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other2024.02.21

新たな高みを目ざして!バスケ男子日本代表が動き出した

河村勇輝選手は「チームの連携を高めていける2試合にしたい。結果も大事なのでチームとして成長できるように」と意気込みを語った。

新章、突入──。

パリ五輪イヤー初の活動を行なっているバスケットボール男子日本代表が、2月16日にトレーニングを公開した。

練習後にはトム・ホーバスHC(ヘッドコーチ)と選手たちが、詰めかけた報道陣の取材に応じた。昨夏のW杯後初の活動ということで、ホーバスHCは「選手たちにすごく会いたかった。Bリーグがシーズン中でみんなちょっと疲れているけど、チームの雰囲気はすごくいい」と笑みを浮かべた。

今回の活動は、『FIBA アジアカップ 2025 予選1次ラウンド Window1』の男子グアム代表戦、男子中国代表戦を念頭に置いたものだ。グアム戦は2月22日、中国戦は同25日に行なわれる。

キャプテンのPG富樫勇樹は、「W杯が終わってから初めての合宿で、かなり時間が空いたなという感覚がある」と切り出した。今回の2試合について問われると、表情を引き締めた。

「パリ五輪前に親善試合があるとは思いますけど、(それ以前に試合のある)ウインドーはこれだけなので、パリ五輪へ向けてトムさんのバスケが始まる、という感覚なのかと僕は思っている。チームとしてもいい練習ができています」

パリ五輪での目標は「ベスト8」に設定された。パリ以外の都市で行なわれる予選リーグを勝ち抜き、開催都市のコートに立つとの強い意思が共有された。

ホーバスHCの言葉が、熱を帯びる。

「目標はパリで試合したい。トップ8へ行きたい。そこからまた、新しい目標を作ります。今日、スタッフや富樫と話した。アメリカへ行ったときには(渡邊)雄太とも話して、彼もその目標は好きだと。簡単なことじゃないですけど、できると思います」

選手たちの心にも、スイッチが入った。PG河村勇輝が言う。

「トムさんや勇樹さん、スタッフのみなさんでしっかり考えて出した目標だと思います。ホントに簡単ではないですが、出場する12チームのなかでしっかりと予選リーグを勝ち上がって、パリに行くというのはすごくいいモチベーションになるんじゃないかなと思う。その目標に向けて、いい準備ができれば」


トム・ホーバスHCは「パリ五輪ではベスト8に入りたい。簡単なことじゃないけど、できると思います」と力強く話した。


野心的なターゲットへ向けた準備の第一歩が、グアム戦と中国戦になる。富樫は21年11月の中国戦に触れた。ホーバスHCの初陣で、連敗を喫した記憶を呼び起こした。

「トムさんの体制での初戦が仙台での中国戦で、何もできなかった印象がある。そこからどう成長できているのかというのも、楽しみではあります。あの2試合はすごく記憶に残っているので、しっかりリベンジしたい気持ちはあります」

SG比江島慎も、21年の中国戦では悔しさを噛み締めた。

「パリ五輪へ向けて、1試合も無駄にできません。W杯の課題と反省点を意識しながらやっていきたいし、中国には前回負けているので、結果にこだわって勝ちたい」

打倒・中国の具体的なイメージも描いている。比江島が続けた。

「W杯のような自分たちがしかけるディフェンスをやっていければ。あとは、リバウンドをしっかり取りきれるか。しっかり取って速い展開へ持っていければ、問題なく戦えるんじゃないかと思うので。リバウンドは難しいところはあるんですけど、そこはチーム全体でやっていきたい」

河村は21年の試合に出場していない。それでも、中国戦への思いは熱い。パリ五輪への大切な通過点と位置づけている。

「僕はそのときいなかったですけど、トムさんの初めての試合で大敗をしたと聞いていて、中国はすごく強いイメージがあります。ホントに高さがあって、そこをしっかりとアドバンテージとしてくるクレバーさもあるチームかなと思うので。でもやっぱり、中国相手にしっかりと自分たちのバスケができて、勝っていかないと、パリ五輪での目標は達成できないと思うんです。それも含めて自分たちの強さの証明だったり、これまでやってきたことの積み重ねというものを、中国戦で出せればなと思っています」

自らの役割は整理されている。

「トムさんから求められているのは、まずはオールコートでの激しいディフェンスで相手のリズムを崩すこと。そこはやはりすごく求められている部分だと思う。オフェンスではトランジションだったりとか、速い展開を作っていくことだったりがトムさんのバスケットで、そこは僕の得意分野でもあります。オフェンスでもディフェンスでも、引っ張っていければと思います」


経験豊富な比江島選手は「トムさんはその時に調子のいい選手を選ぶ。パリへは危機感を持ってチャレンジしながらやっていいきたい」。


今回のグアム戦と中国戦は、短い準備期間で臨むことになる。初招集の選手もいるなかで、新戦力のテストとチームの積み上げのどちらに比重が置かれるのか。ホーバスHCは「両方、両方」と迷わずに答える。

「この合宿がパリへの最初のステージです。W杯よりも準備が短いし、メンバーも違うので、ワールドカップよりいいバスケができるかは分からない。けれど、ちょっとでもステップアップしたい。下がりたくはない。中国には勝ちたい。パリ五輪の出場を決めて選手は自信をつかんだけど、中国に勝ったらさらに自信になる」

バスケットボール女子日本代表も、過日の世界最終予選でパリ五輪出場を勝ち取った。男女揃っての出場となることも、選手たちの意欲を高めているのだろう。富樫はこう話す。

「女子は東京五輪の銀メダルもそうですし、今回3大会連続で五輪に出場するということで、しっかり結果を残している。一緒に出場できるのは素晴らしいことですし、女子のみなさんの活躍に刺激をもらって、男子も出場することに満足せずに、次は結果を残すという目標へ向かってやっていきたいです」

世界のベスト8入りを果たすには、昨夏のW杯で敗れたドイツやオーストラリアと同レベルの国から、勝利をつかまなければならない。河村の瞳に闘志が宿った。

「それも日本男子バスケの挑戦になると思いますし、120パーセント以上の力を出さないといけないと思っています。その120パーセントを出すための準備を、今回の2試合もそうですし、合宿の練習もそうですし、チームとしてしっかり目的を持って、個人としてもそれに向けていい準備をしたいです」

バスケットボール男子日本代表の新章は、どんなストーリーとなるのか。グアム戦、中国戦から、見逃せない戦いが始まる。


今回の2試合は渡邊雄太選手らが不在だが、富樫選手は「それは勝敗の言い訳にはならない。このメンバーでしっかりと勝ちたい」。
 


注)FIBAアジアカップ2025の予選1次ラウンドは4チームずつ6グループで争われ、日本は中国、グアム、モンゴルと同グループに。各グループの上位2チームが出場を確定。3位チームは2次ラウンドで2グループに分かれて総当たり戦を行ない、 各グループ上位2チームが出場権を得る。

今回のWindow1では、2月22日(木)19時05分開始で男子グアム代表戦、同25日(日)14時開始で男子中国代表戦が行なわれる。会場は有明コロシアム(東京)だ。

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