デサントの技術が詰まったデイリーウエア「THE ONE COLLECTION」がスポーツデポ・アルペン、アルペングループオンラインストア、デサントストア オンラインにて限定発売。
「DESCENTE ALLTERRAIN」や「DESCENTE PAUSE」といったファッション界からも高く評価されるハイスペックラインを展開する日本屈指のスポーツブランドである「デサント」。1935年からスポーツウェアを作り続けてきた名門のプライドと技術を結集した「THE ONE COLLECTION」は、2月より展開している、スポーツデポ・アルペン・デサントストア オンライン限定販売のシリーズだ。同シリーズは、ニューノーマルに対応する、快適かつ機能的なユーティリティウエアとして注目されている。
デサントのモノづくりを支える一つが、2018年に設立されたデサントの研究開発拠点「DISC」である。”デサント・イノベーション・スタジオ・コンプレックス”を由来とする通り、多岐に渡るイノベイティブな新商品の開発が行える複合施設で、最先端の設備が充実。世界一速いウェアを創るコンセプトを掲げ、全面ガラス張りの建物自体も共創を表現しており、各部署間には壁はおろかパーテーションすら存在しない。総員のコミュニケーションを促進し、迅速なアクションに繋げるためだ。
DISCのオフィスはフリーアドレス。部署を超えた交流を促すとともに、スムーズな連携を可能にする。
アイデアをすぐカタチにする事をコンセプトに設置されたプロダクションスタジオ。一般的ミシンだけでなく圧着式ミシンも備えており、浮かんだアイデアを工場に発注することなく、スピーディに試作品として具現化できる。
アスリートの様々な状態を計測できるスポーツサイエンスラボや、−30℃から60℃までの環境を設定できる人工気象室など、本格的設備が多数存在。後者には発汗サーマルマネキンや人工太陽も配置され、−20℃で行われたピョンチャンオリンピックウエアの開発に役立った。
DISCにはデサントアドバイザリースタッフの大谷翔平選手や、イタリアバレーボールリーグ・セリエAのミラノに所属する石川祐希選手など、多くのトップアスリートが訪れる。彼らから得られるデータを正確に収集検討し、いち早くウエアやギアに反映。選手たちのさらなる飛躍を支えるベースメントとしてDISCは機能し、そのノウハウはTHE ONE COLLECTIONをはじめ、一般に流通するアイテムにも落とし込まれる。
品質試験室では繰り返し落下させてバッグの耐久性をテストしたり、生地に光を照射して変色状態を確認したりと、工場顔負けの様々なクオリティチェックが可能。
そのデサントが満を持して発表したTHE ONE COLLECTION。生みの親である弘中貴大氏と木村 毅氏に、こだわりや開発秘話、展望などについて伺った。
弘中貴大/デサントジャパン株式会社 デサントマーケティング1部 マルチMD課 マーチャンダイザー
入社後、約6年の営業を経験したのちマルチトレーニングウエア開発担当に。現在も週に一回は店舗を訪れ、商品研究や訴求方法の探求に余念がない。
木村 毅/デサントジャパン株式会社 デサントマーケティング1部 マルチMD課 デザイナー
2012年に入社。春高バレーを含め、バレーボールウエアのデザインを手がけてきた。昨年より弘中氏とともにマルチトレーニングウエアの開発に専念している。
――THE ONE COLLECTIONとは?
弘中
「プロジェクトの始動は昨年4月。コロナ禍でのリモートワークが当たり前になってきた頃でした。私自身も在宅勤務でしたが、慣れない環境に加えて洋服に悩みが。普段着のデニムを穿いてデスクに座ると、どうも作業しにくい。自社製のスポーツウエアにすれば快適になる一方、そのまま買い物に出かけるにはスポーティすぎる。そのため、わざわざ着替えて玄関を出るわけです。すごく無駄でストレスを感じました。同時に可能性も。」
木村
「インドアを気持ち良く過ごせて、タウンでも違和感がないウエアなら効率が良くてノーストレス。時代のニーズをデサントのノウハウによって満たせないかと、新プロジェクトがスタートしました。それが、家でも外でも一着で叶うという意味が込められたTHE ONE COLLECTIONです。」
THE ONEのテーラードジャケットには特殊繊維で編んだデサントオリジナル素材、エアリートランスファーが採用されている。
弘中
「まずは素材のセレクト。我々はスポーツブランドですから適材適所のファブリック使いには自信があります。ただ、デイリーウエアの制作に関しては後発。スタイルに合う機能性を備えた素材を見つけ出すのに苦心しました。」
――特にこだわったポイントは?
