「非日常」のアリーナでBリーグの熱を体感せよ!
そこには、「非日常」が広がっている。
10月27日、『りそなグループ B.LEAGUE 2024-25 B1リーグ戦 第5節 GAME2』のアルバルク東京対佐賀バルーナーズ戦が開催された。舞台はアリーナ立川立飛だ。
3千人強収容のこぢんまりとしたアリーナは、臨場感が格別だ。アリーナへ一歩足を踏み入れた瞬間から、全身が熱気に包まれる。
選手を間近に感じられるのは、ベンチサイドやコートサイドだけではない。1階のどの席でも、もっと言えば2階席でも、コート上の熱がダイレクトに伝わってくる。
バスケットボールシューズがコート上を滑る「キュッ」という音が、ネットにボールが吸い込まれる「パサッ」という音が、アリーナのどこにいても聞き取れる。試合前のウォーミングアップから、観客はコートから視線を離すことができない、と言っていいほどだ。
アリーナ内は、アルバルク東京のメインカラー「ALVARK RED」で統一されている。赤いウェアを着た来場者も多い。それが、アリーナ全体に一体感を生み出していく。
15時5分にティップオフされた試合は、アルバルク東京の得点で動き出す。テーブス海選手のアシストから、ライアン・ロシター選手がレイアップシュートを決めた。
デイニアス・アドマイティスHCが「第1クォーターの出だしが非常に良かった。とくにディフェンスから良い流れを作って、オフェンスでもリズム良く第1クォーターを終えられました」と振り返ったように、アルバルク東京はその後も得点を重ねていく。
オフェンス時は「Let‘s go TOKYO!」と「TOKYO Go!」のコールが、ディフェンス時は「ディーーフェンス!」のコールが、アリーナを包む。選手たちを後押しする。佐賀バルーナーズのシュートが何度となくリングに嫌われているのも、観衆の声援がプレッシャーとなったからかもしれない。
第1クォーターを24対10で終えると、第2クォーター終了時は46対28とさらにリードを拡げた。ここまで7勝1敗と好スタートを切り、前日も佐賀バルーナーズを79対74で振り切ったアルバルク東京は、この日も高いパフォーマンスを発揮している。
小酒部選手は攻めの姿勢でチームを牽引
第2クォーター後のオフィシャルタイムアウトでは、アルバルクチアリーダーのハロウィンスペシャルパフォーマンスが繰り広げられた。キレキレの動きが、観衆を惹きつける。自席から離れることなく、パフォーマンスを見つめる観衆も多かった。
アリーナ内ではピザやドーナツなどが販売され、アリーナ外ではキッチンカーが美味しそうな香りを漂わせている。試合だけでなくグルメを堪能できるのも、アリーナ観戦の楽しみのひとつだ。
第3クォーターの開始が、ゴールネットの調整で遅れた。選手も観衆も手持ち無沙汰になってしまうが、アリーナMCがすかさず反応して観衆を盛り上げる。アルバルクチアリーダーも加わり、スタジアムの熱を保っていく。タイムテーブルに書き込まれていない即興の演出が、第3クォーターへの期待感を高めていった。
第3クォーターを67対50で終えると、第4クォーターはセバスチャン・サイズ選手のレイアップとジャンプショットで71対50とする。さらにレオナルド・メインデル選手、平岩玄選手、小酒部泰暉選手、ザック・バランスキー選手がポイントをあげる。最終的には79対66で勝利を収めた。アルバルク東京は通算成績を8勝1敗とし、中地区の首位をキープした。
試合後のコート上では、アドマイティスHCと選手のインタビューが行なわれた。試合後すぐに彼らの生の声を、しかも間近で聞くことができるのは、アリーナへ足を運んだ人たちの特典と言っていいだろう。
アドマイティスHCは「スタートから出た選手も、ベンチから出た選手も、プレータイムがかなりあったと思いますが、全員が本当に良い仕事をしてくれたと思います」と振り返った。観客席へ視線を移して「今日もたくさんの応援、ありがとうございました」と話すと、アリーナ全体が大きな拍手に包まれた。
続いて、平岩選手がマイクを握った。シーソーゲームとなった前日の試合を受けて、「昨日の試合は勝ちましたが、良い流れではなかったということで、今日はみんなが出だしから流れを作って、最後までその流れを続けられたことは良かったと思います」と、プレーが改善されたことをあげた。
自身は第4クォーターの10分間プレーした。
「チーム全員がつないでいって僕の時間を作ってくれたので、それに応えたいと思って試合に入りました。まだまだできることはあるので、それに甘んじないで頑張ろうと思います」
チームを後押ししてくれたファンにも感謝を伝えた。素敵なメッセージに、歓声が沸き上がった。
「いつも応援というプレゼントをもらっているので、今日は勝利をプレゼントできて良かったです。また来週からアウェイでの戦いが始まります。しっかり戦いますので、引き続き応援よろしくお願いします」
グダイティス選手は12得点5リバウンドを記録
続いて、アルトゥーラス・グダイティス選手があいさつをした。2メートル11センチのビッグマンは、サイズ選手に続く12得点と、5リバウンドを記録した。「コンニチハ」と日本語で挨拶し、英語で思いを語っていく。
「日々練習してきたこと、勢いを消さずにプレーすることをチーム全体で心がけていて、それが今日はできたと思います。土日の連戦のゲームの2戦目で、今日はスターティング5が良い形で流れを作ってくれたので、ベンチから出る自分たちはその良い流れを切らずに、積極的にプレーしてリードを広げていくことができました」
グダイティス選手も、観衆への感謝を口にした。
「みなさんのサポートに感謝します。今日も応援ありがとうございました」
インタビューが終わると、選手たちはコートを一周した。配信サービス「バスケットLIVE」を活用した『ON FIRE賞』に選ばれた小酒部選手は、サイン入りのフリスビーを観客席へていねいに投げ入れた。
この日のアリーナには、家族連れやカップル、若い女性のグループや男子学生といったように、年齢や性別を問わずに様々な層の観客が訪れていた。白髪のご夫婦や外国人のグループ、ひとりで観戦する男性もいた。
友人と観戦に来たという30代の男性は、「アリーナに来ると、テンションが上がります。配信でも観ますけれど、時間がある時はアリーナに来ますね」と言う。「アルバルクの中地区は厳しいですけど、この調子でプレーオフに進出してほしい」と期待を込めて話した。
小学4年生と1年生の子どもを連れてきたお母さんは、「上の子がバスケが好きなんです。下の子はマスコットキャラクターのルークがお気に入りで。子どもたちと一緒に何度か来ているうちに、私もアルバルク東京が好きになりました」と笑みを浮かべた。「12月にもホームゲームを観に行く予定なんです」と、子どもたちと頷き合った。
熱気に包まれるBリーグのアリーナでは、「非日常」と呼べる特別な時間を楽しむことができる。
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