ソロ登山を始めたい方必見! 安全に楽しむために知っておきたい注意点
アウトドアブームが続く中で、一人で登山を楽しんでみたいと考えている方もいらっしゃるでしょう。ソロ登山(単独登山)は魅力的なアウトドアアクティビティである反面危険も多く、チャレンジする場合は注意が必要です。
ここでは、ソロ登山にチャレンジしてみたい方に向けて、ソロ登山の魅力や注意点、行いたい準備などをご紹介します。
【目次】
■ソロ登山の魅力
ソロ登山(単独登山)は、自分一人で山頂を目指すアクティビティです。他の誰かと一緒に行動しないので、自分の好きなタイミングで休憩を取ったり、食事をしたり、歩くスピードを決めたりできます。登山を行う日程や登る山も、知人などとすり合わせを行う必要はありません。自分の好きなタイミングで行きたい山に登れます。
また、ソロ登山では自分一人ですべてをやりきることになります。普段の登山とは異なる、大きな達成感を味わえるのも、ソロ登山の魅力といえるでしょう。
■事前に知っておきたいソロ登山の危険性
自分一人ですべてを決められる一方で、ソロ登山ならではの危険が多いのも事実です。ソロ登山を行う前に、その危険性を知っておきましょう。考えられる危険としては、次の点が挙げられます。
・遭難しても気付かれづらい
ソロ登山で最も危険なのが、滑落や遭難、怪我をした場合です。複数人で一緒に登山を行うグループ登山なら、無事だった人が通報できるかもしれません。
しかし、ソロ登山の場合は、滑落したり遭難したりしても周囲に他の登山客がいないと気付かれず、通報が遅れる恐れがあります。
警察庁の資料によると、令和2年(2020年)の複数登山者の遭難は死者の割合が6%なのに対して、単独登山者だと13.3%まで跳ね上がります。行方不明者の割合も、複数登山は0.6%、単独登山は約4倍の2.6%です。※
自分一人で助けを求めたり怪我の手当てを行ったりしなければいけないため、死亡事故につながりやすく、難易度が高いといえるでしょう。
※出典:警察庁「令和2年における山岳遭難の概況」
https://www.npa.go.jp/publications/statistics/safetylife/chiiki/R02sangakusounan_gaikyou.pdf
・装備をシェアできない
クッカーやテントなど、登山用の装備にはグループ全体でシェアできるアイテムも多いです。ソロ登山では、グループならシェアして持ち運べる装備を、自分一人ですべて背負う必要があります。
テント泊を伴う場合はテントや寝具などの用意も必要になるので、さらに装備の重量が増します。少しでも身軽な状態で挑みたい登山において、持ち運ぶ装備の重量が増えるのは大きなデメリットになるでしょう。
・判断力を求められ登山経験が必須
登山のシーンでは、どこで休憩するのか、悪天候の中で進むのか下山するのか、どのルートを取るのかなど、さまざまな状況判断が求められます。
グループ登山なら、複数人で話し合ったうえで最終的な判断を下せます。複数人で決めたことが絶対に正しいとは限りませんが、無謀な判断をするリスクは下げられるはずです。
すべての判断が自分に委ねられるソロ登山では、自身の体力や天候などといったさまざまな状況を踏まえて、的確に判断できるだけの登山経験が欠かせません。
・他の登山者とのトラブルになる場合も
登山をしている際に、他の登山者から声をかけられることも考えられます。異性の登山者に絡まれたり後をつけられたりして、トラブルになる可能性も捨てきれません。
特に、女性の登山者がソロでテント泊を行う場合は注意が必要です。女性に限らず男性も含めて、テントは人が多い場所に設営する、なるべく人が多い登山道を選ぶなど、不審者への対策を行っておきましょう。
■最低限準備したいアイテム
ソロ登山を少しでも安全に楽しむためには、最低限の登山アイテムの用意は必須です。中でも、登山における三種の神器と呼ばれる登山靴、ザック、レインウェアの3つは必ず用意しておきましょう。
【登山靴】