2000倍までズームできるデジタルマイクロスコープ。モニターに映っている青の糸が通常の糸、黒の糸がエアリートランスファーの糸だ。エアリートランスファーは強く捲縮しているため伸張復元性が高い、また染色しやすいので他の化学繊維と比べるとコットンライクな深い色味の表現可能。
エアリートランスファーは1.5キロの分銅を1時間吊り下げて伸張させても、分銅を外すとすぐに回復。高いストレッチ性が認められている。
30mm/h・50mm/h・80mm/hの降雨環境をシミュレーションできるDISC内のレインチャンバーにて、エアリー トランスファーの撥水性をテスト。にわか雨程度なら水をはじいているのが確認できる。
木村
「コレクションを代表するといえるのが独自素材のエアリー トランスファー。ポリエステル100%でストレッチ性に優れ、非常に柔らかいのが特徴です。軽いのも大きな武器で、THE ONEではテーラードジャケットやシャツ類に採用。また素材にハリコシがあるので、綺麗なラインが出るんですよ。ポリウレタンを使っていないおかげで繰り返し洗濯しても劣化しにくく、安心して毎日着用できます。」
――スポーツに求められる機能をデイリーウエアに落とし込むのに苦労は?
弘中
「スポーツウエアは無駄を削ぎ落とすのが鉄則。例えば空気、水の抵抗を減らすため、切替えやステッチは極力省くんですよ。デサントの個性はそういった点にあると考え、THE ONEにもスポーツウエア的なミニマルな考え方を取り入れています。」
木村
「スポーツとは対極にあるテーラードジャケットもラペルをはじめ、多くの部分にステッチを入れていません。結果としてスッキリしたルックスに仕上がりました。もちろん、本来あるものを無くすのにはデメリットも生じます。カバーするためには見えない部分にステッチを施したり、縫製技術そのものを高めたりといった工夫も欠かせません。」
――日常的に使えるデザインも難問なのでは?
木村
「肌に近づけるのが理想であるスポーツウエアは基本的にタイトですからね。デイリーに着用するには動きやすさだけでなく、リラックスしている状態での快適さも考慮する必要があります。それにはゆったりめのシルエットが有効なのですが、バランスを間違えるとだらしなくなってしまう。ですから、上品さが欲しいボタンダウンシャツならば軽い素材でフォルムを出やすくし、衿はノーステッチ。ポケットもフラットにしてシャープに見えるよう計算しました。」
弘中
「全体的にシンプルで汎用性の高いデザインに仕上がっていると思います。水沢ダウンで知られるデサント オルテラインの洗練された空気感とシーンレスな普遍性を踏襲。しかし、決して無個性ではない絶妙なラインですね。また、全コレクション、ポケットの内側は抗菌メッシュ仕様なんです。これはマスクをしまうことを想定したアイデア。衛生への意識は今後も高いレベルが続くと思いますから、新型コロナウイルスの流行に関係なく便利なのでは? こういったさり気ないギミックもTHE ONEらしさかも知れません。」
木村
「あとはシンボルグラフィックですかね。一つを意味する一直線で外と家を描いています。コレクションロゴもNの字に1を組み合わせて個性的に。ウエアは最適な素材から組み立てられたのでまだスムーズに考えられましたが、何もない状態から作るグラフィックには大分悩まされました(笑)。」
――来シーズン以降の展開は?
弘中
「外せない要素がサスティナブル。再生素材の使用は絶対でしょうね。持続可能性を踏まえたエアリートランスファーのアップデート版も予定しています。」
木村
「今季のテーラードのような見た目しっかりで、着心地は快適なウエアを作り続けたいです。朝目覚めてから夜休むまで着たきりでいられる、文字通りTHE ONEなウエアをもっと多くの方に体感してもらえるよう頑張ります。」
弘中
「スポーツデポ・アルペンはお客様が多く、今までデサントを知らなかった方にも触れてもらう良い機会になると期待しています。スポーツを知る私たちだからこそ作り得た、心地良くてスタイリッシュなコレクション。ぜひ手に取ってもらいたいですね。」