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running2019.09.21

【MGCレポート】中村匠吾(富士通)が大激戦の男子MGCを制す。「自分自身のベストパフォーマンスができた」

(C)日本陸上競技連盟

男子のマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)が、明治神宮外苑を発着地点として、15日の8時52分にスタートした。レースはスタート直後から設楽悠太(27・Honda)が1人で抜け出し、第2グループが設楽を追う展開に。だが、37km過ぎに設楽を抜き去った中村匠吾(27・富士通)がMGCを見事に制し、服部勇馬(25・トヨタ自動車)が2位に入った。

出場した全30選手の中で、日本記録保持者の大迫傑(28・Nike)と前日本記録保持者の設楽が優勝候補本命で、2人に井上大仁(26・MHPS)と服部が続くというのが大方の予想となった。


(C)日本陸上競技連盟

8時52分にスタート。天候は晴れ、気温24℃。

「前半からいく」と宣言していた設楽が、スタート直後の100m付近から1人で飛び出し、1km時点で2位以下に15秒も差を広げる。優勝した中村は予想もしない展開に少々戸惑ったとのことだが、「誰も付いていかなかったので、最終的に42kmで勝負すればいい」と判断し、冷静に見極めながら走ったという。

5kmを14分56秒で通過した設楽はペースを上げて、第2グループに1分以上の差をつける。気温は27℃に上昇し、日差しが強く暑い。設楽は10kmを大迫の日本記録(2時間5分50秒)を上回るペースで越え、スローペースで走る後続との差は1分30秒以上に開く。

設楽の表情は明るく余裕があり、リズミカルに走る。このままいけば日本記録を塗り替えるかもしれない。

12.5kmの給水で山本憲二(29・マツダ)と神野大地(26・セルソース)が第2グループを抜け出すが、大迫、服部らが直ぐに追いついて12人の縦長の集団を形成する。

17kmに入ると、鈴木健吾(24・富士通)が第2グループの先頭に立ち、大迫、中村、服部らが後方につく。設楽との差は2分13秒。

中間地点を過ぎても設楽の独走は変わらないが、後続との差が1分56秒にまで縮まる。

26km地点で、藤本拓(30・トヨタ自動車)、大塚祥平(25・九電工)、橋本崚(25・GMOアスリーツ)が第2グループに追いつくと7人の集団に。

気温は29℃にまで上昇。設楽の顔色が悪くなり、それまでの勢いが消えてペースが落ちていく。28km地点で第2グループと1分30秒あった差が、32.8kmの折り返し地点で56秒に。第2グループの選手たちはすれ違う設楽をしっかりと確認し、勢いを増していく。

そしてついに、37kmを越えた所で設楽は追い抜かれ、優勝争いから脱落。38km後半にまず橋本が仕掛けると、中村がスパートをかけて先頭に立ち、帽子を脱ぎ捨てる。


(C)日本陸上競技連盟

中村は独走を試みるが、大迫と服部も必死に食らいつく。41km過ぎに大迫が中村をとらえて並走するが、中村は再びギアを上げて大迫との差を広げ、そのままフィニッシュして見事にMGCを勝ち取った。


(C)日本陸上競技連盟

服部は、ラスト300mで大迫を抜き去って2位に入った。大迫は最後まで自分のペースで走ることができず、3位で終了した。4位に大塚、5位に橋本が入り、設楽は14位となった。


―MGC最終結果(上位3名)―
1位:中村匠吾 2時間11分28秒
2位:服部勇馬 2時間11分36秒
3位:大迫傑    2時間11分41秒



(C)日本陸上競技連盟

――MGCを終えて。

中村:色々な方々に支えられて、今日、自分自身のベストパフォーマンスができたのではないかと思います。ここから1年、精一杯頑張っていきたいです。

――今回、どのようなプランで戦ったのか。

中村:この数日の天気予報を見ていたら、気温が高くならないと思っていました。自分が暑さに強いのは「強み」でもあるんですが、42kmをまずはしっかりと走り切ることを考えてやりました。焦ることなく、タイミングをみてスパートできました。

――最後に勝負を仕掛けた時の心境について。

中村:40km付近で、坂を利用して自信を持って仕掛けることができました。最後に3人での勝負となり非常に緊張しましたが、自信を持って走れたことが大きかったと思います。

大迫選手に追いつかれて焦りがあったんですが、上手く余力を残しながら最後もう1回仕掛けることができたので、予定通りのレースができたのかなと思います。


(C)日本陸上競技連盟

日本代表残りの1枠を、国内の3大会(福岡国際マラソン、東京マラソン、びわ湖毎日マラソン)で2時間5分49秒をクリアした最速の選手が獲得する。この記録を破る選手がいなければ、今回のMGCで3位に入った大迫が代表に内定する。

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