山道を歩く際は、普段使いしているようなスニーカーだと、滑ったり靴が壊れたりする可能性が高く危険です。自身の足のサイズに合っていて、防水性や滑りづらさに優れている登山靴(トレッキングシューズ)を用意する必要があります。
【ザック】
両手を空けてたくさんの荷物を持てるザック(リュック)も必須です。必要な容量はテント泊を行うのかなどによって異なりますが、グループ登山時より少し大きめのものを用意すると良いでしょう。軽く頑丈かどうか、ベルトで体と密着させられるかも確認しておくと便利です。
【レインウェア】
山の天気は変わりやすいため、晴れ予報だったとしてもレインウェアを持参するのがおすすめです。防寒具として活用することもできます。水を弾く防水性と、蒸気を外に排出する透湿性に優れている商品だと快適です。
宿泊を伴う場合は、テントやシュラフ(寝袋)も必要です。また、他にも用意しておきたいアイテムの一例として、以下のものが挙げられます。
【ソロ登山時に用意したいアイテムの一例】
ヘッドランプ、救急キット、行動食と水、地図、コンパス、ライター(マッチ)、モバイルバッテリー
■安全に登山を楽しむためのポイント
安全にソロ登山を行うためには、アイテムを用意する以外にも確認しておきたいポイントがいくつかあります。ソロ登山にチャレンジしようと考えている方は、以下の点も確認しておくことが大切です。
・山用の服装を用意する
服装を間違えると快適に登山を行えないだけでなく、最悪の場合は低体温症に陥る可能があり危険です。登山に適した服装を用意する必要があります。
基本的な服装のポイントは、ベース、ミドル、アウターの3層に分けて重ね着(レイヤリング)することです。直接肌に触れるベースは吸汗速乾性や伸縮性、ミドルは軽さと保温性、アウターは防水性に優れたものを選ぶと良いでしょう。
山用の服を選ぶ際は、綿(コットン)素材の服を避けることも大切です。綿素材は乾きづらいため、汗を吸った衣服が体を冷やしてしまう恐れがあります。
・人が多い山を選ぶ
登る山の選び方も重要なポイントです。できるだけ人気が高く、登山者が多い山を選ぶようにしましょう。万が一滑落や遭難をしても、人に気付いてもらえる可能性が高くなります。他の登山者とトラブルに陥った場合でも、通りがかった登山者が助けてくれるかもしれません。
また、あまり難易度が高くない山を選ぶと、より安心して登ることができます。標高が低めで標高差が少ない、登山ルートの歩行時間が短い、登山道が整備されているなどのポイントも抑えて、登る山を選ぶのがおすすめです。
・登山計画を立てる
登山を行う際は、どのルートで進み、どれくらいの時間で下山するのかといった、登山計画を立てることも大切です。家族や知人に登山計画を共有しておけば、万が一遭難した際にすぐ救助を要請してもらえる可能性があります。
登山ルートや歩行時間だけを考えるのではなく、怪我や悪天候などの緊急事態に備えて、避難場所や山小屋の位置を確認したり、エスケープルートを決めたりすることも欠かせません。
また、日没後の山は暗く足元が見にくいため危険です。早めに目的地に到着できるように、余裕を持って達成できる計画を立てましょう。
登山当日になったら、現地の天候なども踏まえてルートを再確認し、無理なく計画通りに登山できるか判断するのもポイントです。
■ソロ登山では万全の対策を行うことが大切
一人で山に登るソロ登山は、危険の多いアクティビティです。身を守るためには、しっかりと登山経験を積んだうえで、万全の準備を済ませておかなければいけません。
ただし、グループ登山では感じられない達成感があったり、自身の好きなように計画を立てられたりと、ソロ登山ならではの魅力も多くあります。登山経験を多く積んだ方は、人気が高く難易度の低い山から、ソロ登山にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
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