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other2024.10.08

Alpen TOKYOでのイベントで語る、卓球、金メダリスト水谷隼が振り返る現役時代と今後の卓球界について

AlpenTOKYOは9月14日(土)フィットネスブランドuFitの製品販売を記念し、uFitのアンバサダーであり、元卓球男子日本代表で金メダリストの水谷隼さんをゲストに迎え、トークイベントを開催した。水谷さんはファンから寄せられる質問に丁寧に答えつつ、イベント終盤には、水谷さんの直筆サインが当たるじゃんけん大会を行い、ファンとの交流を深めた。


――キャスターとしてパリ五輪の感想は?

北京五輪から4大会連続選手として五輪に出場し、今回はじめてメインキャスターとして外から五輪を見る機会をいただきました。印象的だったのは男子体操。エースがミスをしてしまって、メダルは厳しいかなというところから大逆転の金メダル獲得。そういう奇跡を起こすことができる舞台が五輪なんだと改めて感じました。

卓球男子は残念ながらメダル獲得とはなりませんでした。これから辛い4年間になると思いますが、次のロサンゼルスでリベンジを果たしてほしいと思います。女子は、見事シングルスで銅メダル獲得。団体戦では見事に銀メダルを獲得しています。今回、張本美和選手が大活躍でしたが、次のロサンゼルスも期待できるんじゃないでしょうか。


――メダルが獲れた時と獲れなかった時の違いは?

本当に天国と地獄くらい違います。パリ五輪が終わってから卓球男子をテレビで見ましたか? ほとんど無いと思います。これが現実なんです。体操や柔道の選手はかなり出ています。週1回2回は当たり前ですし、下手したらメダリストが紅白の審査員になるかもしれない。卓球の男子が出るということは絶対にないと思います。それくらいメダルを獲るか獲らないかは大きく違います。選手もそうですし、家族もスポンサーも、これからのスポーツの発展にも大きく関わってくる。そういう意味でも卓球男子がメダルを獲れなかったのは、残念ですけれど、この悔しい気持ちが次の強さに必ずつながるので、今回五輪を経験できたことは選手にとって非常に大きかったんじゃないかと思います。


――引退後、各種メディアで活躍されていますが、現在の姿を当時想像できましたか?

1990年代から2008年くらいまでですかね。愛ちゃんがはじめたくらいの卓球界って根暗って呼ばれていて、卓球部ということすらなかなか言えない時代でした。僕も卓球をはじめた当時は色んな人にバカにされ続けてきました。「なんで卓球やってるの?」って。散々バカにされて、僕は卓球界のそういう悔しい、苦しい現況をいつか見返してやりたいと小学生の頃から思っていた。だから、とにかく自分が活躍して、メディアに出ていくことで競技の人気が出たり、自分自身にフォーカスされて卓球に注目が集まることが重要でした。五輪に出たくらいからは、色んなメダルを獲ってメディアに出ることで、人気を博すスポーツにしたいと思っていました。


――五輪の大舞台で戦う時は、どのようにメンタルや体調を整えますか?

五輪は4年に1回しかない。そこにピークを合わせるって本当に難しい。だからこそ、優勝候補の人が負けたり、逆にそんなに期待されていなかったけれど金メダルを獲る人がいる。僕の中では五輪を一度でも経験していると、すごく強くメンタルを保てるのではと思います。初出場だと五輪に対する意識が強くなってしまって、試合前に練習を無理してオーバーワークになったり、過度に緊張して筋肉が固まり、いいパフォーマンスができなくなったりする。

コンディションをどうつくるかとなった時、僕は「普通が一番」と言っています。いかに平常心で五輪を迎えられるかが大事です。体調を崩してしまう原因は、五輪だから頑張らないといけないと力んでしまうため。後悔したくないからこそ、完璧に準備しようとして自分の許容範囲を超えてしまう。それが怪我につながったり、焦りにつながる。ですので、五輪に関しては、徐々に自分のレベルをあげていって、1年とか2年スパンで調整をし、最終的にいつも通りの状態で迎えるのがいいのではないかと思います。


――対戦相手の応援が多い試合の時、どのようにメンタルを保ちますか?

