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running2020.08.20

ナイキ エア ズーム テンポ ネクスト%は、ナイキの機能フル装備モデル。使いやすいヴェイパーフライ ネクスト%だ!

みなさん、こんにちは。F・Shokai 代表:シューズアドバイザー藤原です。

コロナ騒動で随分過去のことのように思いますが、今年の箱根駅伝以来、すごい“厚底フィーバー“でしたよね。うち藤原商会のオフィスにもテレビ、新聞社が取材に来ました。そりゃ、夕方のニュースで取り上げるようなオーバーヒートっぷりでしたね。

そして、1月末には、まるで、それを冷却させるかのようにワールドアスレティックス(WA)によって、シューズに対するかなり踏み込んだ新ルールが発表されました。

日本では、これが水を差すどころか、選手の“ナイキ化“は加速して、東京マラソンでも8割がナイキ着用と圧倒的な状況になりました。

結局、WAの新ルールは暗に、レーシングシューズ=ヴェイパーフライ ネクスト%という、ヴェイパーフライのスタンダード化のメッセージとも受け取れますからね、速く走りたいアスリートからすれば、当然と言えば当然です。

それが良いか、悪いかの議論は置いておいて、今では、ヴェイパーフライは、実業団、大学生ばかりでなく、中学、高校生など若年アスリートまで、広く履かれるようになっています。

■いよいよサブ2が発売
そして、いよいよ2月末、「エア ズーム アルファフライ ネクスト%」が先行発売されました。

まるで新ルールを知っていたかのような、ジャスト40mmスタックハイト、あのE・キプチョゲ選手がウィーンでブレイキング2を成し遂げた、あのスーパーシューズです。

キプチョゲ選手だけでなくて、日本の大迫選手も、東京マラソンで、このシューズを使用して日本最高記録樹立したのは記憶に新しいところですね。

そして、コロナ禍の最中、今度はトラックでは25mm以内のシューズと、確実にアルファフライやヴェイパーフライを意識した新ルールを発表がされ、トラックでは実質ヴェイパーフライは禁止になりました。

まさにナイキが仕掛けたイノベーションがランニングシューズ業界を、圧倒、かつ騒然とさせ続け、目が離せない状況ですが、これはまだまだ続きそうです。

今月末、また新たなシューズが静かにリリースされます。わたしは、ここに注目してます。

■ナイキの機能のフル装備モデルがテンポネクスト%だ


それは、影に隠れている印象ですが、アルファフライと同時に発表された、「ナイキ エア ズーム テンポ ネクスト%」です。こちらが8/27にいよいよ発売されます。

その名前の“テンポ“に由来するように、ワークアウトでのトレーニング用というような位置付けのテンポネクスト%ですが、最初にはっきり言っておきますが、多くのランナーにとってはただのトレーニング用にとどまらないシューズだと思った方がいいでしょう。

正直、アルファフライのようなスーパーシューズは、誰もが買ったら、速く走れるシューズとは言い切れません。車に例えるならば、まさにF1(フォーミラーワン)ですからね、ドライバーのテクニックが必要だと言えば分かりやすいでしょうか。

ヴェイパーフライ、アルファフライが機能性と軽量感のバランスの賜物であれば、このシューズは、まさに、“ナイキフル装備“レーシングという形容が相応しいシューズですよね。



だって、「リアクト」と「ズームX」が交互にブレンドしたミッドソールに、「ズーム エアポッド」が2つ搭載、アッパーは、「フライニット」、とナイキの主要な機能がこぞって搭載されたような、まさにフル装備モデルになっているからです。

アルファフライネクスト%が速く走るための最重要課題、軽量性という制約下、マイナス論理で取捨選択を行ってカタチ作られたのに対して、このテンポネクスト%は、プラス論理、まさにアルファフライでインスパイアされた“速く走る機能“もそのまま、重量の制約がないこともあり、“フル装備“リアクトがブレンドしたソールには、アルファフライよりも安定感を感じます。



アウトソールは踵にも耐摩耗性ラバーが使われており、耐久面でもアドアンテージがありそうです。アッパーのフィット感として、前足部の余裕は、ヴェイパーフライよりあります。

そして、重量も言っても277g(27.0cm)です。履いた瞬間に感じるのは、軽さそのものです。これを軽く感じられないとしたら、シューズの履き分けの習慣を考え直した方がいいです。

■足のバネ、レッグスティフネスが高い値に

その速く走る機能の方は、データでも、非常にアクティブです。実際に履いた感触として、“ズーム エアポッドが90%エナジーリターンを実現する“のうたい文句通り、実際、しっかり作用している感じがあります。敢えて露出され、2つ配置することで、自由に変形する余地を作り、変形からの大きなパワーを作り出しています。

実走して一番感触として感じるのもこの部分、そのせいか、ガーミンのデータでも、ペースの割には、毎回ストライドに高い値が出ています。前方方向に押し出されている感じですね。

ちなみに、わたしの場合、この感触は、アルファフライでは感じられていないのが現状で、ややオーバスペックなシューズになっています。それが、テンポネクスト%では、わたしの足のバネの指標でもあるレッグスプリングスティフネス(LSS)が安定して高い値になっています。

