつかんだバスケットボール女子日本代表は、五輪後に就任した恩塚亨ヘッドコーチ(HC)のもとで強化をはかっている。
2022年最大のターゲットは、『FIBA女子バスケットボールワールドカップ2022』だった。2月の予選では、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ、カナダ、ベラルーシと同グループになった。グループ分け決定後にベラルーシが新型コロナウイルスの影響で辞退したことで、3か国による総当たり戦となった。
日本は初戦のカナダ戦に86対79で勝利し、ボスニア・ヘルツェゴヴィナには82対87で敗れた。第3クォーターまでリードしたものの、第3クォーターに引っ繰り返されてしまった。
9月下旬開幕のワールドカップでは、開催国のオーストラリア、カナダ、セルビア、フランス、マリと同グループBとなった。決勝トーナメントには、上位4か国が進出する。
初戦は世界ランキング37位のマリが相手で、同8位の日本は89対56で勝利した。最年少20歳の平下愛佳が17得点、東京五輪代表で21歳の東藤なな子が14得点を決めた。
2戦目は世界ランク10位のセルビア戦と対戦し、64対69で競り負けた。第1クォーターを9対24のビハインドで終えたのが、最終的に響いてしまった。
苦しい戦いは続く。世界ランク4位のカナダとの第3戦も、第1、第2クォーターをビハインドで終え、第3クォーター終了時までに39対61と点差を広げられた。第4クォーターでは17対9と盛り返したものの、56対70で連敗を喫してしまった。
第4戦は世界ランク6位のフランスと対峙した。東京五輪では連勝しているが、今回は53対67で敗れてしまう。オーストラリアとの最終戦も54対71で落とし、日本は1勝4敗でグループ敗退となった。
早期敗退となったことについて、髙田真希キャプテンは、「何が足りないか、どうしてこういう結果になったのかを、一人ひとりが考える。それを、これからはじまるWリーグで課題として持っていくことが大事です」と話した。チームとしてはもちろん、個々のレベルアップは不可欠だ。
W杯直後には、オコエ桃仁花が富士通レッドウェーブを退団し、ギリシャ女子リーグ『エレフテリア・モシャトウ』へ移籍した。
23歳のパワーフォワードは、より厳しい環境でレベルアップを追求する。
東京五輪準優勝メンバーの町田瑠唯は、今年5月からWNBAのワシントン・ミスティックスでプレーしている。日本人4人目のWNBAプレーヤーとして奮闘中だ。個人レベルでのこうしたチャレンジも、日本代表の強化につながっていくのだろう。
◆女子日本代表を東京五輪銀メダルへ導いたホーバスHCの男子代表のチーム作りとは
2022年の男子日本代表は、2月から活動をスタートさせた。『2023FIBAバスケットボールワールドカップ』のアジア地区予選のWindow2で、同26日のチャイニーズ・タイペイ戦に76対71で勝利し、翌日のオーストラリア戦は64対80で敗れた。
23年のワールドカップは、フィリピンをメイン会場に日本、インドネシアで共催される。このため、日本はすでに出場権を得ている。それでも、アジア地区予選はチームにとって大切な強化の機会だ。
7月にはWindow3として、2月に対戦した2か国とメルボルンで再戦した。チャイニーズ・タイペイには89対49で大勝したものの、オーストラリアには52対98で連敗を喫した。
21年11月に行なわれた中国戦の連敗を含めて、日本は2勝4敗でグループでの戦いを終えた。同3位でセカンドラウンドへ進出することとなった。
直後の7月12日から、『FIBAアジアカップ2022』が開催された。
12人のメンバーには、東京五輪でチームの中心となった富樫勇樹、渡邊雄太らに加え、W杯予選で代表デビューした河村勇輝と富永啓生の21歳コンビもセレクトされた。12人のうち6人が、25歳以下である。
その一方で、今夏の代表活動への不参加を明言していた八村塁、NBAサマーリーグに参戦中の馬場雄大は招集外となった。
4か国による総当たりリーグ戦の初戦は、カザフスタンが相手だった。日本はトム・ホーバスHC指揮下で初めてプレーする渡邉が、両チームを通じて最多の21得点を記録し、100対68で白星スタートを切った。続くシリア戦は117対56で勝利した。ホーバス体制下の最多得点を叩き出した。
しかし、第3戦では前回準優勝のイランに76対88で敗れ、グループ2位でフィリピンとのプレーオフ(ベスト8進出決定戦)へ回った。この1戦を102対81でモノにするが、渡邉が負傷交代してしまう。
準々決勝ではオーストラリアと激突した。前回王者にしてFIBAランキング3位の強豪である。渡邊不在で奮闘したのは富永で、両チーム最多の33得点をマークした。だが、85対99で試合終了を迎える。日本へベスト8で大会を終えることとなった。
アジアカップ終了後には、W杯アジア地区予選のWindow4に挑んだ。8月25日にテヘランへ乗り込み、アジアカップに続いてイランと対戦した。この試合には八村、渡邉、アメリカの大学に属する富永は招集されなかった。また、ホーバスHCは母国アメリカの政府がイランへの渡航禁止を定めていることなどを勘案し、チームに帯同しなかった。
イランとは8月13、14日に日本国内で強化試合を行ない、若手主体の相手に連勝していた。しかし、W杯予選Window4では、68対79で競り負けた。
その後はカザフスタンにホーム、アウェイで連勝し、バーレーンを敵地で下した。2次リーグのグループではオーストラリア、中国、イランに次ぐ4位で、カザフスタンとバーレーンを上回っている状況だ。
女子日本代表を東京五輪銀メダルへ導いたホーバスHCは、女子と同じように3ポイントやフリースローからの得点を増やすことに取り組んでいる。22年は八村らの海外組が不在(または部分的合流)ということもあり、チーム作りに難しさも伴った。
それでも、29歳の富樫と21歳の河村がポイントガードの2枚看板となっている。また、アジアカップでインパクトを残した河村が、同大会後にFIBA選出の「将来有望な若手選手」にピックアップされた。戦力の底上げは進んでいる。
23年8月から9月にかけて開催されるW杯では、パリ五輪の出場権を得られるアジア最上位を目ざす。ホーバスHCは「アジアで1位になるために、我々が生きる道が少しずつ分かってきました」と話す。来夏の大一番へ向けて、日本代表の強化は続いていく。
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