【MGCレポート】前田穂南(天満屋)が圧勝で女子MGCを制す。「金メダルを目指して練習に取り組んでいきたい」
女子のマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)が、明治神宮外苑を発着地点として、15日の9時10分にスタートした。混戦が予想されていたが、20km付近から独走した前田穂南(23・天満屋)が、他の選手を全く寄せ付けず圧勝した。優勝が期待された鈴木亜由子(27・日本郵政グループ)は、前田を追い越すことができず2位となった。
女子の出場選手は10人と少ない。優勝候補の松田瑞生(24・ダイハツ)は鍛え上げた腹筋を武器に後半のスピード勝負を得意とし、過去に2度出場したマラソンで2時間22分台をマークしている。もう1人の優勝候補の鈴木はマラソンの出場が1度だけであるが、5000mと10000mで世界大会を経験し、スタミナとスピードがあり、暑さに強いと言われている。
日本歴代4位(2時間21分36秒)の自己記録を持つ安藤友香(25・ワコール)が、本来の調子を取り戻すか。トラックとマラソンで経験豊富な福士加代子(37・ワコール)が上位に食い込むか。大注目のレースとなった。
(C)日本陸上競技連盟
9時10分にスタート。天候は晴れ、気温26℃。
女子は「スローペースになる」と予想されていたが、先頭を引っ張る一山麻緒(22・ワコール)が下り坂を利用してスピードに乗ると、2km地点で松田が引き離されてしまう。
初めの2kmを一山、安藤、鈴木、前田、小原怜(29・天満屋)ら8人が、野口みずきの日本記録(2時間19分12秒)を上回るペースで通過する。
前田が10km付近から先頭に立ち、一山、鈴木、小原ら7人が続く。松田は出遅れたが、スピードを上げて先頭グループに追いつく。
13km過ぎ、スタートから集団を引っ張ってきた一山が遅れ、先頭グループは6人に。その後、松田が再び引き離されてしまう。
そして15kmを越えたところで、前田が1人飛び出し、鈴木と小原が追う展開に。福士と安藤は、前の3人のペースについていけない。20km付近から前田がスピードを上げると、鈴木と小原との差が開いていく。
前田は独走し、25km地点で2位鈴木との差が38秒、3位小原との差が52秒になる。後退していた松田が4位に順位を上げるが、小原との差がなかなか埋まらない。
気温は29℃に。先頭を1人走る前田はペースが徐々に落ちるが、2位以下の選手たちにも余力がない。
40kmでは前田と鈴木との差が2分48秒にもなり、鈴木と小原との差が33秒に。序盤から強さを見せ続けた前田がMGCを制覇し、鈴木が2位に入った。小原は死に物狂いでスパートをかけたが、鈴木に僅か4秒及ばず3位となった。
―MGC最終結果(上記3名)―
1位:前田穂南 2時間25分15秒
2位:鈴木亜由子 2時間29分02秒
3位:小原怜 2時間29分06秒
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――MGCを終えて。
前田:今大会は優勝を狙っていたので、凄く嬉しいです。
――序盤から仕掛けたことについて。
今回のレースで、自分で「しっかりといく」と決めていたので、不安なく最後まで自信を持って走ることができました。20km付近で仕掛けたつもりはなかったです。仕掛けたことについては、あんまり考えていなかったです。いつのまにか後ろの選手がいなくなっていました。「誰かが仕掛けてくるのかな?」と思っていましたけど、誰も仕掛けてきませんでしたね。
――どのような思いでトレーニングに励んできたのか。
前田:マラソンで「世界で戦いたい」という強い気持ちがあったので、練習にずっと取り組んできました。
――最初の5kmが16分31秒。ペースを意識して走っていたのか。
前田:ペースはあまり気にしてなくて、自分の感覚で走りました。
――走る自信をどのようにして付けてきたのか。
前田:20km走や30km走のラスト1kmで、3分や3分10秒のスピードに切り替える練習を何回かやってきたので、凄く自信となりました。ゴール後は、脱水状態で足がつりそうでした。
――何をイメージして走っていたのか。
前田:とりあえずリラックスしようと思って走りました。30km以降からきつくなってきてペースが上がらなくなったので、不安にもなりました。最後の坂は、クロスカントリーでの辛い練習を思い出して走りました。
――来年に向けての想い。
前田:今回のMGCで優勝できたので、これから切り替えて世界でしっかり戦えるように、金メダルを目指して練習に取り組んでいきたいと思います。
(C)日本陸上競技連盟
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日本代表残りの1枠を、国内の3大会(さいたま国際マラソン、大阪国際女子マラソン、名古屋ウィメンズマラソン)で2時間22分22秒をクリアした最速の選手が獲得する。この記録を破る選手がいなければ、今回のMGCで3位に入った小原が代表に内定する。