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outdoor2023.08.17

安全に登山を楽しむために。登山届(登山計画書)を作成しよう!

登山やトレッキングを安全に楽しむために、作成・提出しておきたいのが登山届(登山計画書)です。万が一の時に役立つ重要なものですが、「低山登山だから」「トレッキングだから」といった理由で、作成・提出したことがない方も多いのではないでしょうか。
ここでは、登山届の必要性や作り方、提出の仕方などをご紹介します。

 

【目次】

■登山届が必要な理由は?

■登山届の提出が義務化されている山域も

■登山届の書き方

・計画に必要な情報を集める

・登山届に書く内容

■登山届を提出する方法

・警察に提出する

・登山ポストに投函する

・オンラインで提出する

・家族や職場に共有することも重要

■トレッキングでも登山届の提出は忘れずに

 

■登山届が必要な理由は?

登山届(登山計画書)とは、登山を行う日時や参加するメンバー、ルートといった登山計画を記載する書類です。入山届や登山者カードなどと呼ばれることもあります。
基本的には提出しなくても入山できる山が多いので、提出したことがない方もいらっしゃるでしょう。

警察庁の発表によると、2022年の山岳遭難は3,015件(遭難者3,506人)、そのうち死者・行方不明者は327人でした。※
遭難と聞くと標高が高く険しい山で起こるイメージを持ちがちですが、低山や比較的登りやすいとされる山でも発生しています。

万が一遭難した時に、役に立つのが登山届です。登山届を提出しておらず、家族や知人にも行き先やルートを告げていないと、どこをどれくらいの時間で歩く予定だったのか判断できません。
捜索範囲を絞ることができないので、救助の難易度が上がってしまうのです。死亡・行方不明といった最悪の事態に陥るリスクを下げるために、登山届は作成・提出しておく必要があるといえます。

また、登山届にはルートや入山日時、経由地への到達予定日時といった情報を書き込みます。登山届を作成する過程で、ルートを調べ直したり、行程に無理がないか再確認したりできる点もメリットです。

※出典:警察庁「令和4年における山岳遭難の概況」

https://www.npa.go.jp/publications/statistics/…

 

■登山届の提出が義務化されている山域も

一部の県や山域では、登山者の遭難防止や遭難後の対策の一環として、登山届の提出を義務化しています。群馬県の谷川岳や、富山県の剣岳、長野県の北アルプス、八ケ岳、南アルプスなどが一例です。
これらの山域は、登山届の提出を怠ると罰金が科されることもあるので注意しましょう。

ただし、提出が義務化されていない山域も、「遭難の恐れがなく、登山届を出さなくても安心して登山を楽しめる」わけではありません。
山に入る際は、基本的には登山届を提出することを心がけましょう。

 

■登山届の書き方

登山届の書き方

 

登山届は山登りの際に用意しておきたい書類です。しかし、どのように作れば良いのかわからない方が多いかもしれません。
登山届の作り方の流れと、記載する内容の例をご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

 

・計画に必要な情報を集める

登山届には、ルートや行動時間などの情報を記載します。行きたい山を決めたら、最初に計画に必要な情報を調べることが大切です。
具体的には、以下の点を確認しておくことをおすすめします。

【登山口から下山口までのルート】
市販されている登山用の地図などを使って、登山口から下山口までのルートを調べましょう。コースの歩行時間や難所の有無などを確認して、入山予定地や下山予定地、中継地点を決めます。
ルート上にある水場や分岐点も確認しておくと安心です。

また、ルートが決まったら、想定する歩行時間から、入山と下山の予定時間を決めておくことも重要です。

【エスケープルート】
登山・トレッキング中に天気が急変したり、体調を崩したりすることも考えられます。アクシデントに備えて、安全かつ迅速に下山できるエスケープルートも確認してください。
エスケープルートがない山は、ある地点から引き返すとどれくらいの時間がかかるか調べておくのが有効です。

【必要な装備】
山域やルート、行動時間などが決まったら、用意する装備を考えます。基本的な装備に加えて、季節に合わせた防寒具が必要か、ヘルメット着用が義務になっているかなども確認しておくと安心です。