ある程度高い状態で出力が発揮されて、LSSが高い値にあるのは、まさに、これこそ、ランニングエコノミー(RE)が高い状態です。

ですから、このシューズは、わたしを含めた、使うランナーによっては、ただのテンポアップシューズではない、と数値上も言っていいというわけです。

これは間違いなく、“ズームX“オンリーのミッドソールより、“リアクト“とミックスされたミッドソールになっていることで、それが安定感への貢献を果たしていることは、体感的にも明らかです。

■ただのトレーニング用シューズではなく、速く走れるシューズ
数値データだけではなく、このシューズを速く走るシューズとして意識したとき、テンポネクスト%は、感覚的にもアクティブ。

単純にそのシューズの性能を信じるもっともシンプルな指標、自分の想定タイム、パフォーマンスより、その結果が高い状態、これが起きるシューズなら、レースシューズとして意義がありますよね。

なんだか速い状態です。この現象が、テンポネクスト%では、毎回起きています。

3:40のマラソンペースで8000mというトレーニングでも、想定より少し速いキロ3:35~37ぐらいでスムーズに走れました。また、違う機会には3:30の閾値ペースで走りましたが、午前中トレイルを走ってきた脚でも、これも軽くこなせたのは正直驚きでした。

単純な履きやすさ(扱いやすさ)とタイムの良さが一致しなかったのに自己最高記録で走れた初代のヴェイパーフライ4%、3代目のネクスト%では履きやすさとタイムが一致しました。レースがあればこれで自己ベストが作れそうです。

そして、アルファフライは、接地感が感じられず、感覚的にも、とても履きやすいとは思えないのですが、こちらもタイムは出ている、この感覚的なことと実際のタイムでいうと、このテンポネクスト%は、わたしにとって最初から履きやすさとタイムが一致している状態であると言えます。

これなら、実際全力走でも使ってみる価値はあります。ということで、実際コロナ禍でレースがないので、今年、サイクリングコースで行っている、ひとりGPS5Kのタイムトライアルで使ってみました。

タイムは11回ひとりで走った中で、いちばんいい17:08でした。タイムはあまり良くないのですが、数値的に特筆すべきは、身長ぐらいで安定したストライドの良さ、GCT(接地時間)、パワーとLSSは安定した高さでした。

つまり、わたしにとっては、テンポという名前の仮面を被った、まさに明らかにロードレースのレーシングシューズと言っていいですね。

■速く走りたい人のためのシューズ、いろんな意味で


ランニングにおけるシューズという存在は、どこまでもイノベーションが進んでしまったとき、ただの乗り物になってしまう危険性をはらんでいます。

スポーツである以上、どこまでも進化するのではなくて、それを履くランナーの可能性が高まり、さらに、そのランナーが持っている能力の反映される要素はなくならない、なくなってはいけないわけです。

キプチョゲがスーパードライバーだからこそ、スーパーシューズのアルファフライで2時間という人類未到達の偉大な記録を達成したこと、それがまさにそうです。

今まではシューズをランナーに合わせるような発想があったかもしれませんが、ヴェイパーフライの登場で、シューズにランナーが合わせて使う、そういう時代に入っています。

このヴェイパーフライ現象を見れば分かる通りですが、その意味で、現状自分の可能性が高まるのは、どのレーシングなのか、っていう発想が必要だと思っています。そして、それをうまく使いこなせるようにワークアウトなりでトレーニングしておくことがポイントです。

このシューズには、カーボンプレートは搭載していません。ナイロンを中心とした複合素材プレートが搭載しています。それでいてこの仕組みが作れるのであれば、これからのイノベーションの方向にも影響を与えていきます。

わたしはそもそもカーボンプレートが速く走るための解決策ではないと思っています。現状では、アルファフライよりも確実に可能性を感じるシューズ、それがテンポネクスト%なんではないのかなと感じています。

日常のトレーニングシューズに2万オーバーは高価であると言わざるを得ませんが、レースシューズと考えたときに、33,000円のアルファフライ、30,250円のヴェイパーフライに比べて考えた時、24,200円の価格は相対的にはリーズナブルではないでしょうか?

■マッチするランナーとは
大迫選手が日本最高記録を出した背景はたくさん要因があると思いますが、彼は、勇気を持って、自身の愛用シューズをヴェイパーフライシリーズからアルファフライにアップデイトしたこともあると思います。そして、もちろんですが、自身のアップデイトをハードワークで達成することも忘れませんでした。

そして、ライバルに打ち勝ったわけです。

わたしも含めた市民ランナーも、まず、自身のアップデイトはマスト。一回ヴェイパーフライで自己ベストを出したからと言って、ただ走っているだけで、また自己ベストが出せるわけではないことはイメージできると思います。