正直、アウェイな試合もたくさんありますけれど、一人でもファンがいてくれたらすごく力になるんですね。卓球が注目されない時代を過ごしてきたので、例えアンチでも卓球に興味を持ってくれる人がいるだけで嬉しいです。

あと、僕はプロレスがすごく好きで、よく見に行っているんですが、プロレスこそブーイングが当たり前にあるじゃないですか。僕は悪役の選手が好きで、すごいブーイングの中でも輝いているレスラーを見ると、また違った味があって素晴らしいと思います。


トーク後は会場全体でじゃんけん大会。水谷さんとじゃんけんをし、勝ち抜いた6名に水谷さんがその場でサインをしてくれる。さらに会場にいた参加者全員とツーショットを撮るというファンサービスも満載で、自身でも「皆さんとの距離がより縮まった」と振り返った。


イベント後は、アルペングループマガジンの独占インタビューにも応えてくださった水谷隼さん。日頃のトレーニングやケア方法など、気になるポイントを深掘っていこう。


――東京五輪では、目に不調のある中、金メダルを獲得されました。当時を振り返って、ご自身で勝因は何だと思いますか?

奇跡を起こせた原因は、この長い卓球人生で毎日継続して、努力を積み重ねていった結果だと思います。本当に五輪を迎える過程で大変なことがたくさんありましたし、そこで諦めずに努力しつづけたことが、ああいう奇跡的な結果を生み出したのだと思います。今、同じことをやってと言われたら絶対できないけれど、あの時はあの時で頑張れる何かがあって、本当に最後まで諦めずに取り組むことができて、昔の自分をめちゃくちゃ尊敬しますね。昔の自分、すごいなって言いたいです(笑)。


――現役時代は自費でコーチを雇うなど今までにない試みをされていました。そのような行動の原動力はなんだと思いますか?

勝ちたいから。自分が世界一になりたいからです。今まで先輩たちが通ってきた道を追いかけても、先輩たちと同じ結果しか生まれないので。自分は誰もチャレンジしたことのない海外だったり、プライベートコーチだったり、チャレンジをどんどんどんどん続けていかないと人と違う結果は生み出せないと思っていました。そういうところが原動力になっていたと思います。


――勝つための準備として身体のケアで気を付けていることは?

日頃から身体を鍛えること、怪我しない丈夫な身体をつくることです。僕はウォームアップでチューブを使って、トレーニングをして怪我の予防をしていました。自分がどういう風にやったら怪我しないのかを認識しておくことが大事です。そして、試合が終わった後はいち早くアイシング。燃焼している筋肉を冷やします。練習後は身体に乳酸をためないようにクールダウンとケアをしっかり行う。場合によっては、アイスバスに入って、次の日に疲れを残さないようにします。五輪の時は朝お風呂に入っていました。朝起きて身体が硬い状態で練習すると怪我しやすいので、身体をほぐして温かい状態で練習に行く。

引退後は、uFitのマッサージガンも使っています。最近、趣味でゴルフをやっていて、肩のまわりや、太ももに張りが出たりするので、そういう時にすごく愛用させていただいています。


――卓球選手を目指す学生が取り組んでおくべきことは?

体幹トレーニングですね。インナーマッスルを鍛えるのが重要で、体幹を鍛えると身体の軸がしっかりし、睡眠の質向上にもつながります。毎日つづけられるトレーニングで、そこまで身体に大きな負荷がかからないので、ぜひやっていただきたい。継続すれば身体が劇的に変化すると思います。

食事は、タンパク質をたくさん摂る。例えば鶏肉を食べるにしても鶏ももじゃなくて、鶏むね肉。ステーキを食べるとなったらヒレのステーキを選ぶ。できる限りタンパク質を多めにとって糖質をとらない。当たり前のことを当たり前にやるだけです。


――今後、卓球界にどう貢献したいですか?

引退してからメディア露出がすごく増えました。テレビやネット配信の影響力というのは大きいのでチャンスがあればテレビ番組も継続して出ていきたいです。やっぱり水谷といえば卓球だとみんなには認識されているので、自分がそういう風に表立って活動することが卓球界のためになっているんじゃないかと思います。

現役時代はさることながら、引退後も勢力的に活躍されている水谷さん。選手時代とは違った目線で今後も卓球界を見守ってくれそうだ。

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