 

・登山届に書く内容

登山届には決まった形式がありません。各々が自由に作成して提出できるものの、記入内容が不十分だと捜索の役に立たない恐れがあります。以下の内容は、最低限記載しておきましょう。

【登山行程】
入山日時や下山予定日時、頂上などの経由地への到達予定時刻などを記載します。宿泊を伴う場合は、宿泊場所の記載も必要です。

【登山者の情報】
登山者全員の氏名や性別、年齢、住所、電話番号、血液型、緊急連絡先も、記載してください。必ずメンバー全員の情報を記載しましょう。

【登山する山(山域)の名前】
遭難が発生すると、山域を管轄する警察署が捜索活動を行います。スムーズに登山届が警察に共有されるためにも、登る山の名前も欠かせません。

【登山コース】
入山予定地や経由地、下山予定地、エスケープルートなどを記載します。予定しているコースの簡単な図を描いておくのがおすすめです。

【装備や服装】
登山者がどのような装備や服装をしているかも、捜索時の助けになります。特に、テントやエマージェンシーシートを持っているか、食料は何日分あるのかといった情報は、遭難者がどれくらい持ちこたえられるか判断する基準になるため、忘れずに記載しておきましょう。

各自治体や地域がテンプレートを配布していることもあるので、参考にしてみてください。

 

■登山届を提出する方法

登山届を提出する方法

 

作成した登山届は、どこに、どのように提出すれば良いのでしょうか。登山届の提出方法を、3つご紹介します。
ただし、具体的な提出方法は登山・トレッキングを行う地域によって異なります。事前に、各自治体や管轄の警察署などで確認してください。

 

・警察に提出する

作成した登山届は、トレッキングを行う山域を管轄する警察署に提出するのが基本です。郵送やFAX、メール送信、専用のウェブサイトから登録など、複数の提出方法が用意されています。
登山口近くの交番に提出することも可能です。

「登山予定日の1週間前までに提出」など、地域によっては期日を設けていることもあります。詳細については、事前に確認しておくと安心です。

 

・登山ポストに投函する

一部の山の登山口などに設置された「登山ポスト」に投函する方法でも問題ありません。現地に用紙が用意されていない可能性もあるため、自宅で書いた登山届を持って行きましょう。

ただし、登山ポストに投函した登山届は、リアルタイムで回収されるわけではありません。登山口によっては、遭難の報告から登山届の回収までに時間がかかることも考えられます。
情報共有にタイムラグが生じる可能性がある点には注意してください。

 

・オンラインで提出する

近年は、オンライン上で登山届を提出できるサービスも提供されています。提携している自治体も多いので、それらのサービスを活用するのも良いでしょう。
例えば、長野県は「コンパス」というサービスを、登山届のみなし提出先として認定しています。コンパスに登山届を登録すれば、警察署や登山ポストに登山届を出す必要はありません。

 

・家族や職場に共有することも重要

登山届を提出した警察や自治体は、登山者が入山したことは把握しますが、無事に下山したかどうかまでは原則として確認しません。万が一、遭難やけがといった事故が発生した時は、家族や友人からの通報をきっかけに捜索が始められます。

つまり、登山届を提出したとしても、「帰ってこない」「連絡がつかない」といった通報がなければ意味はないということです。家族や友人、職場の知人といった連絡を取りやすい人に、警察に提出したものと同じ登山届を共有しておきましょう。

また、下山した後の連絡を怠ると、不安に思った知人が警察に通報することも考えられます。無事に下山した後は、知らせておいた家族や知人に必ず連絡を入れることも重要です。

 

■トレッキングでも登山届の提出は忘れずに

自然を相手に楽しむ登山・トレッキングといったアクティビティは、ふとしたことがきっかけで遭難する恐れがあります。低山や難易度が低いとされる山でも、遭難事故は発生するものです。
「トレッキングだから」と甘く考えるのではなく、万が一に備えて万全の準備を整えておく必要があります。
ご紹介した内容を参考に、山登りを行う方は登山届の作成・提出を習慣にしてみてはいかがでしょうか。

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