結局、我々だって、次に結果を出すためにはしっかり自身をアップデイトする必要があることは言うまでもありません。

とは言っても、テンポネクスト%は、かなり使う上で、スイートスポット(力の伝達場所)を選ばず、広くサブ4ぐらいのランナーから効果を感じそうです。

今まで「ズームフライ」とか「ペガサスターボ」がレース用だ、というランナーの方であれば、まさに“アップデイト“にピッタリな感じです。もちろん、少数派ですけど、アルファフライのためのワークアウトトレーニング用ということでもいいです。

もしかしたら、わたしだって、“アルファフライを使いこなす“プロセスでこのシューズを活用すべきなのかもしれません。

大迫選手のように、市民ランナーのみなさんもしっかり準備した中で、そして、シューズのアップデイトは、テンポネクスト%も選択肢のひとつになると思います。

■結果が出るには、相応のエビデンスがある
では、具体的にどうやったら履きこなせるのか?それは、自脚力を引き上げることに尽きます。

数値的には、わたしの場合、スパイクで走ったときのレッグスプリングスティフネス(LSS)が8.5Nk/g 、それが、9.5Nk/gまで跳ね上がる。脚の剛性高まり、腰高な位置で走っている感じです。(ちなみに、ヴェイパーフライは10Nk/gまで上がりますので、暴れ馬的な爆発力は感じますね。)

足の反射をうまく使って、前に進んでいる感じは、接地時間(GCT)、ストライドの数値が高いことにも現れていますね。パワー、レッグスティフネスが高バランス、数値のバランス感があり、まさに代謝コスト(筋活動量の無駄遣い)を下げて、ランニングエコノミーを高めているシューズです。

そして、そこにカーボンプレートを踏むロイター板のバウンド要素が入らないのがかえってクセを感じさせないのかもしれません。

しかし、この自脚力は、ただ走るだけでは高まらないでしょう。

しっかりとしたフラットなシューズでスピード練習をこなすことも重要ですし、レジスタンストレーニング、ウエイトトレーニング、プライオメトリックジャンプなどといったスティフネスのベースをあげるトレーニングも大切です。

ランナーとしてアップデイトすることも、こう言ったシューズで結果を出すことに直結しますね。

■誰だって履けるテンポネクスト%
今、レースがないですけれども、レースが開催された時には是非、自身の勝負シューズとしてテンポネクスト%にアップデイトを検討してみるのはどうでしょうか?

もちろんフルマラソンで使うのはこのゾーンのランナーかもしれませんが、これは、サブ4とか、サブ3.5とかというレベルの話だけだと思わないでください。

ランニングは誰にでも平等なスポーツです。

このシューズだって、どなたでも自身にとってのスピードを高めるか、重心移動を活発にする距離、トレーニング、レースなら、トップランナーを同じ体験をすることはもちろん、充分楽しめるシューズであることは追記しておきましょう。

特に、耐久面、その際立ったシューズの特性からも、アルファフライは宝の持ち腐れになりがちでしょうけど、テンポネクスト%は、選手と同じようなサプライズを体験できるシューズなのかな、と単純に思いますね。

最後に、機能的にそれがレースシューズでなくても、自分にとってそのペースで、その距離で、何かメリットがあるのであれば、それがあなたのレースシューズです。
シューズは使う人によって用途が変わることだってある、ナイキ エア ズーム テンポ ネクスト%もまさにそんなシューズですね。


<ナイキ エア ズーム テンポ ネクスト% 紹介動画>
動画は こちら をクリック(YouTubeに遷移します)


<カラーバリエーション>
メンズ

レディース

<取扱店情報>
ナイキ エア ズーム テンポ ネクスト%は、下記のスポーツデポ各店と アルペングループオンラインストア でも、8/27より発売致します。

スポーツデポ 天久店
スポーツデポ 光星店
スポーツデポ 沼津店
スポーツデポ 宮の沢店
スポーツデポ 豊崎店
スポーツデポ 具志川店
スポーツデポ 太宰府インター店
スポーツデポ 帯広店
スポーツデポ 福井大和田店
スポーツデポ 小牧店
スポーツデポ サンシャインワーフ神戸店
スポーツデポ 釧路店
スポーツデポ 北本店
スポーツデポ 仙台新港店
スポーツデポ 港北みなも店
スポーツデポ 中山寺駅前店
スポーツデポ 大曲店
スポーツデポ 佐賀店
スポーツデポ 加古川別府店
スポーツデポ 高槻城西店
スポーツデポ 前橋吉岡店
スポーツデポ 熊本インター店
スポーツデポ 川崎店
スポーツデポ マリノアシティ福岡店
スポーツデポ 甲府店
スポーツデポ 大分店
スポーツデポ 茂原店
スポーツデポ 有松インター店
スポーツデポ mozo ワンダーシティ店

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<著者プロフィール>
ランニングシューズフィッティングアドバイザー
藤原岳久(F・Shokai 【藤原商会】代表)

日本フットウエア技術協会理事
JAFTスポーツシューフィッターBasic/Master講座講師
足と靴の健康協議会シューフィッター保持

・ハーフ1時間9分52秒(1993)
・フルマラソン2時間34分28秒(2018年別府大分毎日マラソン) 
・富士登山競走5合目の部 準優勝  (2005)

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